epilogue:少女と母
次の話では無くてスミマセン。
お母さまはなんでも知っている。
食べられる野草の見分け方も、午後に雨が降るかどうかも、星と星のつなげ方も。
お母さまは誰よりも強い。
森の外の魔剣たちよりも、自警団の皆よりも、流れ者の旅人よりも。
お母さまはいつでも優しい。
街で泥棒が出た時も、作物があまり獲れなかった年も、私が眠れない夜も。
ずっと一人で生きてきた。……なんて言うと罰が当たると思うけど。
何気ない動作に出てくる私と皆との温度差がとても辛かった。
私のお父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんもおばさんも皆魔剣に殺されたんだから、私のことを気味悪く思うのも仕方が無いことだと思う。
しょうがないよね。心と体は一緒に動いてくれるわけじゃないんだから。
お母さまがいなければ私は……寂しくて死んでしまっていたかもしれない。
私の今はお母さまがいてくれたからだ。皆との繋がりも、住んでる家も、毎日笑えることも。私の居場所も。全部お母さまがくれたものだ。
いつか私も、お母さまみたいにレイフォンを守れる、賢くて強くて優しいひとになれるかな。