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この世界で俺は……  作者: ねこネコ猫
高校編
7/163

No7

カフェのある場所は裏道に入った所にあるんだが、道中こんなことを聞かれた。

「ハル君、よくこんな所にお店があるなんて知ってたね」

「それがさ、疲れたから休める所を探してウロウロしてたらいつの間にか路地裏に入っててその時に見つけたんだ」

「じゃあ、たまたま発見したってこと?しかもそのお店が大当たりなんてハル君持ってるね~」

「でも、生徒会長として言わせてもらうと男性の一人歩きはよくない。しかもこういった場所は危険性が増すから尚更だ」

「兄さん。今度カフェに行くときは一人では行かないで下さいね」

「ああ。気を付けるよ。ありがとな」


お店に着き扉を開けると前にも接客してくれた店員さんが

「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」

と聞いてきたので俺・葵・結衣・楓・先輩の五人なのでそう伝えるとBOX席に案内してくれた。メニューを見ながらどれにするか悩んでいると、先輩はもう決めたみたいで珈琲とガトーショコラにするらしい。う~~ん、今回は紅茶とシフォンケーキにしてみるか。

「兄さんは何にするか決めましたか?」

「紅茶とシフォンケーキにした」

「では、私も同じにします」

「あ~、シフォンケーキも美味しそう。でも、このラズベリータルトも捨てがたい。ぐぬぬ……」

結衣が眉間にシワを寄せながら悩んでいる。どっちも頼めばいいんじゃないか?

「両方頼めば?」

「ううん、駄目。そんな事したらカロリーが……、体重が……大変なことに」

「じゃあ私がシフォンケーキを頼むから結衣はラズベリータルトを頼めば?お互いに半分こにしたら両方食べられるよ」

「楓ちゃんナイス!その案があったか。それでお願いします」

なんだかんだで決まったので注文して待つことにする。


少ししてテーブルに並べられた美味しそうなケーキにみんな嬉しそうな顔をしている。さっそく食べてみよう。

「ん~~、美味しい!なにこれ、いままで食べてきたタルトとは全然違う」

「うん。この味を知ったら他のお店では食べられないかも。結衣のラズベリータルトも甘酸っぱくて美味しい」

「ガトーショコラも濃厚なんだけどくどくないし、食べる手が止まらない」

どうやら三人はお気に召したらしい。キャッキャッ言いながら食べている。葵はどうかな?と隣を見ると真剣な顔で何かを考えながら食べていた。

「どうした?口に合わなかった?」

「いえ、美味しいです。ただどんな材料や調理法を使っているのか気になって考えてました」

「葵はお菓子も作るから参考にしたいって事?」

「そうですね。出来れば直接聞きたいくらいですが、流石に無理なので。う~ん、他のケーキも食べて研究したいです」

「太らない程度に食べたらいいよ。俺も付き合うしさ」

「本当ですか?やった。ありがとうございます」

どうやらみんな満足したみたいでよかった。男と女で味に関する感覚も違うし、あんまり美味しくないとかならなくてホッとした。


しばらく他愛無い会話をしつつ気付けば二時間ほど経っていたので、そろそろ退店することにしてレジに行くと前は無かった張り紙が小さく張られていたので見てみると、アルバイト募集とあったので思わず聞いてみた。

「あの、アルバイト募集しているんですか?」

「はい。最近お客様が増えてきまして、今の人数では厳しいので人を増やそうかと思いまして」

「そうですか。ちなみに結構応募はきているんですか?」

「残念ながら未だに無しです。まあ、場所が場所なので仕方ないですが」

「条件で男性可とは書いていませんが、男性が応募しても問題ないですか?」

「大丈夫です」

「分かりました。ありがとうございます」

お店を出た後これからどうするかという話になり、女性陣がショッピングモールに行きたいという意見で一致した為そちらに向かう事になった。


電車を乗り継ぎついたショッピングモールは一言で表すとでかい。とにかくでかい。どのくらいかというとら〇ぽーとの一・五倍くらいでかい。これ一日では全部見て回れないだろ。そんな事を思いつつどこからいくのか聞いてみると

「まずは、ファンシーショップに行きたいな」

「あぁ~、モリモリ君の新作が発売されたんだっけ?結衣好きだもんね」

「そのモリモリ君ってなに?」

「えぇーー、先輩知らないんですか?モリモリ君はキモかわ系のゆるキャラで筋肉モリモリマッチョなのに顔はファンシーでそのギャップが超可愛い大人気キャラなんですよ!!」

「あ、ああ。そうなんだ……」

「なあ、葵はそのモリモリ君?って知ってるのか?」

「はい。学校でも人気でよく話題にでますね」

「まじか~。そんなのが流行るとは……、ちなみに葵も好きなのか?」

「う~ん、普通ですね。可愛いとは思いますけどグッズを買う程ではないです」

この世界ではそんなわけわかめなゆるキャラが流行っているとは……。恐ろしいな……。


件のファンシーショップに来たんだが、なんか入るの恥ずかしい。いや、女の子と一緒だしおかしくは無いと思うんだが……。そんな気後れしている俺の背中を女性陣が押しながら入店。特に欲しい物もないので適当に見ていると、にゅっと顔の前にぬいぐるみが現れた。

「うぉ!なんだ?なんだ?」

「えへへ~、びっくりした?」

「あぁ。いきなりなんか出てきてほんとにビビった」

「ごめんね~。ちなみにこれがモリモリ君です!」

そう言いながら結衣が見せてきたぬいぐるみはキモかった。話を聞いた時点でキモいのは分かっていたが、実物はインパクトが半端ない。キモい……それ以外の感想が出ない。

「どう?キモかわいくない?」

「あ、あぁ、カワイイデス」

「だよねー!あっ、そうだ!ハル君にもこれプレゼントしてあげるよ」

ちょ!ホントに申し訳ないけどそんな呪われそうなぬいぐるみいらん。夜トイレに起きた時これが目に入ったら絶対叫ぶよ。

「大変有難い申し出ですが、謹んでお断りさせて頂きます」

「そっか。残念」

ふぅ……、なんとか回避出来たか。ただ少し落ち込んでいるしフォローしとくか。

「あのさ、モリモリ君以外で結衣の好きなキャラのグッズとかは無いのかな?」

「あるよ。えっとね~、あっこれとか」

衝撃的な事もあったが、ファンシーショップはこれで終了。次はどこへ行こうか?そういえばシャーペン新しいの買いたかったんだった。文房具屋とかあるのかな?

「ここに文房具屋とかあるのかな?」

「ああ。それなら二階にお店があるよ」

「じゃあ、次はそこでもいい?」

「「「「うん」」」」


売り場には色々なシャーペンがあるので、書き試しや使いやすさを確認して買う事にした。あれこれ試してお気に入りを見つけられたのでレジに移動しようとしたら

「兄さん、私も同じのが欲しいです」

「ん。色とかはどうする?ピンクとかの方が良い?」

「ううん。兄さんと同じ色がいいです」

「分かった」

「「「私も同じの買ってもいい?」」」

結衣・楓・先輩がハモりながら聞いてきた。

「いいですよ。なんならプレゼントしようか?」

「そんな。悪いよ」

「今日は楽しかったからそのお礼って事でどうかな?」

その言葉に三人顔を見合わせてから頷いてくれた。会計を終えてそれぞれに手渡すと、今日一番の笑顔を見せてくれた。少し出費が痛かったけど、この笑顔を見れたので満足です。


another view point


ハル君からプレゼントされた。これは一生の宝物だよ。本当に格好良すぎるよ~。


休日に一緒に遊ぶだけでも嬉しいのにプレゼントまでされたら……、泣きそう。今度何かお返ししなきゃ。結衣にも相談しよう。


うぅ~、年上の先輩としてキリッとしなきゃいけないのに頬が緩んじゃう。最初の印象があんまり良くなかっただろうし、こうして遊びに行けるだけで満足だったのにこんな事までされたら私……、ううん。今はこの時を楽しもう。


another view pointEND


その後は、色々な店を冷やかしながらあーでもない、こーでもないと喋っていたが楽しい時間は過ぎるのが早いもので時計の針は十八時を指していた。

「もうこんな時間か。そろそろ帰ろうか」

電車に乗り地元につきそれぞれ別れる際

「今日は楽しかったよ。また今度遊びに行こうね」

「プレゼントありがとう。大事にするね。また学校でね」

「今日はありがとう。よかったら、また遊びに行こう」

それぞれから別れの挨拶をもらい俺たちも帰路についた。ほんとに今日は楽しかった。それに働きたい場所も見つかった。来週から忙しくなりそうだ。頑張るぞ!

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