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この世界で俺は……  作者: ねこネコ猫
高校編
60/163

No59

始まってから数十分程経っただろうか。みんな大分緊張が解れた様でそこかしこで楽しそうに喋っている声が聞こえる。うむうむ、良きかな良きかな。やはり若者は順応性が高いから、こういった場面では強いな。年を取ると大人数で集まるイベントとか億劫になるし、参加しても社交辞令のオンパレードで辟易してしまうからね。今みたいに心の底から楽しめるなんて事は有り得ないし、そう考えると本当に今しか味わえない体験なんだよな~なんてオヤジ臭い考えをしてしまうくらい楽しそうなんだよね。かく言う俺も楽しんでいるけどね。

「そういえば甲野さんは前にTV出演してらっしゃいましたよね?」

「はい。緊張していたので上手く喋れなくてお見苦しかったと思いますが……」

「そんな事はありませんわ!レポーターの突っ込んだ質問にも真摯に答えていましたし、男性がどういった女性を好むのかや、なにを重視するのか等を知れて大変有意義でしたわ!」

「あははは。なんか恥ずかしいですね。まあ、あくまで一般男性の一意見なので参考になるかは分かりませんが、そう言って頂けて嬉しいです」

「なにをおっしゃいますか!今まではそう言った質問をしてもまともに取り合わないか、濁すかする男性ばかりだったんですよ。そんな中で真面目に答えて下さったんですから、女性たちにとっては驚天動地の出来事でしたのよ!」

「そうなんですか?」

「もちろん!ちなみにレポーターの方は功績を評価されて役職についたと聞きました。それに今でも再放送が繰り返されていますし、ネットでも切り抜き動画が山の様にアップされているんですのよ」

「げぇ……、マジか。最近テレビ見てなかったし、ネットも時間なくて見てなかったから知らなかった。これは黒歴史だぁ~……。恥ずかしすぎる」

「恥ずかしがることはないですわ!もっと胸を張って誇っていい事ですのよ」

「そうだよ。私も録画したのを何回も見返してるし」

「それ私も一緒。動画編集してハル君が出ている場面だけ何回も見てる」

「結衣さんと楓さんが羨ましです。(わたくし)は録画しそこねてしまってTV放送を見ただけですので」

「それならダビングしてあげよっか?」

「本当ですか?ありがとうございます」

「じゃあ、今度遊んだ時に渡すね~」

「はい。よろしくお願いします」

「あぁ……、俺の黒歴史が拡散していく」

「結衣さん。よろしければ私にも頂けませんか?」

「いいよ。二人分用意しておくから金城さんの分は真白さんに渡しておくね」

「ありがとうございます」

やめられない、とまらないかっぱえ〇せん…………じゃなかった。ネットにも動画が上がっているみたいだし、どうあがいても拡散は防げないのか。人間諦めが肝心という言葉もあるし、潔く諦めるしかないか。

「そういえば真白さんと甲野さんはどういう経緯でお知り合いになったんですの?」

「あれ?真白さんから聞いていないんですか?」

「ええ、聞いておりませんわ」

チラリと真白さんの方を見るとこんな答えが返ってきた。

「秘密にしていた訳ではないんですが、悠様との出会いをむやみやたらに吹聴するのもどうかと思いまして」

なるほどね。俺の事を(おもんぱか)って言わなかったのか。その心遣いに感謝です。

「そうでしたか。まあ、隠す事でもないので話しましょうか。去年の夏祭りで舞の奉納があったんですが、その時に初めて真白さんを見たんです。それで夏祭りも満喫したし最後にお参りをして帰ろうとした時に声を掛けられたんです。舞の感想を聞かせてもらってもいいですか?って。それで少しお話した際にお互い自己紹介をしてって感じですね」

「へ~。なんだかドラマのワンシーンのような出会いですわね。羨ましいですわ」

「まあ、確かに今思うとその通りですね。夏祭りで二人は出会ったって」

「ちなみにですけど、今年も夏祭りには行かれるのですか?」

「一応行く予定です。でも、メインは花火大会の方にしようかなって考えていますけど」

「でしたら!でしたら、私も是非ご一緒したいですわ!」

圧が凄い。めっちゃ顔を近づけてきて言うもんだから、圧が凄い。

「俺は構いませんが、同行する人にも聞いてみないとなんとも……」

「そうでしたわね。私としたことが、そこまで頭が回っていませんでしたわ」

「じゃあ、どうしましょうか?連絡は真白さん伝えになっちゃいますけどいいですか?」

「それだと、面倒じゃありませんか?よろしければ連絡先を交換しませんか?その方が直接やり取りできますし」

「分かりまし」

「待った!」

俺の返事をインターセプトしてきたのは誰だ?そう!この人だ。

「ハル君無防備過ぎるよ!誰でも彼でも簡単に連絡先を教えちゃメッだよ」

「いや、金城さんは知らない人じゃないし。俺だって結衣が言うように知らない人には教えないよ」

「でも、万が一って事もあるかもしれないし」

「その点については安心して良いと思いますよ。私も紫音さんとは一年以上の付き合いですが、男性の連絡先を悪用するような方ではないので。もし……、もし悪用等をしたら私が制裁を下しますのでご心配なく」

制裁って怖いんだが。どんなことをされるのだろう?いや、これ以上深入りは禁物だな。パンドラの箱を開けてはいけない。

「って真白さんも言っているし大丈夫じゃなかな」

「う~ん、それならまあ……いいかな」

「よし。じゃあ、ささっと交換しちゃいましょう」

こうして俺のスマホに女の子の連絡先が一つ増えた。電話帳に登録されている男が真司一人だけって前世では考えられなかった事だよ。女の子いっぱいおっぱい嬉しいな~。

「えへへへへ。とうとう私のスマホに男性の連絡先が登録されましたわ~!」

滅茶苦茶嬉しそうなんだが。ここまで喜ばれると、ちょっと引くかも……。そんな状況の中先生が口を開いた。

「次は校内見学をしますのでみなさん集合して下さい」

ゾロゾロと学校ごとに集まったら移動開始です。見て回るのは教室や図書室、体育館に多目的施設等だ。ぶっちゃけ教室や図書館なんかはうちの学校と変わらない。というかどの学校も似たようなもんだろう。で、体育館は結構違っていた。そこまで大きくないし、設備も微妙。こんなので快適に運動や部活動が出来るんだろうか?って思うくらい微妙……。そんな考えが顔に出ていたのだろう、金城さんが答えてくれた。

「我が校では体育会系の部活が少ないんですの。それと学校の方針で、運動より勉学や教養に力を入れているというのもありますわね」

「あ~、確かにお嬢様学校ですもんね。万が一怪我でもしたら大変ですしね」

「それもありますわ!怪我なんてしようものなら、親が飛んできて文句を言いますわね」

モンスターペアレント一歩手前かギリギリ範囲に入っている行動だな。親としては心配だし文句も言いたくなるだろうが、運動に怪我はつきものじゃんね。うちの学校では考えられないな。そして次に訪れたのは多目的施設。ここは全校集会や行事に使う場所らしい。端的に言って豪華。金かかってんなぁ~って見ただけで分かるレベルで豪華。下手したらうちの学校の施設より凄いかも。

「どうでしょうか?我が校自慢の施設なのですよ!」

「凄いですね。本当にデカいし豪華だし、それなのに嫌味な感じがないのは流石だと思います」

「そうでしょう、そうでしょう。著名な建築デザイナーとインテリアデザイナーに依頼して作られたんですのよ!ここに来た人はみなさん凄い、凄いと感動するんですの!」

だろうね。空間全体の調和や空気感がバランスが取れているし、センスの良さを感じる。天窓から差し込む柔らかな日差しもGOODだ。美女が日差しを浴びながら、そっと上を見上げる。その姿はまるで天使のようだった。そんな光景が頭に浮かんできてしまった。思わず足を止めてしまった俺に真白さんが声を掛けてきた。

「悠様?どうかいたしましたか?」

「いえ、あまりにも素晴らしいので見入ってしまいました」

「そうでしたか。ここは私のお気に入りの場所なんです」

「そうなんですか?」

「はい。この場所には神聖さを感じますし、そう言った所が神社と通じるものがあるので」

「なるほど。言われてみればそうですね」

「悠様はこう言った場所はお好きですか?」

「嫌いではないです。でもどっちかと言えばこういった洋風ではなく寺社仏閣なんかの和風な場所の方が好きですね」

「それは良かったです。ホッとしました」

「んっ?なんでですか?」

「もしこういう場所が嫌いなら神社なども嫌いという事ですよね?そうなれば巫女である私も嫌いという事に……」

「あっ、そういう事ですか。大丈夫ですよ。俺巫女さん大好きですから!」

「だ、大好き……」

両手で頬を押さえながらハニカム姿のなんと可愛らしい事よ。女の子のこういった何気ない仕草とかほんと可愛いんだよね。今この日記を読んでいる君もそう思うだろう?

「う~、私も巫女さんになりたいな」

「いやいや、結衣さんや。巫女にはなりたくてなれるもんじゃないから」

「でも、ハル君好きなんでしょ?」

「まあ、好きだけどさ。あくまで俺の好みの一つなだけだし、絶対に巫女さんじゃないと駄目って訳ではないからね」

「そっか。そういえば前にケモ耳コスプレした時も大興奮してたしそっちでもいいのかな?」

「いや……、それはもう忘れてくれ。思い出すだけで恥ずかしいから」

「は~い」

ニヤニヤと笑いながら軽い返事を返してきた結衣には軽めのデコピンを食らわせてやったぜ。

さて、時刻はお昼を回ったのでここで昼食となりました。この後は再び校内見学をしてんだけど、そこら辺は特筆すべき事も無かったので割愛で。そして、なんやかんやで終わりの時間になったので最後に挨拶をしてバスに乗り込み帰路についた。バスの座席に座りながら今日の出来事を振り返ってみると中々に濃い内容だったと思う。今まではお嬢様って近づきがたいイメージがあったんだけど、話してみると気さくでとても話しやすかった。今後もこう言った機会があればいいなと思ったので、その旨先生に話してみたらビックリされた。近くで話を聞いていた相手校の先生も目を丸くしていたのはクスッときたが。話してみた感触としてはかなりいい感じだったので何れなんらかの形で開催されるだろう。今度はうちの学校に来てもらうのもいいかもしれないな。さて、全てが終わった感を出しているが家に帰るまでが遠足……じゃなかった。学校について解散するまでが授業なので気を抜くべからず。家に帰ったら早めに寝よう。

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