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この世界で俺は……  作者: ねこネコ猫
高校編
34/163

No33

今ふと思ったんだが、学校に関することをあまり日記に書いてないなと……。という訳で遅ればせながら俺の学校生活を今回は書き綴ろうと思う。といっても特段変わった事があった訳では無いのでつまらないと思うがあしからず。


日記の最初の方に書いたと思うが、私立蒼律学園はクラスが成績で上下する。一番上がAで一番下がEだ。一見クラス間の交流は無さそうに見えるが、そんな事は無い。授業間の小休憩時間に違うクラスに遊びに行ったり、廊下でくっちゃべったりと楽しくやっている。といっても、俺以外のクラスメイトは偶にそういった事をするだけなんだが……。もっと他クラスと交流しようよと思うが、これには結構根深い事情があったりする。


前述したように我が校では成績でクラス分けされている。となれば、それに基づくヒエラルキーが成立するわけだ。下位クラスは上位クラスに対する嫉妬や、妬みを持つし、上位クラスは下位クラスに蔑みや、嘲笑したりと暗い感情が蠢いている。そんな中他クラスと交流しようと思うだろうか?答えは否だ。

なので、俺が入学する前はそれが当たり前であり、誰も疑問に思わなかった。だが、そこに甲野悠という異分子が紛れ込んだ事で事態は大きく変わる事になる。

ヒエラルキーがあるなんて思ってもいない俺は空気も読まず、廊下で他のクラスの人に話しかけたり、他クラスに遊びにいったりとまさに目を疑う様な行動をしていたわけだ。最初はAクラスの面々も良い顔はしなかったし、やんわり咎められたりもした。が、そんな事はお構いなしに続けていたら次第に他の人たちも同じような行動をしはじめたのだ。そして、今ではこれまで皆無だったクラス間交流が行われている。といっても、あくまで一年の話で二・三年生は今までと変わりはない。

ここで上級生の話が出てきたが、何を隠そう俺は先輩達とも交流があるのだ!

切っ掛けは毎日学校に通う男子生徒がいると、上級生の間で話題になった事だ。どれ、どんなやつだ?とわざわざ見に来たり、探るように話しかけられたりしている内に仲良くなった。その時俺は思ったね。コミュ力高すぎじゃね俺!!と。普通だったら、気後れしたり当たり障りのない話をしてそれっきり、なんてところだと思う。俺が前世で三十過ぎのオッサンでそれなりに社会人としてやってきていたというのもあるが、なにより先輩たちが凄く話しやすい人ばかりだったのが大きい。そういう訳で、移動教室で上級生と会ったりすると立ち話をしたり、時にはわざわざ一年の教室に来てくれて話したりもしている。そしてこういった出来事もあった。


ちょうどお昼の時間で学食でみんなで飯を食っていた時だ。先輩たちがわらわらとテーブルに集まってきて囲みだしたのだ。うわっ、これっていびられるんだろうか?と戦々恐々としているとその中の一人が口を開き

「あの、これ調理実習で作ったんだ。よかったら食べて」

と袋詰めされたクッキーを手渡してきた。あっ、そういうことね、と内心ホッとしたのは顔には出さずに答える。

「ありがとうございます。ありがたく頂戴します」

そう答えたら、他の先輩方も私も、私もと手渡してきた。結果手元には大量のクッキーが……。枚数換算だとざっと百枚以上はあるだろうか。一袋十枚入りなので十人以上から貰ったことになる。一人で食うにはあまりにも量が多い。いくら日持ちするとはいえ毎日食うのも辛い。と考えていると、横合いから声が飛んできた。

「ねぇ、流石に一人では食べきれないだろうし、ハル君は一枚づつ食べて残りはみんなでシェアしたらどうかな?」

「ナイスアイデア!それ採用」

楓の案を即採用してこの窮地を逃れる事ができた。といっても、十枚以上食べる事になるが……。(一袋十枚入りから一枚だけ食べる×十袋以上=十枚以上)

まあ、せっかく貰ったものだしありがたく食べるとしますか。こうして食後のデザートとして美味しく頂きました。ちなみに、食べた感想はしっかり伝えました。そしたら、凄い喜んでくれてハグまでされてしまった。その時のおっぱいの感触と、女の子特有の甘い香りは今でも鮮明に覚えている。あざーす!


おっぱいと甘い香りで思い出したが、よく巷では女の子は良い香りがする。なんて言われているのを耳にしていたが、俺自身は全くそうは思わなかった。電車やエレベーターに満ちるのは化粧品と香水の混ざった吐き気がする()()。そう、香りでは無く臭いだ。なかには最早香害(こうがい)とでも言えるような凄まじい臭いを放っている人もいる。そもそも、香水なんてものは体臭消しとして発達していったんであって、体臭がキツイ欧米人が使用する分には理解できるが、基本無臭を好む日本人には合わないと思う。そんな考えや実体験もあり、冒頭の女の子は甘い香りがする。なんてのはありえないという結論に達したわけだ。

が……。この世界に来て俺の考えは間違っていたと思い知らされた。女性は香水はもちろん化粧品もほとんど香りが無い物を使用しているのか無臭だった。すれ違ったりする時に僅かにシャンプーや石鹸の香りがするのみ。これは、大人の女性のみならず、女の子も同様だが一点だけ違うところがある。

それは、シャンプーや石鹸の香りに混ざって、理性を溶かすような甘い香りがするのだ。いや、お前の嗅覚がイカれているだけじゃないの?と思うかもしれないが、俺の嗅覚は至って正常だ。さて、ここで読者に質問したいと思う。

周りにいる()()()から理性を溶かすような甘い香りがしていたらどうするか?

概ねとる行動はこのようなものでは無いだろうか?

一:クンカクンカと深呼吸して、体全身に取り込む。

二:空気を袋詰めして、家に持ち帰りスーハー、スーハーとシンナー中毒者よろしく袋を口に付け深呼する。

三:理性が崩壊して、直接嗅がせろ~と襲い掛かる。

四:変態紳士らしく、誰もいなくなった放課後に椅子や、体操服に顔を突っ込み嗅ぎまくる。

さあ、あなたの取る行動はどれだろうか?まさか、どれにも当て嵌まらないという異常者はいないだろう?俺は一だ!正直どれも捨てがたいが、一部犯罪行為に当たる為実行できないのが悔やまれる。どれを選んだにせよだ、美少女の香りを取り込むと、こう……、ヤバいんだよ。(語彙力仕事しろ)

恍惚感と、多幸感に満たされてフワフワ~とするんだ。こういうと、危ない薬をやっているヤツに思われるかもしれないが、事実なのだから否定しようがない。こうやって実体験をした事で、俺の女の子は甘い香りがする?ハッ!ばっかじゃねぇの!という考えは百八十度変わってしまった。



まあ、学校での出来事はこのくらいだ。いかがだっただろうか?漫画やアニメみたいに毎回のようにハプニングや何らかの事件が起きるわけでは無い。ありふれた日常。変わらない日々。そんなものだろう。ここまで日記に書き綴って、少し疲れたので椅子から立ち上がり、ベランダに出た。

外の空気は澄んでいて、少し冷たい。手摺に寄りかかりながら、秋の夜空見てボーッとしてみる。こう、男にはなにも考えず一人で居る時間が必要なのだ。あ~、期末試験も近いな~とか、クリスマスどうしよう?とか考えたくなくて現実逃避している訳ではない。断じて違うからな!

秋……、月……、綺麗。頭に浮かんだ単語の羅列。月が綺麗ですね、とは夏目漱石の言葉だったか?この言葉に対する返しは、死んでもいいわが定番だろうか。どちらもとても美しい言い回しだと思う。ストレートに好きですとか付き合って下さい等でもいいんだが、件の言葉には日本人らしい奥ゆかしさや謙虚さを感じられてとても好感が持てる。まあ、言葉の意味を知らない相手だったらはっ?となるだろうが。その時の白けた空気を思うと非常に居た堪れない。まあ、現代の若者は電話やメールで告白をサクッと済ませるのかもしれないが、おじさんから見ると物足りなさ……、いや寂しさを感じるな。古い考えだが、面と向かって自分の言葉で一所懸命に伝える事に意味があるのではと思う。こんな事を若者に言ったら老害と言われるんだろうな……。あっ、俺もその若者だったよ。十六歳のピチピチDK(だんしこうこうせい)だよ。んん~と背伸びをして、一息。そろそろ寒くなって来たし部屋に戻るかと、踵を返そうとした所で夜空に流れ星が一つ光と共に過ぎ去った。光陰矢の如し。春から夏、夏から秋に季節は巡り、秋から冬へ。時間は待った無しで流れゆき、季節は移ろい変わる。もうすぐ冬へと差し掛かる中、俺が思った事はだた一つ。

さっむ。未だに短パン、半袖は無謀だったか。である。

ほんとさぁ~、良い流れで来て期待値上がっていた所で、最悪のオチをぶちこむんじゃないよ!!と日記を読んでいるであろう、諸兄・諸姉の怒りを代弁してみた。

さあ、次回からはいよいよ冬編に突入するぜ!準備は出来ているか?Are you ok?

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