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この世界で俺は……  作者: ねこネコ猫
高校編
28/163

No27

えー、本日は文化祭当日でございます。まあ、準備風景とか延々(えんえん)と日記に書いてもつまらないだろうし割愛で。あっと、重要な事を言い忘れていた。真司に頼んでいたケモ耳だがとんでもない事になった。親御さんが初めてできた息子の男友達のお願いという事で相当張り切ったらしい。そう、張り切り過ぎてしまったのだ……。関連会社も巻き込み、総力を挙げて製品開発に取り組んだらしい。普通に考えておかしいだろ!って思うが、これも親の愛なのかねぇ?まあ、兎に角期間が無い中で作り上げた品はこれだ!耳と尻尾は脳波を感知して波長に合わせて動く。また、装着した際違和感が無いよう、細部にまで工夫を凝らしていて間近で見ても本当に頭や腰から生えているようにしか見えない。質感もリアルさを保ちつつデフォルメされていてカワユス。こうして、謎技術で作られた品は昨日届いた。かなりギリギリの到着となったがそれも致し方ないだろう。開発チームは日夜徹夜してゾンビ状態だったらしいので、心よりお詫びする。デスマーチ、駄目、絶対!!

三六協定を守って!労基署がすっ飛んで来るよ~!逃げてーー。


文化祭は二日間に渡って行われ、外部から来校できるのは招待客のみ。校門を通る時には入念なチェックが行われたうえで入校出来る仕組みだ。これは数少ない男子生徒が通っているので、安全第一としているからだ。そんな事を考えていると校内放送が流れだした。

『時間になりましたので蒼律学園文化祭を開始します』

『繰り返しお伝えします。時間になりましたので蒼律学園文化祭を開始します』

よしっ!出来る事は全てやったし後は全力で楽しむのみだ。こうして一日目がスタートした。我がクラスの出し物であるCafeは午前担当と午後担当に分かれている。ちなみに俺は二日間とも午前担当だ。さて、早速お客様がいらっしゃったみたいだ。クラスメイトが接客しているのを眺めているとこんな声が聞こえてきた。

「わぁ~、可愛い。それって猫耳ですよね?」

「はい。私も気に入っているんですよこのケモ耳」

「ピコピコ動いて本物みたい。それってどこで売っているんですか?」

「これはお店で売っているものでは無く、今日の為に作った物なんです」

「えーー!凄い!羨まし~~」

等々評判は上々のようだ。勿論飲み物や、アリスさんお手製のケーキなんかも好評でなにより。あっ、飲み物やケーキはバイト先から提供してもらっているので味はお墨付きだ。暫くは裏方の仕事をしていたが、接客の方にチェンジとなった。普通に対応してもつまらないので、執事風に接客してみようかな?今思えばこの悪ノリがいけなかったのだろう。後で痛い目を見るとも知らずに……。さっそく来たお客様に試してみる事にした。

「いらっしゃいませ、お嬢様。二名様でよろしいでしょうか?」

「「………………」」

「お嬢様?なにか気になる事でもありましたか?」

「はっ!?今お嬢様って聞こえた気がして。空耳ですよね」

「いえ、間違いではありませんよ。改めましていらっしゃいませ、お嬢様。二名様でよろしいでしょうか?」

「はっ、はい。二名様です」

「では、お席にご案内いたします。足元にお気を付け下さい」

テーブルに案内して、注文を受ける。

オーダーを受けた品をお渡しする際も、執事風は崩さない。

「お待たせ致しました。こちら紅茶と、シフォンケーキになります。ごゆっくりお楽しみ下さい。また、なにかありましたら(わたくし)セバスチャンにお声がけ下さい」

「はい♡」

顔を赤くさせ、目をとろんとさせてそう言う姿は完全に恋する乙女。さっと踵を返して立ち去る。その際流し目も忘れない。まさに完璧な執事ではないだろうか!まあ、名前はセバスチャンとかテンプレ過ぎるけどな……。ていうかなんで執事=セバスチャンって名前なんだろうか?だれか分かる人教えて~。



another view point


「はぁ~。セバス様格好良い」

「私がお嬢様。そして執事のセバスチャン。二人の禁断の恋……、きゃぁーー♡」

「何言ってるの!セバス様は私の執事よ」

「はっ!寝言は寝てから言いなさいよね!わ・た・しのセバスチャンよ!」

「ぐぬぬぬ~!ほら、去り際に私に流し目したし!」

「いや、あれは私を見たんだよ」

「くっ……、あー言えばこう言う。悪徳政治家か!」

「そっちこそ!ふん」


another view pointEND


こんなやり取りがあったとは露程も思わず、俺は次のお客様の対応をしていた。そして、いつの間にやら廊下には長い行列が。なにやら、イケメン執事が接客してくれるという噂が瞬く間に広まったらしい。だが、ここで問題が発生した。どのお客様も俺に対応してもらいたいらしい。他の女子が席に案内しようとしても、断るらしい。いや、どんだけ執事好きなんだよ!と思わずツッコンでしまった。だが、やるしかない。お昼までフル稼働で頑張りました。

もう疲れたよ。パ〇ラッシュ……。午後担当から聞いた話では、俺が居ないと知ると去るお客様が多かったらしい。こりゃあ、明日の人員配置を再考しなければいけないかも、なんて委員長がぼやいていたとかなんとか。ようやっと、自由になれた午後。時刻はお昼過ぎなので、まずは腹ごしらえといきましょう。一緒に周る面子はお馴染みの結衣・楓コンビ。そして、なぜか先生とクラスメイト数名。食べ物系の屋台は屋外でやっているので昇降口で外履きに履き替えてGO!数ある中から選んだのは、お好み焼きと肉巻きおにぎりだ。お腹減っていたし、ガッツリ食べたい気分だったのでこのチョイスとした。他の面々はたこ焼き・焼き鳥・焼きそば等を選んでいた。飲食スペースにあるテーブルに買った物を並べてみんなでシェアして食べる事に。手を合わせて頂きます。

「うん。美味い。お腹が減っているのもあるけど、なかなかレベルが高い」

「だね。この焼き鳥も炭で焼いていて美味しいよ」

「たこ焼きは……、まあ普通かな。作り方は単純だけどそれ故に技術力が如実にでるから仕方ないと言えば仕方ないけど」

ふ~む。

結衣が美味しいと言った焼き鳥は食べるとして、楓がイマイチと評価したたこ焼きは無しかな。

「んっ、お好み焼きと焼きそばも美味しいわよ」

そう言ったのは先生だ。粉ものと粉ものの組み合わせ……。

もしかして関西圏の出身なんだろうか?

「よく粉ものどうしで食べれますね。こう……、気持ち悪くなりませんか?」

「ううん。そんな事無いよ。寧ろこの組み合わせが最高だと思うんだけど」

「あ~、もしかしてお好み焼きとご飯の組み合わせがいける人ですか?」

「もちのろん。焼きそばとかたこ焼きもご飯と合うわよ」

「そっ、そうなんですね……。まあ、人それぞれなのかな?ちなみに先生は関西圏の出身ですか?」

「うんん。生まれも育ちもこの地方だよ」

なるへそ。まあ、食の好みに関してはあまり干渉してはいけないしこれで終わり。

目玉焼きにかけるのは、ソースか醤油か、はたまた塩、いやいや何もかけない等々終わりなき熾烈な戦いが過去に幾度となく繰り広げられていたし、マジで戦争になるからな。ちなみに、この手の話で友人と大喧嘩して一ヶ月ほど冷戦状態になったのは懐かしい思い出だ。みんなで和気藹々(わきあいあい)と昼食を取って、お腹も満たされた所でお次は飲食系以外の出し物を見てみる事にした。演劇やバンド演奏、はたまたバルーンアートなんてものもあった。どれも総じてレベルが高く、とても見応えがあって楽しかったです。特にお化け屋敷はマジで怖かった。あれは、老人とか心臓が弱い人は死ぬんじゃないかってくらい怖い。入場時に人数制限があって三人一組が限界でそれ以上は入れない仕組みだった。なので、俺・楓・先生の組み合わせで入ることに。中に入り薄暗く、辛うじて足元が見える通路を恐る恐る進む。

恐怖心を煽る効果音や、ガタッ、ガサガサと時折聞こえる音にビクッとなりながらも前に前に進む。そして、曲がり角に差し掛かった所で目の前に血塗れの口裂け女が飛び出てきた。三人揃って

「きゃあーーーーーー!!」

と思わず悲鳴を上げてしまった。同時に先生と楓がギュッと腕にしがみ付く。決して豊かとは言えない膨らみがムギュッと押し付けられて形を変える。その時点で俺の心は折れてしまったよ。恐怖と言う悪魔と、おっぱいという魔性に俺は……負けてしまった。その後も襲い来る数多のお化けとムギュッムギュッと押し付けられる胸にずっと悲鳴を上げっぱなしだった。お化け屋敷って密着度半端ないし、暗い中で聞こえる荒い吐息とかなんかエロいし最高なんじゃないかという真理に俺は到達した。これが、悟りを開くという事か!!こうして新たな境地に辿り着いた出来事であった。


結構見て回ったが、それでも全体の半分ほどだろうか。なんとか明日で全部を制覇したいところだが、厳しいかな?そんな事を思いながら教室に戻ると、アナウンスが流れた。

『ただいまを持ちまして文化祭一日目を終了致します』

『繰り返しお伝えします。ただいまを持ちまして文化祭一日目を終了致します』

ふと窓から外を見ると、夕焼けが地面を照らしていた。もうそんなに時間が経ってたのか。なんか一日目にしてかなり濃い内容だった気がする。はてさて、二日目はなにが起こるのやら。期待と不安が入り混じる中帰宅の準備を始めた。

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