No13
さて、ストーカー事件のその後がどうなったか、気になるのではないかね?軽くだが、説明をしようじゃないか。(ダンディおじ様口調)
あの後、事件は緘口令が敷かれメディアなどでは一切報道はされなかった。学校でも、同様で何事もなかったかのように日常が戻ってきている。ただ、警察からの提案で自宅や通学路、バイト先の周辺などのパトロール強化が行われた。
学校も警備体制の見直しや、メンタルヘルスを担当する医師の常駐等々様々な事を行っている。通学の際は葵が今までよりべったり張り付き周囲に目を光らせたり、バイトに行く日は誰かしら一緒に店まで行くようになったりと色々なことが変わっていった。特に精神的なショックが大きいだろうという事で、PTSDや女性不信等になっていないか?メンタル面で問題がないか調べる為精神科に暫く通ったりと本当に色々あった。そうした事もありつつ、今はいつもの日常を過ごしている。
唐突だが、林間学校というものをご存じだろうか?学校によっては臨海学校かもしれないが。そう、俺が通う学校では林間学校なんだが、それが来週に迫っている。あんな事件があった為参加は見合わせても問題ないと言われたんだが、貴重な青春の一ページを彩る行事に参加しない?否だ!断じて否だ!という事で参加します。と言っても実行委員ではないので特にやる事はないのだが。あっ、虫よけスプレーとかモバイルバッテリーとかを買ったりと個人的な準備はしていたが。そうしてあれよあれよと時間は流れて本日林間学校初日と相成りました。
朝家を出るときに母さんに
「大丈夫?忘れ物は無い?何かあったらすぐに連絡してね。あと、虫刺されには注意してね。夜は冷えるから暖かくして、危ないから夜道は歩かない。あとは~」
「母さん、子供じゃないんだから大丈夫だよ。心配し過ぎ」
「でも、あんな事があった後だし心配で……」
なんて一幕もあったが、なんとか説得して学校に向かうことにした。
校門で葵と別れてそのまま駐車場の方へ移動。すでにバスが何台も停まっており、そちらを見つつ先生達がいる場所に向かった。
「おはようございます」
「おはよう。Aクラスはあそこに集合だからそこで待っててね」
「分かりました。荷物はまだバスに乗せられませんか?」
「ごめんね、まだ駄目なの。みんなが集まって移動するときにお願いね」
担任とそんな話をしたあと集合場所へと移動。みんなと挨拶を交わして話をしつつ待っていると全員集まったみたいで、注意事項やその他諸々を長々と話された後バスに乗り出発となった。俺の席は最後方の真ん中なので車内が見渡せるいいポジションだ。みんなあれこれ話をしていたり、さっそくお菓子を食べだした子もいる。んっ、見てたら俺もお菓子食べたくなってきた。
「ポッチー食べる?季節限定の抹茶味だよ」
「ありがとう。ちょうど甘い物食べたいと思っていたんだ。……あのさ、俺そんなに食べたそうな顔してたかな?」
「ん~、なんとなく食べたいのかな~って思って」
「何も言わなくても察するって熟年夫婦みたい」
「ちょっと楓ちゃん、私まだナウでヤングなピッチピチの女子高生だよ!でも……夫婦。うふふ」
ナウでヤングなピッチピチって、死語じゃね?すっごい久々に聞いたんだが本人には言わないでおこう。結衣おっさん説が俺の中で急浮上してきた!その後もちょいちょい死語を言ってくる結衣に苦笑いを浮かべつつ、バスは目的地に近づいていった。
たどり着いた場所は避暑地然とした場所で、こう森林浴でもしてゆっくりしたいと思わせる感じ。そして、宿泊施設はどうかというと薄々分かっているかもしれないが、豪華です。歴史を感じさせる洋館でしっかり手入れされていて、よく言えば荘厳で美しい。悪く言えば金田〇少年に出てきそうな事件が起きますよ的な佇まい。旅館などには泊った事はあるが、こういった洋館は初めてなのでちょっと楽しみ。従業員に案内されてゾロゾロと移動開始。今回は男子で参加しているのは俺のみなので部屋は一人部屋となっています。案内された部屋に入ると、荷物を置き早速見て回ることにした。ベランダがあったので外に出て一息。目に映るのは青い空、白い雲、そして森。すっーと深呼吸をすると僅かな草木の香りと胸を満たす美味しい空気。落ち着く……、椅子に座って紅茶でも飲みながら読書したい気分。
だが、この後集合して班行動をしないといけない為グッと我慢して部屋を出た。
俺の班は森の探索をして植物観察をすることになっている。まあ、実際は遊歩道を歩いて、川遊びをするだけなんだが。建前大事。川まで他愛無い話をしつつ歩いて、到着。ちなみに、他の班も何組か一緒になってついて来ていたのでみんな考える事は同じなんだなと思ったり。川遊びと聞いて思い浮かべるのはどんな事だろう?泳いだり、釣りをしたり、虫取り等そんなところだろうか?俺はと言うと、河原で石を積んでいる。いや、賽の河原の石積を再現しているんじゃなくて、カモフラージュだ。水遊びをしている女の子、非日常の体験、あとは分かるだろう?…………そう!!開放的になっているので水で濡れて下着が透けていても気にしないのだ!!だが、ここでガン見は紳士としてやってはいけないNG行為だ。
さりげなく、そして見ていませんよ、気づいていませんよ的な態度が大事なのだ。ふむ、水色か……、おっあの子はピンクかいいね!んっ?こ、これは……!黒……だと……。そしていやにぶるんぶるんさせている子はもしやノーブラ……なのか?いやまて落ち着け俺、まだ焦る時間じゃない。目を瞑り深呼吸をして、再度目を開けたら黒とぶるんぶるんが飛び込んできた。やはり見間違いでは無かった!ジーザス!!神は本当にいた。黒ブラジャーと肌色のコントラスト、そして魅惑の谷間。
言葉は必要だろうか?否、そんなものは不要だ。ノーブラ、これ以上の理性破壊兵器はあるだろうか?あるなら教えてくれ。濡れたTシャツが張り付きくっきりと胸の形を露わにしている。そしてピンク色の突起!言わずもがなチ・ク・ビだ!乳首だ!(大事な事なので二回いいました)思わず鼻を押さえてしまったが、幸い鼻血は出ていなかった。キャッキャッと遊んでいる美少女達、そしておっぱい。これなんてエロゲ?夢なら覚めないで欲しい。
だが、楽しい時間程あっという間に過ぎるものでそろそろ宿に戻らなければいけない。女子たちは道中こんな会話をしていた。
「や~ん、濡れちゃったね~」
「うん。パンツまでぐしょぐしょだよ~」
「ブラも濡れて気持ち悪いし、外そうかな?」
「おっぱい大きくなった?前に見た時より成長してない?」
「水着もってくればよかったかも。そしたら泳いだり出来たのに」
うら若き乙女たちがこんな会話を繰り広げているなかで平静でいられた俺に拍手を送りたい。
夕飯はビュッフェスタイルで美味しい料理に舌鼓を打った。ごちそうさまでした。夕飯が終われば自由時間になる。各々が好きに過ごしている中俺は今日一日を振り返っていた。二度目の高校生活、そしてむさい男だらけだった前世の林間学校。
だが、今回はどうだ?ラッキースケベもあり、美少女達と一緒に遊んで最高ではないか。さらば悲しき過去よ、暗い思い出は極彩色で彩られたのだ。ふぅ、回想に耽っていたら結構時間が経っていた。そろそろ風呂に入らないといけないが、自室のシャワーで済ませるのもあれなのでせっかくだし大浴場に向かう事にした。ちなみに、大浴場の利用は男女で時間が決まっていて今は男性が使用できる時間だ。
ふんふん~と鼻歌を歌いながら浴場の扉を開き中へ。パパッと服を脱ぎ、かけ湯をして湯船に浸かると思わずふぃ~~、と声が出てしまう。気持ちいい。一日の疲れが洗い流されていくようだ。お湯が流れる音を聞きつつリラックスしていると、カラカラと音が響いた。んっ?誰か来たのか?まさかな、聞き間違えだろ。だが、ヒタヒタと床を歩く音が近づいてきて目に飛び込んできたのは……。
「きゃぁーーーー!!」
「あっ、ごめんなさい!」
悲鳴と謝罪が同時に響き渡る。
「まさか、まだ入っているとは思わなくて」
「え?まだ男性が使える時間ですよね?」
「もう過ぎているわよ。だから入ってきたのだけど……」
「げっ、すみませんでした。すぐ上がります」
「えっと……、大丈夫よ。ゆっくりお風呂を楽しんで」
「あっ、はい。……あの先生。前隠した方が……色々見えています」
「ごめんなさい。変なもの見せてしまって」
「いえいえ。こちらこそありがとうございます」
「ふふふ。お礼を言われるなんて、へんなの」
ふう、ビックリした。まさか、先生が入ってくるとは思わず悲鳴上げちゃったよ。普通逆じゃないかって?俺もそう思う。男の悲鳴とか誰得だよって感じだし。
バスタオルを体に巻いてから、湯船に浸かって息を吐きだす先生。いつも合法ロリとか思っていたが、上気した頬、しっとり汗ばんだ肌、妙に色っぽくて思わず見惚れてしまう。こうして見ると大人の女性なんだなと改めて思う。普段とは違う一面を見て少しドキッとしたのは胸の内にしまっておこう。さて、いつまでもいるわけにもいかないしさっさと体を洗って出よう。
部屋に戻り火照った体を冷ましながら思った。To LOV〇るのリ〇さんかよ!!今日はラッキースケベ多すぎだろ。林間学校初日でこれとか二日目はどうなってしまうのか……。期待と、リアル〇トさんになるかもしれないという少しの恐怖を抱きながら眠りについた。




