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この世界で俺は……  作者: ねこネコ猫
大学編
118/163

No117(海外編3)

えー、この国に来て数日が過ぎました。環境にも大分慣れてきた所です。今日も今日とて観光に行きますよー。午前中は演劇を観に行きます。俺が滞在している都市には有名な劇場が合ってそこに行きたいと前々から計画を立てていたのです。さて、時間も押し迫ってきたので出発進行~。


開演時間の三十分前に無事着きましてチケットも購入したし後は席に行くのみ。

「いや~、この劇場歴史を感じますね」

「確か二百年程前に建設されたはずです。勿論何度も改修工事は行っていますが」

「いやはや、本当に素晴らしいです。日本にも古い建造物は沢山ありますが、そういった建物とは趣が違ってまた良いですね」

「甲野さんは古い建造物がお好きなんですか?」

「好きですね。歴史を感じられるし、その時代の人達が何を考え何を感じたのか、そういった事に想像を巡らせるのが楽しいんです」

「なるほど。中々に渋い趣味をしていらっしゃいますね」

「あはは。まあ、自分でもそう思います」

「おっと、もうそろそろ開演するみたいですし移動しましょうか」

山下さんから促され少し急ぎ足で指定された席へと向かう。

今回上演される劇はウィリアム・シェイクスピアのリア王だ。シェイクスピア四大悲劇の一つであり、世界的に有名なので読んだことがある人もいるだろう。かく言う俺も日本語訳版を読んだが何とも言えない気持ちになったのを今でも覚えている。悲劇なので自信を持って人にお勧めは出来ないが興味がある人は一度読んでみてはどうだろうか。

おっと、いよいよ開演だ。


甘言に惑わされ、裏切られ、狂気にとりつかれ死んでゆく。狂おしい程愚かでなんと惨めなんだろう。劇は進みいよいよ終盤に差し掛かり、娘の遺体を抱いて現れたリアは悲しみに絶叫し世を去る所で幕は下りた。

「………………ふぅ」

「どうでしたか?」

「素晴らしかったです。演者の迫真の演技、心揺さぶる台詞、そして演出。全ての完成度が高くて息をするのも忘れる程見入ってしまいました。坂本さんはどうでしたか?」

「私は原作は未読なのですが、分かりやすい構成で面白かったです」

「でしたら、原作を読んでみてはどうでしょう?日本語訳もありますし」

「そうなんですか?それじゃあ帰国したら買おうかな」

「ぜひぜひ」

「私今までは演劇にはあまり興味が無かったんですが、これはハマりそうです」

「ふっふっふ。魅力に気付いてしまいましたか。一度ハマれば抜け出せなくなりますよ~」

「ふふっ。ですね。甲野さんには感謝です」

「とんでもないです」

三人で感想を言い合いながら劇場を後にして歩きはじめる。


時間はお昼を少し過ぎたくらいで、ここで遅めのお昼を頂くことにしようか。今回選んだのは肉!肉と言えばステーキ。ということでステーキハウスに来ました。

「お二人はどれにしますか?」

「リブロースにします」

「私は定番のサーロインですね」

「おぉ。結構ガッツリいきますね」

「仕事柄パワーが必要なのでこれくらいペロリですよ」

「お腹が限界まで空いていると二枚くらい食べちゃいますから」

「それは凄い。食べた後胃もたれとかしないんですか?」

「しないですね~。身体を鍛えているから胃腸も一緒に強くなっているのかもしれません」

「羨ましいです。俺ももっと身体を鍛えようかな」

「うーん、個人的には今くらいが一番良いと思いますよ。適度に筋肉もついていてバランスが取れているし、ムキムキだとあまり女性受けは良くないかもです」

「おっと、それは大問題だ。何事もほどほどが一番ってことですね」

「ですね。話は変わりますが、甲野さんはどの部位を選ぶんですか?」

「俺はヒレですね。脂肪が少なくて柔らかいので食べやすいですから」

「お爺ちゃんみたいな事言いますね」

「若者とは思えない発言。もっとガッツリいった方がいいのでは?」

「トンカツとかステーキとかは結構脂っぽいので肉はあっさりしたのが好きなんです。焼肉とかもカルビよりロース派ですし」

「ふむ。健康を考えると確かにそっちの方がいいですね。私もヒレにしようかな」

「むぅ、そう言われるとヒレも美味しそう。うー、迷う」

「でしたらハーフ&ハーフを選べばサーロインとヒレ両方を味わえますよ」

「それは神ですね!それにします」

「それじゃあ、決まった所で注文しましょうか」

「「はい」」

届いたステーキはThe海外サイズで滅茶苦茶デカい。頑張って食べたんだけど完食は無理でした。坂本さんと山下さんは美味しいって言いながら綺麗に完食。女性に負けるなんて……と思ったが二人とも結構食べるタイプだし比べる相手が間違っているな。うん、悔しくなんてないんだから!


ちょっと食べ過ぎた感がある昼食も終わり、腹ごなしがてら次の場所へと来ました。ここは有名な観光名所で広大な敷地を持つ国立公園です。飲食店、アスレチック、プール等々様々なものがある公園というよりテーマパークっぽい所ですね。日本では殆ど見かける事がないから楽しみ。

「まずはぶらぶら歩いてみてもいいですか?」

「構いませんよ」

「分かりました」

三人揃って歩き始めたが、五月という事もあって暑くもなく寒くもなく絶好のお散歩日和。目に映る人たちは同じように散歩していたり、芝生でヨガをしていたり、はたまた女性同士でイチャイチャしていたりと様々。最後の方は百合かよ!って突っ込みをいれてしまったが、嫌いではない。男性が少ないこの世界では百合に走る人も多いだろうし、なにより美女同士だから目の保養になる。うっへへと妄想を膨らませていたが、不意に彼女達の事が頭を過ってしまう。今は何をしているんだろう?元気かな?会いたいな等々一度考えてしまうと止まらなくなる。

「こ……さ……こうの……甲野さん」

「はっ!?えっとなにかありましたか?」

「急に立ち止まって棒立ちになっていたので声を掛けたんですが大丈夫ですか?」

「あっ……。実は彼女達の事を考えていて……」

「そうですか。離れ離れですものね。会いたいですか?」

「そうですね、会いたいです。だからと言ってここで帰るわけにもいかないですし、すぐに気持ちの整理をつけますから少しだけ待ってもらってもいいですか?」

「いつまでもお待ちしますので気の済むまでどうぞ」

「ありがとうございます」

はぁ、こんなんじゃ駄目だな。坂本さんと山下さんにも迷惑をかけてしまうし、彼女に会えないからってセンチメンタルになるなんて思春期の中学生かよ。前世も合わせたら五十代後半だぜ。俺よ、もっと確りしろよ!会えない時間が絆を深めるという言葉もあるし前向きに考えよう。よっし!

「お待たせしてすみません。もう大丈夫です」

「辛かったら私達で良ければいつでも話を聞きますから遠慮せずに仰って下さい」

「はい。その時はお世話になります」

気持ちを切り替えた後はお散歩の続きです。他愛のない会話をしつつ、目についたお店に入ってみたりアスレチックに挑戦したりと遊んでいたが少し疲れてしまったので休憩を取る事になりました。

ベンチに座り紅茶を飲みつつ辺りを眺めていると、少し遠くに凄い子を発見。

金髪碧眼ツインテールというグリザ〇アの果実の松嶋み〇るやパ〇フェの花〇玲愛を彷彿とさせる美少女が居た。いやいやお前さぁーそんなの二次元だけだろって思うかもしれんが、今!ここに!存在している!!これは声を掛けるべきか否か。二次元存在が三次元に降臨したのにアクションを起こさないとか頭おかしいし……、けど俺には彼女がいる。しかも護衛の二人もいるんだ。どうするべきか…………、アホみたいに頭を悩ませていたが(仮)金ツイ最カワ美少女がこちらを向いて笑顔を浮かべたではないか。しかも振り向いた際おっぱいをブルンブルンさせながら!ゴクリ……これはもう無理だわ。恥も外聞もかなぐり捨てて突撃します。例え屍を晒す事になろうとも。

「ハ、ハロー」

「こんにちは。私日本語喋れるので英語じゃなくてもOKですよ」

「あっ……、ですよねー。あはは……は……」

はい無事死亡しました。お疲れ様でしたー、これにて解散。……日本語普通に通じるの忘れてた。

「あの、日本人の方ですよね?」

「そうです。日本から観光に来ました」

「わぁ~、私日本人初めて見ました。凄い格好良いですね」

「これはどうもありがとうございます。えっと……」

「あっ、自己紹介がまだでしたね。私カトレアといいます」

「俺は甲野悠といいます。カトレアさんも凄い可愛くてグッドです」

「男性にそんなこと言われたの初めてです。すっごい嬉しい♡」

グハッ。太陽よりも眩しい満面の笑みを浮かべて喜ぶ姿は地球を破壊できるくらい強い。もうね、圧倒的な強さよ。最高過ぎて束の間の臨死体験をしたぜ。

「あのあの観光で来たって言ってましたけど、この公園にあるプールには行きましたか?」

「いえ、まだ行ってないですね。というかプールなんてあるんですね」

「はい。大きくて色々なアクティビティもあるので時間を忘れて遊べますよ」

「へー。楽しそうだし行ってみようかな。あっ、でも水着持ってないや」

「そんな方の為になんと水着のレンタルもしているんです」

「至れり尽くせりだなぁ。時間も余裕があるしどうしようかな。坂本さん、山下さんはどうですか?」

「私も行ってみたいですね。プールなんて久々ですし」

「そうね。水中訓練以外でプールに行くなんてここ最近なかったし賛成です」

「満場一致で決定ですね。あ、場所が分からないや」

「私が案内しましょうか?」

「カトレアさんにも予定があるでしょうし場所さえ教えてもらえればOKですよ」

「実は私何にも予定とか無くて暇をしていたんです。なので良かったら私も混ぜてもらってもいいでしょうか?あっ無理なら遠慮なく言って下さいね」

これはどうしよう。警護の関係もあって俺の一存で決めれる事では無いし二人に聞くか。カトレアさんに聞かれないよう少し距離を取り小声で相談開始。

「どうしましょうか?」

「警護の観点から言うと遠慮してもらいたいですが、うーん……見た所問題も無さそうですし同行しても問題はないと思います」

「少しでも怪しい行動をしたら取り押さえますし、私達も目を光らせておくので甲野さんのお好きなようにして下さい」

「では一緒に遊ぶ方向でいきたいと思います」

「「了解です」」

「それじゃあ一緒に遊びましょうか」

「やったー。じゃあ早速案内しますね」

エッヘヘヘ、これで美女・美少女の水着を見れる!ぐぅ~、抑えようとしても勝手に早歩きになってしまう。落ち着け、落ち着くんだ俺。女性陣に悟られるような真似は控えるんだ。そう、水着姿の為に!

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