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この世界で俺は……  作者: ねこネコ猫
高校編
1/163

No1

初めましてでいいのかな?この日記は俺に起きた摩訶不思議な出来事、そして日々の生活を綴っている。男の日記なんて読みたくないかもしれないが、これも何かの縁と思って最後まで読んでほしい。君の心になにか一つでも残るものがあればいいのだが……。


まあ、グダグダと書き連ねるのもあれだし最後に一言だけ。

ようこそ不思議な世界へ!





あ~仕事が終わらない…………。時計の針は天辺に差し掛かろうとしているのに終わらない。三徹目の体にエナジードリンクが効くのか分からないが取り敢えず飲もうと手を伸ばした時、ふらりと体が傾ぎ意識を手放した。


「うぅ……、頭が痛い…………えっ?」

頭痛を堪えながら体を起こし部屋を見回してみると、思わず変な声がでた。在宅勤務で仕事の書類やらなんやらが散らばっている部屋ではなく綺麗に整頓された広い部屋。いきなり知らない部屋にいたら変な声も出るだろう?出るよね?ねっ?


「どこここ?病院……ではないよな」

改めて室内を観察するが、普通の部屋で特に変わった所は見られない。取り敢えず現状把握をしなければと思い、ベッドから起き部屋のドアを開けようとしたら

「兄さんおはようございます」

と可愛らしい声と共にドアが開けられた。


「えっと……、君は誰でしょうか?」

「兄さん、寝ぼけているんですか? 葵です」

キョトンと小首を傾げて可愛らしく言うが、俺には妹なんていないんですが?朝起こしに来る幼馴染とかもいないし。そんな俺に構わず葵と名乗った少女は口を開き

「もうすぐ朝食の準備が出来るので居間まで下りて来てくださいね」

そう言い残し部屋から出ていった。


取り敢えず部屋にいても何も分からない為、居間に行く……、前に洗面所で顔を洗う事にしたんだが、鏡に映った顔が知らない顔だったんですが。何言っているかわからないと思うが俺もわからん。イケメン、Theイケメン! しかも若い! 俺三十半ばの平均的な顔だったのになにこれ?


「う~ん、夢……にしてはあらゆる事がリアルすぎるし現実だとしたらなおさら意味不明だ。もう少し情報がないと厳しいな。怪しまれるかもしれないけど自称妹の葵に色々聞いてみるか」

そう決めて朝食を食べるために居間に移動しながら、ふとなぜ知らない家なのに場所が分かるんだ?と疑問が浮かび上がった。少し考えたが見えている景色は知らないのに、ずっと暮らしている家みたいに当たり前にどこにどの部屋があるのか知っている。その事に薄ら寒い感覚を覚えて冷汗が頬を伝っていった。


居間に移動すると自称妹の葵が配膳をしていたが、俺の顔を見ると

「もうすぐ準備が出来るので席で待っていてください」

と言ってきたのでおとなしく席で待つことにしたんだが、居間には俺と葵のみ。母親と父親の姿が見えないのでもう仕事に行ったんだろうか?俺も見た目から推測すると高校生くらいだし学校に行くんだよな?などと考えていたら朝食の準備が整ったようで葵が席に座って手を合わせて

「いただきます」

と言った声に合わせて俺もいただきますと言った後に食事を始めたんだが、これが美味いのなんのって!思わず美味いっ!て声に出しちゃったら凄い嬉しそうな笑顔で

「兄さんのお口に合ってよかったです」

って言われて年甲斐もなくドキッとしたのは内緒でお願いします。まあ、そんなこともありつつ肝心の現状について色々聞いてみたんだが、纏めるとこんな感じだ。


一:家族構成は母・俺・妹の三人家族で父親はいない

二:母親は会社経営者 俺は来週から高校一年生 妹は中三

三:この世界は男女比が1:10で女性社会

四:俺の名前は甲野(はるか)らしい(女の子みたいな名前だよな)

五:三でも言ったが、男女比が偏っている為様々な面で男性が優遇されるらしい


自分の家族のことや、この世界の常識を質問したからかなり怪しまれたけど……。(兄さんどっかに頭ぶつけた? とか言われたし)なんとか誤魔化しつつ話を聞き終わり、タイミングよく食事も食べ終わったので自室に戻ることにした。今は情報集めが最優先だしね。


さてさて自室に戻ってきたわけだが、PCがあった為ネットで情報収集に励む事にしたんだがまあ俺の常識が音を立てて崩壊しました。だって、女性が痴漢で逮捕、男子生徒の体操服を盗み高額で販売して逮捕、男児誕生でニュースになる等々わけわかめですよ。でだ、情報収集の結果この世界は俺がいた世界とは似て非なる世界、所謂並行世界ではないのか?という考察に至ったんだがあながち間違いではないと思う。(異世界という線も捨てきれないが……)よって今後の行動方針としては元の世界に戻る方法も分からないし、甲野悠として生きる。そして、俺が本当の甲野悠ではない(中身が別人)とバレないようにする。これを当面の方針として動こうと思う。なにかあれば随時調整していけばいいしね。


方針が決まったので家の周りを散策してみることにした。休日の午前中だし時間はあるのでゆっくり見て周ったんだが、すれ違う人が全員女性ばかり。しかもチラ見・ガン見されるしなんか落ち着かない……。そんな視線を浴びつつも一通り近所は見たので少し落ち着こうと公園によってベンチで一息。

珈琲を飲みながら、ぼっーと空を見上げていると足元から幼い声で

「おにーさん、かっこいいね」

なんて聞こえてきて視線を下げればそこに幼女がいた。幼女がいた。

子供は苦手なんだが、無視するのもあれだし、けど無暗に話しても事案になりかねないし……。と葛藤していたら幼女が

「おにーさんひとり?いっしょにあそぼう!」

なんて言ってきて少し困った。ちょっと警戒心無さすぎじゃないかな?

「一人だよ。用事があるから一緒に遊ぶ事は出来ないんだ。ごめんね。それと知らない人に話しかけちゃいけないって親から言われなかった?」

「いわれた~。でもおとこのひとにはせっきょくてきにはなしかけなさいっていってた。えものをにがしちゃだめって」

はぁっ?ちょ、親御さん子供になんて教育してんのよ~!獲物を逃がすなって完全に肉食獣の考え方じゃないですか。でも、男女比が不均等なこの世界では当たり前なのか?ちょっと怖いんですけど。なんて戦々恐々としていると例の幼女が

「じゃあすこしだけおはなししよう。おにいさんのおなまえおしえて。あとこのちかくにすんでいるの?」

「名前は甲野悠、家はこの近くだよ。君のお名前は?」

「わたしははるなっていうの」

「はるなちゃんね。良い名前だね」

「えへへ~、ほめられちゃった♡ おにいさんすき~♡♡」

「あはは、ありがとう。はるなちゃんは一人で公園に来たの?」

「うんん、おかーさんといっしょ。えっーと、あそこにいるのがおかーさん」

と指さす先を見ればこちらを見ている女性がいた。目が合った為軽く会釈をすると向こうも会釈をしたあとこちらに向かって歩いてきたんだが、すっごい美人でした。眼福です!ありがとうございます。そんな事を思っていたら近くまで来た母親が口を開き

「こんにちは。娘がご迷惑をお掛けして済みません」

「いえ、迷惑だなんて。こちらこそ心配をおかけして済みません」

「そんな事ないですよ。幼いうちから男性と交流をもてるなんて本当に僥倖ですから。ありがとうございます」

「えっと、そんなに珍しい事なんですか?」

「はい。基本的に男性と接触出来る機会はあまり無いですから。特にこんな公園なんかで会える事なんて奇跡に近いです」

「そうなんですね。さっきから視線を感じてたのもそれが理由なんですね」

「だと思います。それとお兄さん凄い格好良いですし」

なんて頬を赤らめながら言われて少しドキッとしたが、相手は人妻!守備範囲外です。ふうっ、危ない危ない。その後少し話を続けて用事があるのでと別れたんだが、その時幼女にヒシッと足にしがみ付かれて泣かれたのは本当に参った。どうすりゃよかったんだ?いい対処法あれば教えてください。



なんだかんだありつつ近所の散策を終えて部屋に帰還。分かった事は完全に知らない土地という事。改めて元居た世界とは違うんだと実感させられた。さて、あとは母親に会いたい所だが仕事が忙しいため来週にならないと家に帰ってこられないらしい。来週と言えば高校の入学式がある。なんとなくだが波乱に満ちた高校生活になりそうな予感を抱きながら日々が流れていった。


そして本日入学式! 緊張しつつも支度をして家を飛び出した。

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