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倉庫

 クロウは飛竜討伐を終えその夜。

 マダム、ジョセリーナの幸福亭にてフィオが横除くベットで眠る中指輪を見つめていた。

 赤い宝石が夜闇の中、赤く薄っすらと光っている。

 その光はまるで生きているかのように光を鼓動させるかのように強くなったり弱く光る。

 「バラム」

 クロウがその名を呼ぶと座っている椅子の前に五芒星が描かれる。

 そこから角を生やし黒き羽を持つ美しい女性が現れた。

 『なにようか…』

 バラムは手を胸に当てしゃがみクロウに挨拶をする。

 クロウはそれを見たあとに腰から銃を取り出しバラムに見せた。

 「知恵を貸してくれ。

 この武器を改良したい」

 バラムは銃を見つめクロウを見た。

 『銃か…昔に使われていた武器だ。

 魔力を必要とせず使用できる…が、魔力を使わぬと言う事は力が無いも同義』

 クロウはバラムにうなずく。

 「そうだ。

 これを、改良するにはどうすればいい?」

 バラムは眉を上げ手を顎に当てた。

 『主には必要ないのではないか?

 まあ、しかし質問には答えよう。

 魔弾、と言う製法が嘗て存在していた。

 魔力を弾に込め作る製造方法だ。

 それならば、主の要望に答えれよう』

 バラムはクロウに歩いて近づき、頭に手を置きふわりと消えた。

 目を閉じると頭の中に知らぬ知識が浮かぶ。

 魔力を込めながら鉄を溶かし型に入れ冷ます。

 それを筒の先端にツケ、火薬もしくは炎系統の魔力を込め閉じ込める。

 最後に衝撃により起爆する雷管を取り付け完成。

 クロウは目を見開く。

 「なるほど…」

 クロウはこの場で作り出す訳にも行かずその夜は諦め椅子に深く座り月の光を使い本を読み始めた。

 …

 太陽が登り朝の光がマーレを包んだ。

 「んん…」

 フィオが呻き朝日にそっぽを向き寝返りを打った。

 パンっ

 クロウは本を閉じ立ち上がって部屋の入り口へと向かった。

 「フィオ、少し調べ物をして来る」

 フィオに返事はなく、クロウは気にもせず宿を出ていった。

 …

 クロウが向かう場所は冒険者ギルドだ。

 ギルドでは人がそこら中で眠りこけ、いびきが聞こえる。

 どうやら、昨日夜に祝杯を上げたらしい。

 クロウはそんな人を跨ぎギルドの奥へと向かった。

 ルナがクロウを見るや何も言わずカウンターへ通す。

 クロウがルナに続き奥の部屋に入るとようやくルナが話し始めた。

 「クロウさん、まずは報酬をお渡し致します」

 しかしそれは受け取らず首を振った。

 「いや、そいつは孤児院に入れてくれフィオの分は貰っておこう」

 一つの袋をルナから取り内ポケットに仕舞う。

 そこでクロウはある事に気づいた。

 「ルアはどうした?」

 ルナはそれに頷く。

 「はい、その事なのですが。

 昨日の夜にヘレナさんから子供を探すようにお願いされまして。

 アイラさんという赤毛の女の子なんですが昨日の夜頃からいなくなってしまったようで…」

 「行方不明か…分かった。

 例の件と一緒にその子も探そう」

 クロウはそう言い話を続けた。

 「早速だが、その麻薬を手に入れた場所を教えてくれ」

 「はい、場所は貧困地区の倉庫街。

 以前から調査はしていましたが大きな動きがあったのはつい先日。

 倉庫が炎上。

 私が調査そしてヘレナさんの情報によれば、おそらくユリスさんが未確認の魔物と遭遇、戦闘を行った事による事故ではないかと」

 「なるほど…面倒なのに巻き込まれたわけだ」

 クロウはその後、他に情報が無いか聞きタラクスの出現。

 殺人鬼の話を事細かに聞いた。

 「ふむ、では、お前を襲ったのと同一犯の可能性が高いか」

 ルナはそれに頷きクロウを見据えた。

 「クロウさん、この依頼、受けて頂けますか?」

 クロウは少し間を開け頷いた。

 「もちろんだ、受けよう。

 以前から追っていた案件でもあるからな」

 クロウはそう言うや扉から出ようとした。

 「クロウさん!、お願いします」

 ルナは頭を下げクロウを見送った。

 クロウは手を上げそれに応え外に出た。

 外ではちょうどフィオが来た様でクロウをいつもの様に怒った顔で見ていた。

 「フィオ、仕事だ」

 クロウが近づきフィオがなにか言う前にと先に切り出す。

 案の定フィオから怒った様子は消えた。

 「仕事? ようやくだな」

 クロウは聞いたことをフィオに伝え貧困街へと足を進めた。

 入り組んだ路地がある貧困街の中クロウはまず倉庫に赴き現場を見る事にした。

 街の家は雑に作られまるで後付したかのような家々が立ち並んでいる。

 道端には煙を吸う家の無い人々やその少し奥には怪しい人影がちらりと映る。

 「全く、相変わらず、雰囲気の悪い場所だ」

 「それも、この街では麻薬…イリュジオンの花の使用者が多い。

 ようやく、尻尾を出したってとこだろう」

 クロウはそう言いながら寝転び呻く老人を見た。

 酷い物だ、一度手を出せばもう戻れない、次々に欲しさらに量も増え酷くなるばかり…

 クロウは倒れている人々、物乞いをする人の横を通り過ぎていく。

 奥の奥へと来てようやく倉庫が立ち並ぶ場所へ出た。

 見渡すが、そこには見張りも居らぬ様でクロウは怪しみながらも倉庫へと近づき調べた。

 炎上したと思われる倉庫には焦げ目しかなく、荷物はもう既に運び出された後らしい。

 クロウは中へと入り壁や床を見た。

 焦げた壁に何故か新しい壁が作られている。

 修復したとしてもここだけの一面だけを直すのは違和感が残る。

 クロウは壁に耳を当て叩いた。

 コーンコーンと音が響き中が空洞と言うのが分かる。

 「フィオ」

 「よし、来た」

 フィオは待ってましたと腕を回し壁に手を当てた。

 フィオは深く深呼吸をし力を一点に絞り息を吐くと同時に壁に平手を放っつ。

 壁はガラガラと一部だけ壊れ石壁に囲まれランプに照らされた空間への道が開いた

 「上手く行ったな」

 クロウは人がちょうど通れる大きさの穴の中を除き見ながらそう言った。

 中は魔石の光で作られたランプが一定の感覚である。

 レンガで作られた大きな広場が目に映った。

 そこにはレールが敷かれ、トロッコが無造作に置かれている。

 クロウが中にはいると様々な物音が巨大な広場にこだました。

 猛獣のうめき声、人の声、物を引きずる音そしてトロッコがレールの上を走る音だ。

 この壊れた壁を見るに少しまずい状況だろう。

 クロウはそう思いながらも人の気配を感じる方を見やった。

 「やるか?」

 フィオは腕を叩き笑う。

 クロウはため息を付きそれしか無いかとフィオを見た。

 「それしか無さそうだな…」

 トロッコはガタガタと音を立てながらこちらへと走ってくる。

 トロッコが出てくる場所はどうやら地下に続いているらしく坂道にレールが敷かれている。

 ギギギという音と共にトロッコが到着した。

 クロウは壁に張り付きそれを見やる。

 するとそこから出てきたのは鎖に繋がれた魔族の男達だった。

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