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マーレ

 クロウは宿の2階、昨日の夜に手に入れた本を手に、日が昇り徐々に太陽に照らされていく、ナバト村を眺めていた。

 横には酒瓶を抱きしめてすやすやと眠るフィオの姿がある。

 門前では二人の影が見えた。

 二人は何か話し、大きな狼に跨りこの村を去って行った。

 クロウはその影が見えなくなるとまた本を開き続きから読み進めた。

 …

 「全く、挨拶も無しに行っちまうんだからな…礼ぐらい言わせろってんだ」

 朝になると一人の男が宿の食堂でそう文句を言いながら朝食を取っていた。

 フィオも朝食を取り、クロウはその前で本のページをめくる。

 「あの…ご飯、本当にいらないんですか?」

 クロウが本を閉じ見やると小さい少女がこちらを見上げていた。

 「ああ、大丈夫だ」

 「味が合いませんか? もしよければパンだけでも…」

 それにクロウは首を振る。

 「いや、必要が無いだけだ。

 気にするな」

 

 「おい! 仮面の旦那よお。

 せっかくただでやるって言ってんだ。

 一口くらい貰ったらどうだ」

 先程、何か文句を言っていた男が食事を止めそう言い放った。

 「今、言っただろ…」

 「おい、おっさん、そいつに構うな。

 そこのちっこいの、そいつの分をこっちに持ってきてくれ私が食べてやる」

 フィオが遮りそう言葉を続け場は静かに収まった。

 その後ナバトの村を出てマーレへと向かった。

 マーレに着く頃には深夜となり街は暗闇に包まれていた。

 クロウとフィオは仕方なくギルドに泊まらせて貰うことにし唯一しっかりとした明かりのあるギルドに入っていった。

 ギルド内は閑散としており4−5人いる程度だ。

 クロウはギルドのカウンターに向かってあるきテーブルにあるベルを鳴らした。

 すると扉が開きルアが出てきた。

 「ライエールさんにフィオさん。

 お疲れ様でした。

 お疲れの所悪いのですがどうしても見てもらいたい物が」

 ルアはスイングドアを開けカウンター内へと導きその奥のギルドのスタッフルームへと案内した。

 その部屋はギルドの書類が立ち並び備えれれている場所でさらにその奥へと進んで行く。

 その奥の部屋にはベットが2台置かれその上に人が二人が寝そべっていた。

 一人はルアと瓜二つの女性もう一人は男が寝ていて、その横で一人の少女がうとうととし椅子に座っていた。

 「シャールさん、もうお休みになられた方が良いのでは…」

 シャールと呼ばれた女性はびくりとしフィオとクロウを見た。

 シャールはクロウを見てすぐさま剣を引き抜こうと剣に手を伸ばす。

 「おっと、どう言う事だルア?」

 フィオが素早く動き剣の持ちてを抑え、引き抜け無いようにに抑えた。

 「シャールさん、安心して下さい。

 この方達は味方ですよ」

 シャールは狐の仮面を見て確かに違うと再び力が抜けたように椅子に持たれかかった。

 「すいません、あの殺人犯だと思ってしまって」

 「殺人犯?」

 クロウがそうルアに聞く。

 「その話は後で話しましょう。

 それよりも、見てほしいのです」

 ルアは二人の毛布を取り見せた。

 シャールはそれを見て泣き目を抑え袖で涙を拭った。

 そこには二人の包帯の場所から他の皮膚へと伸びている黒い模様が腕に刻まれていた。

 「二人とも傷を負ったしばらくの間はなんともありませんでした。

 しかし時が立つと動けなくなり意識も無くなってしまったようで」

 クロウは二人の包帯を取り傷を観察した。

 傷は癒えて居ないようで、血は出ていないが黒いあざのようなものが傷口から広がっている。

 「呪い…だな」

 クロウは総つぶやきながら手袋を両手から取り始めた。

 「呪刀…間違いない。

 呪いを込められて作られた刀でつけられた傷だ。

 普通は聖職者か呪術師に頼むとこだが。

 問題ない、俺がなんとかしよう」

 クロウは左手の手袋を外し終えもう片方の手の手袋を外しにかかった。

 クロウの手は白くまるで血が通っていないかのようだ。

 現れた右手には一つの黒い指輪がはめられており中央には赤く輝く宝石が埋め込まれていた。

 「離れていろ」

 クロウは一息し一人で話し始めた。

 「こい、バラム」

 この時他の3人には何も見えなかったがクロウの目には床に五芒星の魔法陣が光り現れたのを確かに見えている。

 そこから一人の頭に禍々しい角を生やし、黒色の羽を持つ美しい女性が現れた。

 『呼んだか?』

 バラムが話す、その声はまるでエコーがかかったかのように響く。

 「ああ、呪いを吸え」

 シャールとルアは今クロウが一人で喋っているように見えるため疑わしげに目を細める。

 『承知した。

 また、用があれば我が名を呼べ』

 バラムはそう言いスッと消えた。

 クロウは二人の腕を手で触れ目を閉じた。

 二人の黒色の痣は徐々にクロウの腕へと吸われて行くように移り手を通り袖の中へと消えていく。

 やがて二人の肌から黒い痣は消えた。

 クロウは胸を探り試験管のような物を取り出しコルクを取った。

 キュポンと言う音と共に取れその中に入っている青い液体を少しずつ傷口に垂らした。

 すると二人の傷口が癒え跡も残らず消えた。

 クロウは再びそれに蓋をし懐に戻す。

 ルアとシャールはその一連の光景を見て硬直していた。

 「だ…大丈夫なんですか!?」

 シャールが動きクロウの手を見た。

 クロウは手袋を再びはめる。

 「ああ、問題ない」

 「…う、ここは」

 「あ…う」

 先程まで寝ていた二人が起き上がり声を出した。

 「ボルカ!!」

 シャールはボルカに涙を再び浮かべ近づきボルカに抱きついた。

 「良かった…本当に良かった。

 私…もう起きないんじゃないか…って思ってたから」

 ルアもルナに近づき無言で抱き寄せた。

 「馬鹿…心配かけないでよ」

 ルナもボルカも何が起きているのかと理解できずただ、おどおどと抱きつく二人を抱きしめ返した。

 ルアは少ししたあとルナから離れシャール達に向いた。

 目についたゴミを取るかのように目をこすり、いつも道理の表情に戻る。

 「シャールさんボルカさん、この事はくれぐれも内密にお願いします」

 シャールは涙を袖で拭いルアを見た。

 「はい、もちろんです。

 お約束通りこの事は誰にも言いません」

 …

 早朝、クロウはギルドの外に出て宿へと向かった。

 マダム ジョセリーナの幸福亭。

 クロウが入るとカウンターに虎の男の獣人が立っていた。

 「いらっしゃいませ、ようこそ幸福亭へ」

 クロウはカウンターに近づきポッケから金貨6枚 6ガロンを置き言った。

 「一部屋、頼む」

 虎の獣人はそれを受け取る。

 「はい、ちょうど一部屋だけ空いております。

 ご利用ありがとうございます」

 そう言い鍵を渡した。

 クロウが2回へ上がるとメリーとアルバが3階へと上がっていく所だった。

 「なっ、ライエール。

 ここに泊まるのか!」

 ボルカがクロウに気づき立ち止まる。

 「まあな、今日、飛竜討伐だ。

 遅れるなよ」

 クロウはそう言い部屋番号を探した18番。

 クロウはその部屋を見つけ中を少し除き確認すると再び外に出た。

 ギルドに戻る際、脇道へと入り居住苦を過ぎて貧困区へと入っていった。

 すると目の前に教会が現れた。

 クロウは止まらずそのままその教会へと入って行った。

 

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