非難と避難
『 残酷さの中に、神を視る 』
もう訳がわからない。
さっきまで廃墟に居たのに、次の瞬間 この部屋に戻ってきている。
また部屋に戻ってしまったという絶望よりも、さっきの落ちた女性の事で頭がいっぱいだ
感情の処理が出来ない。
夢などではない
ついさっきまでのコンクリの床の冷たさが肌に残っている。
いよいよもって異常だ
その異様なこの部屋に、戻って来た事を少し安堵している自分に苛立った。
落ち着けば、また静寂さが重くのしかかる
あの女性はもしかすると生きているかもしれない、自分は助けようとしただけで彼女が勝手に落ちたのだ。
人間とは こんな時でも自分に都合よく考えるように出来ているようだ
だが、そうでもなければ心はとっくに壊れている。
考えよう、私があそこに居た理由。
この部屋の事、私が陥っている事態について もう一度。
私がおかしくなっているだけなのなら、もうそれでいい
少し開き直れた気分になった。
考えた、考えたが やはり答えは出ず 謎ばかりが膨れていく
私にこんな事をしたから何になるのか
廃墟に連れて行ったとして、あそこで起きた事は偶然だ。
私があの女性を助けず、自分本位に逃げる可能性だってあった
ショックを受けてる私を次の瞬間、また部屋に戻すという訳のわからない所業
既に、人間業でないのはほぼほぼ確定と言っていい
それとも、この世には私の常識を超えた科学が完成していて
それを操る裏社会の組織でもあるというのだろうか?
それでは漫画の世界だ、仮にそんな組織があったとして
その力を私に行使する理由が全くない。
・・・・・・全く、ないのか?
誰か 私を恨む人物が私を苦しめる為に?
人として最低限、正しく生きてきたつもりではあるが
もちろん 誰も傷つけずに来れた訳じゃない
自分では気付かない事で恨みを買った可能性もある。
自分の、自分の罪?
それは・・・・・・・・・・・・・
あまり思い出したくない、自分の過去と向き合おうとしたその時、それはあった
ベッドの上に手帳が置かれている。