紙の警告
『深淵はどこに行けば覗けるのか。』
扉の下に差し込まれた紙。
私の眼は釘付けになった
待ちに待った変化だ。
この部屋に閉じ込められた意味、その回答
何らかの説明
ずっと待っていたモノがついにやって来た。
心臓を高鳴らせ、震えながら扉に向かう
消えてしまわない内に、ゆっくり だが気持ちでは飛びつくように
おかしな話だ、私を閉じ込めた者からの脅迫のような内容かもしれないのに
感謝にも似たような感情でその紙を手に取る。
白い、ノートを破ったようなありふれた紙だ
しかし、文字が書かれている 確かに
すがるようにその言葉を読んだ。
「部屋から出るな」
・・・・・・・・・・・・!?
私は信じられなかった
怒りにまかせて紙をビリビリに破く
出るな?出たくても出れないのに
出さないようにしているのはお前だろう!
説明などどこにもない、あまりにくだらない内容に怒りに身を委ねる。
「いいから出せ!説明しろ!!」
久しぶりに出す大声は、喉に障る。
しばらくして落ち着つき またベッドに腰掛ける
また何も出来ない時間がはじまる。
それでも、考えてみればこれで誰かが何かの目的で私を閉じ込め
私に対して要求があることがわかった。
変化があり、私を閉じ込めた者は存在する
矛盾しているが、この状況ではその事実に救われる想いだった。
それと同時に、この部屋の異様さに背中に悪寒が走る
一体、どうゆうカラクリなんだ??
私が空腹にならない他にも、この部屋には説明できない事象があった。
ドアだ。
木製のどこででも見るような普通のドア、木製のはず
見た目にはそこそこ古く、蹴りつけていればいずれは壊れるのでは と思わせるようなドアなのだが
ビクともしない
この部屋に来て散々試した。
蹴り、タックル、殴り、爪を立てる
私はパワーがあるようなタイプではなかったが、それでも必死にドアを壊そうとした。
そう簡単に壊れるモノではないのかもしれない。
だが、そのドアは傷一つ付かないのだ
蹴りを入れた時に確かな感触、手ごたえがある
だが、そのドアはへこみすらしない、どう見てもただの木製のドアなのに・・・
この部屋の暗さが一層増したように感じる。
私は考え疲れ眠りにつく
食欲は変化がないのに、眠気だけはしっかり来るのだ。
・・・・・・・・・・・。
目を覚ます。
私は知らない場所に居た。