タクミと美雪
「お届け物でーす。」
俺は配達に来た人からダンボールを受け取った。
「美雪?」
中身を確認すると、『美雪より』と書かれた手紙があった。
『最高級の宝石』
とだけ書かれた手紙だった。
「うわ~、宝石や~。」
ああ、俺ってこんなに欲深い人間だったのかあ。
どうしても嫌らしい顔になってしまう。
親がいなくてよかった。
美雪に会いたいな。
○ ○ ○
「姫様、少しは落ち着かれましたか?」
私は、狭い部屋の中で、ただ運ばれて来た食事を食べていた。
粥を食べ、腐りかけの果物を食べ、食事以外はする事が無かった。
「バーカ、落ち着ける訳ないじゃない。」
侍女は少しムッとした顔になった。
「何よ、私に文句があるなら言いなさいな。」
「・・・失礼しました。」
侍女はそう言い、部屋から出て行った。
「つまらん。」
私はこっそり隠し持っていた漫画を読み始めた。
私は王女。
故に、幼き頃から学問を叩き込まれる。
漫画やゲームなどは下賎な者が好むと教えられたが、実際やってみると中々おもしろい。
ゲームをした事も無く、漫画を読んだ事が無い父上には、何を言っても分からないだろうな。
「ケッ。」
一応、王女らしく振舞うように仕込まれてきたが、こんな狭くて暗い場所に閉じ込められてしまったら、性格も変わるだろう。
私は侍女が運んできた食事を、床にぶちまけた。
食べ物を粗末にする事に、少し嫌になったが、あの侍女たちが作った食べ物など食べたくは無い。
「このままでは確実に太るな。」
自分の太った姿を想像すると、私の顔は青くなった。
「ストレッチでもするか。」
そう思い、腕立て伏せを始めた。