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プレゼント
私、美雪。
最近、彼氏ができたの。タクミっていう名前。でもね、タクミは異世界でくらしてるから、そう簡単いは会えないの。しかも、異世界に行くには一度幽体離脱をしなきゃいけないしね。何かと面倒くさい。
「美雪様。」
「何?」
「冬馬様がお呼びです。」
冬馬様?ああ、父上のことね。何かしら?
「美雪、そろそろそなたも魔術は使えるだろ?」
「はい。」
「ならば、最も難しいとされる吹雪の術をやってみろ。できたら五十万やる。」
雪女と言えば吹雪、て思う人もいるかもしれないけど、吹雪をあやつれるのは一部の上級雪女だけ。
たしか雪の王家は今まで60人くらいいたらしいけど、その中で吹雪の術を使えたのはわずか3人ほどだったという。
指先に力を入れる。そこへ冷気が入ってくる。順調。
あとは周囲の空気の気温が下がるのを待つのみ。
しかし、いつまでたっても吹雪は起こらない。
「まあ、いいだろう。二十五万やる。」
「父上、ありがとうございます。」
そうだ。この二十五万でタクミにプレゼントを贈ろう。
宝石とかね。
タクミ、喜んでくれるといいなあ。