5 ただ1人の孤独にて
私は切って切って切りまくった。
後ろなんか振り向かず、前だけを見ていた。
行けども行けども茨の道が自分の道を塞ぐ。それどころか、迫ってくることさえあった。
いつの日か私は、その蔓にたじろぎ一歩後ろに下がり、・・・膝をついていた。
息を切らしてふと思ってしまう。
自分が決めた道は間違ったのだろうか? と、それどころか、もっと楽な、切り引かれた道を少し利用して歩めば良かったのではないかと考えてしまう事も出てきた。
しかし、それはしては行けないと首を振る。
それでも前を向けば灰色をした茨の道が目の前に広がっている。
あれ? この道はこんないろだっけか? と、思い見ていると視界がカスような錯覚に悩まされる。
それでも、まだ前に進めると気合いを入れ直し立ち上がるが足が出るが酷く億劫で辛さが惨めさが広がっている。
腰の入らない剣が一振り、時間を置いてもう一振り、更に時間を置いてもう一撃。肩で息して震える手や腕を見る。
もう、駄目だ。
俺は空を見るように大の字で倒れ込む。
風は吹いていない。
空は青いはずなのにアセビ色をしている。
まどろみの中、自身の体が沈み子をで行くような錯覚に陥る。
もう、このまま寝てしまおうかとも思う。
でも、そこに声が飛んできた。
「ありゃ、勇者さん。ご休憩かい?」
俺は目を開けて、声の飛んできた方向を見ると1人のなろう民がいた。