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3 それぞれの生き様を読む
私は、幾度なく冒険の旅を夢想した。
その夢想は自身の旅ではない。
ならば誰の旅なのか?
それは、他者の物語を徒衆する旅だった。
幾千の旅船に乗り込む。乗車賃は私が私であれば何もいらず、その冒険を楽しむことができた。
自身の旅を歌う船頭はポイントと言うのを払うと喜んで、旅の続きを聞かせてくれた。
それに対して同じようななろう民達は歓声を上げる。中にはなぜ違う生き方をしなかったのか?と疑問や文句を言ってくるものもいるが、そこは、しょうがないと私はおもう。
なぜなら、その時その船頭に吹いていた風は、そう判断するしか道は無かった茨の道を一人で進み劔を振るっていたからだ。
私はそれから行く年の年を重ねた。
楽しみだった旅は終わりを告げていた。
私自身も遥か昔に旅に出たことがあったのを思い出す。
その旅を語りたくなっていた。
それと、言ってしまえば少し飽きていた。幾度の徒衆の旅を安全な旅では有ったが、同じような旅ばかりで旅立つのが辛くなっていた。