第一章(私のHERO)
けたたましい目覚ましに私は起こされた
「ん…んー」
眠い目を擦りながら、私は身支度を済ませ学校へ向かう。向かう道中背後から気配を感じ私は身構えた。
「おっはよー!」
そう言いながら、私の両脇から手を入れてきたので、私はすかさずその手を払い、私にちょっかいを出してきた、幼なじみ美咲にチョップをかました。美咲は私を見ら見ながら
「いったーい!朝の私の癒しを!」
と何か言っている…癒しって…こんな邪魔なものの何がいいのやら…そう思いながらも私は流した
「はいはい。学校行かないと遅刻するよ」
これが私のいつも。日常の1部なのだ…幼なじみに会い、学校に行き…そして…私は昼休憩に学校の裏側に呼び出された…
「あんたさ…気持ち悪いんだよ!」
無意味に殴られる…そう…私はいじめられている…しかし、誰にも言えない…巻き込みたくないから…至る所怪我をするが私はされるがまま
「少しはやり返せよ…面白くない…いこーぜ」
これが私の世界なのだ。誰かにいじめられそれを隠し生きていく。
教室に帰り何事も無かったかのように振る舞う。
こんな毎日がこれからも続くのか…
そんな生活が続いたある日の事だった。その日の朝もいつものように登校した。だが、その日はホームルームが違ったのだ。ざわつく教室、何やら転校生が来るらしい。私にはあまり関係ないのだが…
一通りホームルームが終わりその転校生は呼ばれた。不思議な雰囲気をまとったその男子生徒は教卓前に止まり、自らの名を書き出した。
「榊 愛斗です。よろしくお願いします。」
その、彼の目にはどことなく私に似た目をしていた、何の運なのか彼は私の隣の席になり休憩中話していた。昼休みになり売店まで案内して欲しいと言われ案内しようとすると
「如月!」
体がビクッとなった…いつもの呼び出しだ…私は
「他の人に頼んで…」
そう言って教室から出た、いつもの場所に行くと…
「桜さ、あんた仲間作る気じゃないよな?」
「榊君は、ただ聞いてきただけ。」
そう答えると、気に食わなかったのか胸ぐらを掴まれた。
「人形が!私に舐めたくち聞くんじゃない!」
ああ…いつもみたいにボコボコにされるのか…諦め目を瞑った…が…痛くない…目を開くと
私を殴ろうとしていたやつの腕を…
「榊…君?」
榊君が捕まえて殴れないようにしていたのだ、突然のことに、驚いたのか私を彼女は離した。
そして、話すと同時に彼女は痛がりだしたのだ
「どんな理由が知らないけど、人を殴るのは良くないよ」
榊君はそう言いながら、捕まえた腕を握り潰すように力を加えていた。
半泣きになりながら彼女達は走り去っていきその日は怪我もしないですんだ、彼は私を見て
「様子がおかしかったからついてきてよかったよ」
微笑みながら私にそう言った。私からすれば私を守ってくれる、ヒーローに見えたのだそんな彼を直視出来ず、私は走って教室にいってしまった。
顔が火照るのがわかる…恥ずかしい…その後、彼は何かある度その日から私によく話しかけてくるようになった。気になんてしていなかったのに、次第にだんだんと彼のことが好きになっていくのがわかる、気が付いた頃には、四六時中彼のことで頭はいっぱいになっていた。
だけど、私が彼に思いを伝えることは一度もなかったのだ、なんでかなんていわなくてもわかる。私が関われば必ず彼を私は不幸にするのだ。そんなこと違う?いや、違わないさ・・・・・・私が、彼のそばにいるだけで、きっと回りはよくない噂を立てるに決まっているのだから。
私は、基本教室ではしゃべらない、話すのは幼馴染の美咲といるときのみだ。それ以外のときは基本誰とも話さない。理由はないのだが、あまり関わろうとは思わない関わっても自分に利益もないからだろう。
一日一日、そんな感じで毎日を過ごす、しかし間違いなく私の世界は変わり始めていたのだ、そんなある日、榊君は学校を休んだ。毎日元気な彼が休むのは珍しく、私はなんだか不安になった・・・・・一日その日は勉学に集中もできず、気づいたら放課後になっていた。そんな私に気を使ったのか、美咲が榊君のプリントを持ってきてくれた。
「もっていってやんなさいよwチャンスよ」
そういって私の背中を叩いた、変な気ばっかり使うのが美咲だ。
「あw押し倒されたらラッキーよw」
「榊君はそんなことしないよw」
そんな会話をしていると、学校の4時の下校の鐘がなり、私と美咲は帰ることに、だが私は、榊君のとこに寄らないといけなので、美咲とは早々に、別れた。私は、携帯を見ながら榊君の家に行った。すると、なにかよくわからないが何か聞こえてくる・・・・だが何かわからない・・・・
チャイムを押すと、すぐに榊君が玄関に出てきた、しかし顔には痣ができておりすごく痛そうだ・・・
「どうしたのその顔!すぐに手当てしないと」
そういう言うと、榊君は横に顔を振った、大丈夫めどそういう言うと
「明日は学校に行くから、後この痣はさっき階段で転んじゃってねwその傷さ」
笑いながら彼は、ありがとうと言ううと扉を閉めた。
階段で転んだ?疑問は残るが、彼がそういううなら・・・と私は自分に言い聞かせその場を去った。
翌日、榊君はいつもと変わらない笑顔で学校に来ていた。昨日の痣は少し残るが、いつものように彼は話接していた。教室は彼がいるだけで明るくなる。私なんかとは正反対だ。
私が、そんな彼を眺めていると、美咲が寄ってきた。
「幸せそうだねえw」
ニヤニヤとからかうように美咲は私に言ってくる。
「別に!そうじゃないよ、たっ!ただ見てただけ!」
そこで、なぜか慌ててしまう私も私だ・・・・いや本音は、ずっと見てたいけど・・・・
彼がいる、それだけで私の世界はすごく生きやすくなる
でも・・・・・この気持ちはいつ伝わるのかな・・・伝えられるのかな・・・その時私の胸はズキズキと痛んだ・・・・そして、疑問に思う彼の痣と、昨日の音・・・・
まさか・・・私は嫌な予感がしつつも、彼に聞くことはできなかった・・・・