義兄弟の絆
「クラーク! 行ってはダメよ!」
身支度をして、宿舎へ戻ろうとするクラークを、母マチルダは呼び止める。
「大丈夫だよ。ほら、オイラ、ちゃんと帰ってきたでしょ?」
クラークは落ち着いた声音で宥めるが、一度こうなってしまった母を説得するのは難しい。
「どうして母さんの言うことが聞けないの? そう言って、あなたも私を捨てて行くのね?」
ああ、また始まったと、クラークは胸の奥に煙のようなものが淀んでいるのを感じる。
マチルダはクラークの両肩を掴んで、責め立てるように覗き込んでくる。昔から変わらぬ、こういう時の母の瞳。その瞳を見るだだけで、クラークの身体は反射的に硬直していく。
クラークは母の瞳から目をそらしながら、ゆっくりと呼吸を整え、あくまでも落ち着いた様子で説得にかかる。
「オイラは、軍に入ったんだから戻らなきゃなんだよ? 母ちゃん、ずっとスラムから出たいって言ってたでしょ? ここならスラムよりずっと不自由しないし、オイラが軍に戻らないと、ここで生活できないんだよ?」
「そう言って、あなたまで私を騙そうとするのね?」
何ども聞いたフレーズに、クラークは俯きながら主張する。
「あぁ、もう! 違うよ! 聞いて! オイラは母ちゃんの為に――」
「嘘よ! 嘘よ! だって、あなたはあの人にそっくりだもの!」
その言葉を聞いた途端、クラークの中の淀みに、電撃が走った。
「いい加減にしろよ! いつも、いつも、いつも! 母ちゃんの為にオイラは頑張ってるのに! どうしてわかってくれないんだよ! 母ちゃんを捨てた父ちゃんと一緒にすんなよ! ああ、そうだった! 母ちゃんはオイラを産んだ事後悔してるんだろ!? オイラさえいなければ、母ちゃんは今頃裕福な家で、幸せな生活を送れたんだもんな! そんなにオイラが嫌いなら! あの時――」
自分の首を絞める母親の姿がフラッシュバックした。
「オイラを殺せばよかっただろ!」
両目いっぱいに涙を溜め、止められない言葉を吐き出した。
我に返った時には、母を自分から引き剥がすように強く突き飛ばし、憎しみのこもった目で睨みつけていた。
「あ……」
怯える母の顔、それを見た瞬間、クラークの心は憎悪より、悲しみと後悔が重くのしかかってきた。気が付くと、彼は走り出していた。
誰よりも母の苦労を、自分を育てる事がどれだけ大変だったかを知っているのに、自分は言ってはいけない事を言ってしまった。突き放してしまった。そういった母への想いが彼の胸をより締め付ける。
家から離れれば離れるほど、後悔の念で押しつぶされそうになるが、戻る事も出来ず、クラークは走った。
ランスと待ち合わせの場所に辿り着くと、涙を拭い、荒い息を整える。
クラークは蹲りながら胸を強く押さえる。熱く苦しく、いつもより大きく聞こえる鼓動と共に痛みを感じ、ぎゅっと目を瞑った。
「クラーク!? 大丈夫か!?」
不意に声が聞こえ、見上げると、心配そうに自分を見つめるランスがいた。
「あ……ランス……さん?」
「どうしたんだ!? 何かあったのか!?」
理由を聞かれ、クラークは先程のことを話そうと思ったが、ぐっと頭の隅に追いやった。
「だ、大丈夫っすよ! さっき遅れそうだったから、急いで走ってきて疲れただけっすから!」
クラークはそういってランスに笑いかけた。
「そ、そうなのか?」
「はいっす。心配かけて悪かったっす」
――ダメだ……。言えない……
「本当に大丈夫か?」
「大丈夫っすよ! ほら、もう落ち着いてきたっすから!」
――ランスさんは優しいから、いつもオイラの事を気にかけてくれる……
「なら、いいんだけど……」
「ほら、もう行くっすよ! 宿舎に戻るのが遅くなったらいけないっすからね!」
――ランスさんには、たくさん兄弟がいる。家族でもないオイラが迷惑かけるわけにはいかないから……
* * *
「クラークちゃん? クラークちゃんてば」
「あ、はい! なんすか? なんかあったっすか?」
物思いに耽っていたクラークは我に返り、慌ててネイサンに向き直った。
「急に医務室当番でもないのに医務室に入ってきたと思ったら、手紙書くって言ってから、ぼうっとしたままなんだもの……」
「あ、すいませんっす! 邪魔っすよね?」
机上にレターセットを広げ、一向に筆が進まないクラークを見て、ネイサンはそっと隣に腰かけた。
「そんなことないわ。なんだか悩んでるみたいだから声かけただけよ? それってもしかしてラブレター?」
「えっ!? 違うっすよ! これは、母ちゃんに……手紙……だそうって……。でも、手紙って書いた事ないし……」
「あー、なるほどね。伝えたいこと書けばいいのはわかるけど、それが難しいのよね」
クラークの様子を察し、ネイサンは優しく語りかける。
「うーん。そうねぇー。手紙って、案外難しいわよね」
「ネイサンは書いたことあるんすか?」
「え? 私? まぁ、あると言えばあるけど……」
「ホントっすか!?」
目を輝かせる少年の純粋な瞳に、ネイサンは言葉を濁しながら、何とも言えない顔をした。
「あー、ほとんどビジネス用に書いた手紙だから、私のは参考にならないと思うわ」
「ビジネス用の手紙っすか!? スゲー! 大人っすね!」
「そうでもないわよ」
ネイサンは男娼時代に貰ったファンレターを思い出し、それを頭の片隅へ追いやった。
「私もちゃんとした手紙は書いたことないから、あんまりアドバイスできないかも」
「そうっすか……。うーん……」
「どんな事書きたいの?」
「えっ……。えっと……」
話しにくそうに言葉に詰まる彼を見て、ネイサンは微笑んだ。
「聞くのは野暮よね。それに、これはクラークちゃんの事をよーく知ってるランスちゃんに相談した方がいいと思うの」
「え?」
「さっき外で作業してたから、呼んだらきっとすぐ来てくれ――」
「あ! あ! ダメ! ダメっす!」
窓を開けてランスを呼ぼうとするネイサンを、クラークは必死になって引き止める。
「ランスさんはダメっす!」
「え? どうして?」
「ランスさんには……これ以上心配、かけれないっす……。ランスさんには兄弟がいっぱいいるし、家族でもないオイラなんかの心配させる訳にはいかないっす。ランスさんは優しいから、迷惑だなんて思ってないっていうと思うすっけど……」
それを聞いて、ネイサンは大きく溜息をついた。
「別にいいんじゃないかしら、そういうの」
「え?」
「家族じゃないからとか、兄弟じゃないからとか。ランスちゃんも、クラークちゃんも変に線引きして、気にしすぎなのよね」
二人に始まった事じゃないけどと言って、ネイサンは更に深く溜息をつく。
「気にしすぎ? だ、だって、オイラはダーヴコロニーに入ってないし……」
「それよ。それが気にしすぎって言ってるのよ」
「え?」
「コロニーに所属してないから家族じゃない? まぁ、あなた達がどうしても家族だと思われたくないなら仕方ないけど。側から見れば、あなた達は兄弟にしか見えないわよ?」
唖然とするクラークを他所に、ネイサンは続ける。
「弟を心配する兄と、兄を気使う弟。それでいいじゃない。ランスちゃんだって、何度もコロニーに誘ってくれたんでしょ? それは、クラークちゃんがコロニーの一員じゃないと家族じゃないって思ってるからじゃない?」
「そ、それは……」
「ランスちゃんはとっくに、あなたの事弟だと思ってる。私はそう思うけど?」
「……オイラを?」
コロニーの子供たちに優しく声をかけるランスを思い出す。
「クラークちゃんはランスちゃんの事どう思うの?」
「と、とんでもないお人好しっす。スラム育ちのくせに優しいし! コロニーのみんなからは頼られてて、よく見てるっす。でも、人の事気にしすぎて自分の事顧みないとことかはスゲー腹立つっすよ! オイラの時だって、ちょっとした事でも心配だっていっていちいち気にかけちゃって、本当に馬鹿なんじゃないかって思ったりして! でも……」
「でも?」
ランスが頭を撫でてくれた事を思い出す。その手のぬくもりが、じんわりと温かいのを覚えている。
「こんな人がオイラの兄ちゃんだったらいいなって……」
ネイサンは悲しそうで、寂しそうなクラークの顔を見て、そっと微笑んだ。
「じゃあ、あとは兄弟水入らずで話し合いなさい」
「え!?」
「まずは、近い人からよ。ランスちゃんと話してみなさい。きっと、彼は聞いてくれるわ。ほら、わかったら行動よ!」
「え!? ちょっ!」
クラークはレターセットを流れるように持たされ、いつのまにか廊下に出されていた。
「ああ、迷惑かもとか、心配かけるとか考えちゃダメよ? 心配なんてかけてナンボよ? 兄弟なんだから。それじゃあ、頑張りなさい」
そういって、医務室から締め出されたクラークは、うつけたように立ちつくしていた。
「えぇー……」
ちょっとして出た力のない声に、クラークは逃げ腰な自分を感じる。
ずっと医務室の前で立ちつくしているわけにもいかず、自室に戻る形で歩き出す。
「ランスさんに……」
どう話そうか。そもそもネイサンが言った通り、自分の事を本当に弟としてみてくれているのだろうか。そうだったらと、クラークは考えを巡らせる。
元来お人好しの彼の事だから、困ってる人を放っておけないだけだ。きっと、彼は自分より困っている人を見つけたら、自分の事を忘れてしまうのではないだろうか。そんな堂々巡りな考えばかりで、一向に前へ進めない。
クラークは不安に駆られ、自分の肩を抱いた。
「怖い……」
捨てられることへの異常な恐怖。
クラークの母は、彼に捨てられる事の恐怖を幼い頃から教え込んでいた。刷り込まれた恐怖は、呪いのように彼の心を蝕んでいく。
捨てられる事の恐怖から、幾度となくランスの誘いを断って来た彼は、これ以上踏み込んではならないと、拒否反応を示し始めていた。
「クラーク! 大丈夫か!?」
その声を聞き、クラークは焦って顔を上げる。
「ランスさん!? ど、どうしてここに? さっきまで外で作業してたんじゃ――」
「ネイサンにクラークが話がある、部屋で待ってるって聞いたから、仕事代わってもらって来たんだ。それにしても、様子が変だったぞ? 何処か痛いのか? 苦しくないか? とにかく、部屋に入って横になろう」
「だ、大丈夫っすよ! そんなに心配すんなっす!」
いつものように取り繕ったクラークの笑みに、ランスは堪えられなくなっていた。
「心配するに決まってるだろ!!」
普段大声を出さないランスに怒鳴られ、クラークは固まった。
「ラ、ランスさん?」
「いいからこっち来い!」
ランスはクラークの手を引き、自室に戻ると、床にどっしりと腰掛けた。
「ここに座れ」
いつもと違う剣幕に押され、クラークはランスの言う通り、向かい合うように座った。
「何で俺が怒ってるのか、わかるか?」
クラークはランスの目を見ながら、小さく首を横に振った。
「クラークが苦しんでるのに、俺に相談してくれないからだ。マチルダさんのことか?」
「え、だって、これはオイラの問題だし、ランスさんには関係ない――」
「関係ないわけないだろ!!」
再びあげられたランスの大声に、クラークは口を閉じる。
「ごめん。大きな声出して。でも、聞いてほしい。俺はな? 本当に勝手かもしれないけど、クラークのこと弟の様に思ってる」
「え?」
「きっとクラークはコロニーに入ってないから、俺を兄貴だって言えないと思ってるみたいだし。それに、俺は頼りないから相談できなかったのかもしれないけど、力になりたくて……ってクラーク!?」
ふとクラークの顔をみたランスは、彼の目から流れ出る大粒の涙に驚きを隠せなかった。
「あ、あれ?」
「どうしたんだ!? 何処か痛いのか? あっ! それとも、やっぱりあれか? 俺が兄貴面するのがそんなに嫌だったのか?」
「ち、ちがっ……。これは、あれ? 何で?」
涙を拭うが、それでも溢れ出るものを止めることはできない。
「クラーク。話してくれないか? ゆっくりでいいからさ」
「オ、オイラ。ずっと、ランスさんが、オイラの兄ちゃんだったらって……っ……思ってた! で、でも、オイラは、ランスさんの家族じゃないから! も、もっと踏み込んで、捨てられたりしたら……っ……どうしようって! うぅっ。怖くって! だ、だから、距離を置いて、自分から近づかなきゃいいって思って!」
「そんな事! 捨てるわけないだろ!? コロニーに入ってなくても関係ない! クラークは誰が何と言おうと、俺の弟だ!」
ランスはクラークを抱きしめた。溢れ出したものを受け止め、少年の悲痛な叫びを聞き、寄り添った。
クラークが落ち着いたのをみて、二人はゆっくり話し始めた。
休暇中に起こった事を、そして、今まで話していなかった母、マチルダの事を。
元々中流階級の家の出で長女として産まれたマチルダは、家訓を守り、順風満帆な人生を送っていた。十四歳の頃、言いつけを破り、年上の男と隠れて付き合った事で、クラークを身篭った。相手は由緒ある家柄だったが、マチルダとともに二人で生きていくことを誓い合った。
誓いを立てたマチルダは、家を勘当され男が待っている場所へ行ったが、いつまでたっても男は現れなかった。探しに出たが、その男は違う女と式を挙げていた。
絶望のどん底に落ちたマチルダは、途方に暮れ、一人で自分を産んだのだと、クラークは言った。
クラークは、ウェーダーに住みつき、体を壊し、病気がちになっても自分をここまで育ててくれたことに感謝していると、ランスにマチルダの人生を語った。
「だから、オイラは母ちゃんが今までどれだけ苦しんだかも大変だったかも知ってるし、不安定になるのも仕方ないって思ってるっす」
「そうだったのか……。クラーク、ごめんな。何も知らないで、俺はマチルダさんを悪いって決めつけてたんだなぁ。ん? でも何でマチルダさんはクラークを……」
その後の言葉を口にする勇気は、ランスにはなかった。
「それは、本当のところはわからないっす。いつも、母ちゃんは、オイラを殴った後、死ぬほど後悔するんすよ。本当に、見てないと危ないくらい。きっと母ちゃんも、どうしてそうしちゃうかわからないんだと思うんす。だから、オイラはいつも大丈夫だよって声をかけるようにしてるんすよ」
「クラーク……」
「それに、母ちゃんの人生がめちゃくちゃになったのは、オイラができたせいだってわかってるっすから」
その言葉を聞いて、ランスはひどく悲しくなった。
「それは違うよ」
「え?」
「自分が生まれてきた事が罪みたいなこと言うなよ。そんな事絶対に思っちゃダメだ。それに、マチルダさんの今は、マチルダさんの責任だ。クラークがその責任を背負う必要なんてないんだ。そんな事、自分の子供に絶対思わせちゃいけないんだ」
「ランスさん……」
悔しそうに唇を噛み、親身になって話を聞いてくれる彼を見て、クラークの目に涙がにじんだ。
「あ、また俺、自分の考えを押し付けちゃったか? でも、間違ってはないと思うんだけど……。参ったなぁ、自分の考えはそうそう変えられないなぁ」
参ったと頭を掻くランスの様子に、クラークは首を傾げた。
「なんかあったんすか?」
「いやー、ロニーにさ。俺は偽善者だって言われて。俺の行動や発言が、クラークを傷つけてるかもしれないぞって言われて……」
「は?」
「確かに、自分の考えを押し付けるのは良くないし、他人の幸せを俺の幸せに当てはめて、決めつけちゃダメだよな。俺のエゴでクラークやマチルダさんを傷つけてたのかって思うと、心が痛い」
困ったように笑うランスに対し、クラークは目角を立てた。
「ロニーさん後でぶっ飛ばすっす」
「え!? 何でそうなるんだよ!」
「ランスさんを悪く言うのは、なんか腹立つっす! それに、オイラはそのランスさんのエゴで救われたっすから!」
「えっ?」
思いもしない言葉に、ランスは唖然とした。
「救われた?」
「そうっすよ! ダーヴコロニーの子供達だってそうっすよ? オイラもあの時、ランスさんに出会ってなかったら、きっと最悪の状態だったっす。もしかしたら、死んでたかもしれないし……」
「クラーク……」
ランスは、不安げに揺らぐ伏せられた目を見て、まだあどけないクラークの肩を抱いた。
「オイラ、本当は軍に入ってから、文字が書けるようになったり、勉強したり、コナー達に出会ってすごく楽しいことばかりで。勿論、戦争もあって、いっぱい人も死んで、辛いこともあったけど……。母ちゃんから離れて、ホッとしてる自分に気づいちゃったんす。しかも、休暇中あんな事があって。オイラ、どうすればいいかわからなくなって」
「それで悩んでたんだな」
頷きながら胸にもたれ掛るクラークは、あまりにも小さく軽かった。
クラークがまだ幼い少年だという事を噛み締め、ランスは彼の肩に重くのしかかったものを、どうにかしてやりたいという思いでいっぱいだった。
「……俺は、クラークは悪くないと思ってる。マチルダさんの話を聞いて、確かに同情するし、可哀想だ。でも俺はクラークに対する暴力は絶対に許せない。ぶっちゃけ、母親として失格だろとも思う」
クラークはランスのきっぱりとした否定に少し俯く。
「でも、マチルダさんがクラークの事を愛しているのもわかる」
「え?」
「落ち着いている時のマチルダさんがクラークを見る目、すっごく優しい目をしてるんだ。クラークの首を絞めた時も、自分も死のうとしてた。でも出来なかった。愛しいから。まぁ、推測だし、無理心中しようとしたことは、許されない事だ」
クラークは、落ち着いている時の母を思い出す。
今までずっと泣いている母の顔しか思い出せなかったのに、今はスッと思い出せる。
――クラークの髪は柔らかいのね。丸い目はお母さん似かしら?
自分の頭を優しくなで、慈愛の目で見つめる母の顔。何故思い出せなかったのかと、クラークは目頭が熱くなっていくのを感じる。
「傷つけて、傷つけられて、失敗して、そうやって段々と親に、兄に、家族になっていくんだろうなぁ」
ランスの言葉に、クラークは今まで考えていた家族の形について、腑に落ちなかったものが、ストンと心の中に収まるのを感じた。
「正解はない、正しい形はない、か……。ははは! 確かに!」
「ん? どうした?」
「なんでもないっす!」
「まぁーた、隠し事かー?」
「違うっすよ! もう、"兄ちゃん"には隠し事しないっすから!」
今までで見たことのない、純粋な笑みと言葉に、ランスは不意をつかれた。
「あ、クラーク、今……」
「なんか、ランスさん……へへ。ランス兄に話せたら、母ちゃんへの仲直りの手紙、ちゃんとかけそうっす!」
「そうか。クラークは偉いな! ちゃんとごめんなさいするんだぞ!」
ランスはクラークの頭を両手で無遠慮に撫でた。
「うわ! 何するんすか! わしゃわしゃやめろって! 子供扱いすんなっす!」
「何言ってんだよ。まだまだ子供だろうが!」
「これから手紙書くんすから! ちょっと静かにしてくださいっす!」
「わかった。わかった。ごめんな。何かあったら、また相談してくれよ? なんて言ったって、俺はクラークの兄ちゃんだからな」
「うん!」
その言葉に、クラークは無邪気な笑顔で返した。
どうも、朝日龍弥です。
たとえ血が繋がっていなくとも、互いを思いやる気持ちは尊いもの。
義兄弟でも、その絆は本物。
次回で八章も終わりを迎えます。よしなに。
次回更新は、10/2(水)となります。




