ゴブリンを倒しました
ゴブリンは定番ですよね。作者のイメージだといたずら好きで、金目のものを集めるのが好きな、ガ行で話す緑の子鬼といったところです。
小鳥のさえずる声と数回のノック音、それから心地のいい声が聞こえる。
「カケルさーん、朝ですよー。起きてくださーい」
「むにゃむにゃ……」
『むにゃむにゃ……』
こんなにも幸せな目覚めが今までにあっただろうか。
異世界最初の幸せな朝を迎えた俺は宿屋でセレナと朝食をとり、今日もギルドへと向かっている。
「なあセレナたん」
「なんですか?」
「今日はどんな依頼を受けるんだ?」
「そうですね、依頼があればジャイアントスパイダーという魔物の討伐にしようと思います」
「スパイダーってことは、クモだよな?」
「そうです。ただ大きいだけで毒とかは無いので安心してください」
「セレナたんって虫に恨みでもあるのか?」
「ないですよそんなの! あ、ギルドに付きましたよ」
セレナと話しているとギルドに着いた。
「昨日より人が多いな」
「昨日来たのは昼でしたけど、今日はまだ朝だからですね。パーティで集まって計画を立てたり、美味しい依頼を探したりしているんですよ」
「なるほど」
ギルドの中に入ると、机を囲んで話し合っている冒険者や、熱心に依頼板を眺めている冒険者がたくさんいた。
俺たちも依頼板の前へ行き、目当ての依頼を手分けして探す。書かれている文字は何故か日本語だ。
依頼を探していると「ゴブリンの討伐」というのをみつけた。やっぱこれはやっておかないとな。
「セレナたん、これ受けたいんだけどいいか?」
「ゴブリンの討伐ですか……そうですね。ジャイアントスパイダーはまたの機会にして、今日はその依頼にしましょうか」
「ああ」
依頼を受けた俺たちはアウグスを出てしばらく進み、森に入った。今日も徒歩だ。そのうち馬車にも乗ってみたい。
「どうやってゴブリンを探すんだ?」
「この先にゴブリンの巣があるはずです。ちゃんと確認しなかったんですか?」
『依頼用紙に書いてあったの』
なにそれ初耳。
森を進んでいると1つの洞窟を見つけた。洞窟は人が普通に入れるぐらいの大きさだ。
入り口には作りかけの門のようなガラクタがあり、門の前には雑な武装をしたゴブリンがいる。
ゴブリンの肌は黄緑色で薄汚れていて、大きさは子供ぐらいだ。
「見張りがいますね」
「どうする?」
「えっと、カケルさんは攻撃魔法を使わずにどのくらい戦えますか?」
「何匹いても負ける気がしないな」
「本当ですか?」
「もちろんだ」
「なら私は援護をするので、怪我をしない程度に頑張ってください。危ないと思ったらすぐに逃げてくださいね」
「わかった。じゃあ行ってくる」
俺は刀を抜いてから走って飛び上がり、ゴブリンの目の前に着地した。
ゴブリンたちはギョッとした様子で後ずさるが、武器と腕のリーチを活かして首を刎ねた。返り血は風魔法のウィンドウォールで防いだ。洞窟内の罠も魔法で探知してみよう。
「サーチトラップ……罠はないみたいだな」
『ゴブリンたちが向かってくるの』
洞窟の中から色々な武器をもったゴブリンたちが走ってくる。
「どうして気づかれたんだ?」
『たぶん洞窟の中にも見張りがいたの』
そういうことか、全然気が付かなかった。思っていたより賢いのかもしれない。
「グギャギャ!」
「ゴギギ!」
「グギャー!」
鳴き声かゴブリン語かはわからないが、ゴブリンたちは叫びながらは槍や斧、弓矢などの様々な武器で攻撃してくる。
俺は前に進みながらゴブリンたちを切り倒していった。
倒したゴブリンの持っていた武器や飛んできた矢と石、それと彼らの死体はストレージで自動収納した。
30匹ぐらい倒したところで、全てのゴブリンを倒し終わったみたいだ。逃げようとした奴もいたが、倒した他のゴブリンが持っていた武器を投擲して仕留めた。
「本当に1人で全部倒しちゃいましたね……」
セレナと合流すると、そんなことを言われた。
「信じてなかったのか? まあ、そんなことより帰って飯でも食おうぜ」
「そんなことって……はぁ。カケルさんのことですし、気にしたら負けですね」
その後、依頼の報告のために一度洞窟内を調べてみると、宝物庫らしき空間を見つけた。中には様々な鉱石や宝石、貨幣などがあった。ゴブリンはこういうものを集めるのが好きらしい。
こういう場合は見つけた人のものとなるらしいから、ありがたく貰っておく。
無事依頼を終えた俺たちはアウグスへ戻り、ギルドで依頼達成の報告をして報酬を受け取り、洞窟で見つけたゴブリンたちのお宝もそのままギルドで換金してもらった。
依頼の報酬はセレナと等分することにしているので、今回もそれにならって報酬を二人で山分けにした。
ここまでがリメイク版です。ここからは旧『異世界に喚ばれて』となり、設定やキャラの性格、話し方、そして文章の書き方など、様々なものがリメイク版とは異なります。