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異世界に喚ばれて  作者: 狐東レン
6/18

試し切りしました

 其は……

 目が覚めたが……暗い。部屋の中には窓から月の光がさしている。まだ真夜中か、ちょっと散歩でもしよう。


 1階に降りるとカウンターにはまだおばちゃんがいた。イスにこしかけてコーヒーのようなものを飲んでいる。この人はいつまで起きているのだろうか。


夜道よみちには気をつけるんだよ」

「っ! あ、ああ」


 急に話しかけないでびっくりするから! さて、宿屋は出たがどこに行こうか。


『出歩かないでって言われてたの』

「あれは浮気うわきするなって意味なんだよ。俺は今のところセレナたん一筋だから大丈夫だ」


 とりあえず街を見渡してみたいから、壁などを使って近くの屋根に登った。ギフト【身体強化】のおかげで軽々と登ることができた。


 街の中央には大きな時計台があり、そこから東の方へ目を向けると大きな屋敷が見える。貴族きぞくでも住んでいるのだろうか。俺も金持ちになりたい。西側は暗くてよく見えない。


 とりあえず時計台の方に行ってみるか。


 屋根から屋根へ跳び移り、時計台へと向かう。なんかテンション上がってきた。


 一度立ち止まり、服を替えて黒いフード付きのマントを装備し、白い仮面もつける。隠れ家で手に入れた、結構気に入っているセットだ。

 ちなみに装備の変更は全て【ストレージ】を利用しているため、着替えも一瞬で完了する。


 それから黒を基調としたさやに入った、肩掛け付きの直剣を背中にまわす。鞘には俺好みの装飾そうしょくが少し多めに入っているが、派手すぎず、剣は実用性重視のあつかいやすそうなものだ。


 たぶんもう会えないけど、これを作った勇者とは気が合いそうだ。


 ついでにギフト【隠蔽いんぺい】で俺のステータスを隠蔽しておく。この世界にはステータスの概念があるらしいからだ。


 変装へんそうを終えた俺は再び屋根を跳び移って行く。

少しすると時計台の前にたどり着いた。周りには誰もいない。


「────」


 ん? 今何か聞こえたような……


『なあユア』

『たぶんアンデッドなの。近くに墓地ぼちがあるの』

街中まちなかにアンデッドとかいるのかよ』

『よく発生するの。あと、ゆあはもう寝るの。おやすみなの』

『おいおい、お前は寝なくても大丈夫だろ』

『ぐー、ぐー、むにゃむにゃ……なの』


 この野郎、怖いからって逃げやがったのか。仕方ない、1人で見に行くか。もともと1人だけど。


 声、というか音の聞こえる方へ歩いていくと、墓地ぼちらしき場所にたどり着いた。門が閉じている。

 ストレージからはしごを取り出してへいの上に登り、ひょこっと顔を出して墓地を見渡す。かなり広く、スケルトンやゾンビのような魔物がうろうろと歩き回っている。


 あのスケルトンはどうやって骨がつながっているのだろうか、浮いているようにも見える。そうだ、こいつらに実戦相手になってもらおう。


 はしごを回収して塀の向こう側へと飛び降りる。歩き始めると、俺に気付いたゾンビやスケルトンがこちらに向かってきた。「あー」とか「うー」とか言っている。


 俺はさやから剣を抜いた。ちなみにこの剣、【鑑定】のギフトで調べたところ『エクスカリバー』という名前らしい。なんでやねん。


 うめき声を上げながら近くに寄って来たアンデッド達を、エクスカリバーで次々と切り倒していく。


 スケルトンを頭から叩き切り、ゾンビを首ちょんぱする。血はき出さないが、ドロドロとした液体がぼとぼとと音をたててこぼれ落ちる。

 ゾンビを2体まとめて切り飛ばし、飛びかかってきた犬のようなゾンビを回し蹴りで吹き飛ばす。

 足場が悪くなったため宙返りしながらアンデッド達を飛び越え、スケルトンとゾンビをまとめて横一文字よこいちもんじに切りく。




――――どのくらいっただろうか、しばらく続けていると動いているアンデッドはいなくなった。周りを見渡せば大量の残骸が転がっている。そろそろ帰るか。


 俺はエクスカリバーを鞘におさめた。


「ガアァァァアアアアアア!」

「ん?」


 咆哮ほうこうが聞こえて振り返ると、両手に剣と盾を持ち、よろいまとったガタイのいいゾンビがいた。身長は俺の倍ぐらいで、3メートル以上はありそうだ。ゲームで出てくるボス的なやつなのだろうか。


 【鑑定】によると『ボスゾンビ』という魔物らしい。そのまんまだ……。まあいいや。今度は試し撃ちだ。俺はじゅうを取り出し、銃口をボスゾンビへと向けた。


 この銃は魔力を込めて撃てるハンドガンだ。魔法銃といったところか。一応鑑定すると『魔法銃』だった。合ってた。


 魔法銃の引き金を引くと青く光る魔弾が発射され、ボスゾンビの頭を貫いた。だが、ボスゾンビ倒れない。


 さっきより多く魔力を込めて撃ってみると、今度は大きめの魔弾が発射された。弾速も上がっている。


 魔弾はボスゾンビの顔面に命中した。そしてボスゾンビはそのまま後ろに倒れて動かなくなった。


 そういえば頭を半分切り飛ばしても動いていたやつもいたが、アンデッドにはHPでもあるのだろうか。それとなぜ魔物が装備なんてしていたのかは分からないが、一応装備品を回収しておく。


 気が付くと空が微かに明るくなり始めていた。やばい、早く帰ろう。




 急いで走り、宿屋の前へ帰り付いたところで装備を解除して中へ入る。カウンターにはまだおばちゃんがいた。


「おかえり」

「あ、ああ」


 この人は一体いつまで起きているのだろうか。まさか寝ないわけではないだろうし……もしかしてアンデッド? いや、さすがにそれはないか。


 変な考えを捨てて2階へ上がり、部屋へと向かう。途中でセレナと遭遇そうぐうすることもなく、自分の部屋の前に着いた。セレナはたぶん寝ているのだろう。

 部屋に入り鍵をかけ、再びベッドにダイブする。相変わらずふかふかだ。


「クリーン」


 寝る前に俺のオリジナル魔法で体をきれいにし、大量に倒したアンデッドのことなど忘れて、俺は眠りについた。

黒っぽい格好に変装するのってなんかかっこよくないですか?

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