最初の依頼を達成しました
やっと書き終わりました。
「お待たせしました!」
明るい声と共に、パンと、肉や野菜の入ったスープが運ばれてきた。
まずはスープから。おお、意外とうまい。
「パンはスープにひたすと、柔らかくなって食べやすいですよ」
ひたして……ぱくり。
「おいしい」
『ずるいの。ゆあも食べたいの』
あ、そういえばユアのことをすっかり忘れていた。
「カケルさん、武器はどうしますか? 冒険者の活動をする上では必須ですよ」
「武器ならほら、これとかどうだ?」
そう言って俺は日本刀を取り出した。もちろん両手に1本ずつというサービス付きだ。二本刀、ってね。
「もう突っ込みませんよー、私だって成長するんですから」
最初は驚いた様子のセレナだったが、このパターンにも慣れたらしい。澄まし顔でスープを飲み始めた。
「さすが俺のセレナたん。胸も早く成長するといいな」
「―――っ!?」
あ、むせた。大丈夫かな?
「もう! 早く食べてください!」
『やれやれなの』
どうやら大丈夫みたいだ。
食事を終えてギルドを出た俺たちは、さっそく出発することにした。やっと冒険の始まりだ。
街を出てしばらく進むと、遠くに何かがいるのがわかった。見たこともない生き物だ、魔物かな?こっちに近づいてきているみたいだ。
「なんだあれ?」
『魔物なの』
「討伐対象のキラーアントですね。カケルさんは私が魔法で弱らせたところへ、とどめをさしてくださいね」
「セレナたんって魔法が使えたのか?」
「私、魔法は結構得意なんですよ」
話しているうちにキラーアントがかなり近くまで来ていた。足が早いようだ。体長は2メートルぐらい。体はツヤのある紅色で、凶暴そうな顔をしている。
「【ファイアーボール】」
セレナの前に魔法陣が現れ、そこから大きな火の玉が、キラーアントへと放たれた。
正面からぶつかったキラーアントは走るのをやめ、どこからかギチギチと耳障りな音を鳴らしている。結構ダメージを受けているようだ。
『効果は抜群なの』
「おおー」
「【フレアボム】」
続けてセレナが容赦無く追い打ちをかけた。今度はキラーアントの下に魔法陣が現れ、爆ぜた。
地面には小さなクレーターができた。直撃を受けたキラーアントが吹っ飛んで数回バウンドする。体のいたるところから緑色の血を撒き散らしていった。
「うわぁ……」
「魔物相手に手を抜いていたら命を取られますからね。さあカケルさん、とどめをさしてください」
ほっといても死にそうだけどな。
「【ジャベリン】」
俺が魔法を発動させると目の前に魔法陣が現れ、光の槍が打ち出された。光の槍はそのまま飛んで行き、死にかけのキラーアントを貫いて消えた。
え? 魔法なんか使えたのかって?
ギフト【全魔法適性】―――俺に使えない魔法はないのだよ。
それにしても、槍で頭を貫いたはずのキラーアントはまだ生きている。なかなかしぶといな。
「【カミナリ】」
閃光。轟音。魔法の雷に撃たれて動かなくなったキラーアントからは、プスプスと煙が立ちのぼっている。
セレナは一瞬ポカンとした。
「ど、どうしてカケルさんが魔法を使えるんですか!」
「そりゃ魔法ぐらい使えるだろ。俺を誰だと思ってるんだ?」
「はぁ…………帰りましょう」
ため息をついてるセレナもかわいい。
ギルドに帰った俺たちは報酬を受け取り、それから宿屋に泊まることになった。
宿屋の中に入ると恰幅の良いおばちゃんがカウンターに付いていた。
「2部屋お願いします」
「何泊だい?」
「1泊です」
「4000ベルだよ」
ギルドの登録料と同じだ。物価がいまいちわからないな。今度、買い物にでも行ってみよう。
2階に上がってからセレナと別れることになった。
「おやすみなさい」
「おやすみセレナたん」
「勝手に出歩かないでくださいね」
「わかってるって」
俺は部屋に入って鍵をかけ、ベッドにダイブする。ふかふかだ。そのまま目を閉じていると、だんだんと意識が薄くなりそのまま眠りについた。
遅くなってすみません。早く投稿できるように頑張ります。