ヒロインに召喚されました
大幅に変更しました。
「や、やりました! 召喚成功です!」
そんな声が聞こえて光がおさまると、こちらを見つめる金髪碧眼の美少女が、目の前にいた。ちなみにひんぬー……断崖絶壁だ。
「言葉はわかりますか?」
「わかるけど……」
足下には大きな魔法陣があり、石造りの建物の中にいるみたいだ。
『なあユア、どういう状況だ?』
『勇者召喚をしようとしてたみたいなの。世界がここに繋いでたの』
なるほど、つまりこの美少女がメインヒロインってことか。
「私はセレナといいます。あなたをこの世界に召喚しました。気軽にセレナって呼んでくださいね」
「俺はカケル、よろしくな」
「カケルさんはいきなり召喚されたのに驚かないんですね」
「慣れてきたからな」
「え?」
「セレナたんはかわいいなって言った」
「もっ、もっと重要そうなこと言いましたよね!?」
「メインヒロインがかわいい、これ以上に重要なことがあるだろうか」
「もういいですっ!」
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運命的な出会いを果たした俺とセレナは現在、ギルドへの道のりを歩いている。
街並みは中世ヨーロッパ風で、街の名前はアウグスと言うらしい。人の往来が多く、髪や目の色は様々で金や赤、青に緑とかだ。
うさぎや犬のような耳としっぽの生えた人も歩いているが、獣人だろうか。さっき見かけた背の低い老人はドワーフかもしれない。
服装は統一感がなく、布とかで包んだ武器を持ち歩いている人もいる。
「カケルさん、私が召喚したことは誰にも言わないでくださいね」
「どうしてだ?」
「……できれば聞かないで欲しいです」
セレナは目を逸らしてそう言った。何か事情があるのだろうか。
「そういえば、服とか着替えた方が良くないか?」
「それもそうですね。じゃあ、まずは服屋に行きましょうか」
「服なら持ってるぞ、ほら」
「……今どこから取り出しました?」
セレナが俺に半目を向けてくる。
「ポケットです」
「入るわけありませんよね?」
「拾いました」
「そんな都合よく服が落ちてるわけないじゃないですか!」
「えーっと……できれば聞かないで欲しいです」
俺は目を逸らし、セレナの声を真似してそう言った。
「真似しないでください!」
服を着替えてからしばらく歩いていると、二階建ての大きな建物の前でセレナが立ち止まった。
「着きましたよカケルさん、ここがギルドです」
この建物がギルドか。これで俺も憧れの冒険者になれるってわけだ。俺はさっそくギルドへ足を踏み入れた。
なんかジロジロ見られてる気がする……セレナが。
ギルド内にはいくつかのテーブルとイスがあって、いかにも冒険者といった格好をした人がちらほらいる。どうやら酒場と併設しているようだ。
依頼だろうか、壁に取り付けられたボードに、文字の書き込まれた紙がたくさん貼り付けてある。
奥には受付用のカウンターがいくつかあり、それぞれにきれいなお姉さんが付いている。ギルドの制服かわいい。
「カケルさん、私のそばから離れないでくださいね」
「セレナたんのそばから離れるわけがないだろ」
「やっぱり離れてください」
「俺が迷子になってもいいのか?」
「どうしたら迷子になるんですか! 子供じゃないんですから!」
子供じゃない……か。この国の成人年齢は日本より低かったりするのだろうか……多分低いと思う。テンプレだと14歳とかで成人だった気がする。
「こんにちはセレナさん。今日はどんなご用ですか?」
「はい、こちらのカケルさんの冒険者登録をしにきました」
「ではカケルさん、こちらの石版に手を置いてください」
「こうか?」
石版に手を置くと、表面に文字が浮き出てきた。
「もう離していいですよ。犯罪歴はありませんね。では、登録料は2000ベルになります」
セレナが銀貨を2枚取り出して差し出す。残念ながら俺のストレージには自分の財布しか入っていない。
「はい、銀貨2枚ちょうどですね。確かに受け取りました。こちらがカケルさんのギルドカードになります。こちらを利用して、ギルドに預金をすることもできます」
受け取ったのは頑丈そうなカードだ。角に丸い穴が一つ空いていて、その穴を通した紐で首からかけられるようにもなっている。
ギルドカードの左半分にはでかでかとEの文字。右半分には、真ん中より上の方に俺の名前が書かれている。いつの間に用意したのやら。
名前の下は空欄になっているが、ギルドカードを持って念じるだけでギルドへの預金額が確認できるようだ。なにこれ超便利。
ちなみに裏面は注意事項なんかが書いてるが、これも念じるだけで非表示にできた。
ランクは順に上からS、A、B、C、D、Eとなっているようだ。
その後、いくつか説明を受けてからセレナとパーティを組み、ついでに依頼を受けてみることにした。
もちろんパーティのリーダーは俺だ。パーティの責任を負うことになるからと、押し付けられたわけではない。ないったらない。
依頼を受けたあと、ギルドの酒場に寄って腹ごしらえをすることになった。不思議なメニューが多いが、なんとなくわかるものもある。
俺は席に着くとセレナと同じメニューを注文した。
今のところ変更の予定はありませんが、作品のタイトルは変わる可能性もあります。