案内役が現れました
隠れ家って、なんか憧れませんか?
目が覚めると、見知らぬ部屋にいた。木製の机や椅子に、本棚なんかがある。
『おはようなの』
また頭の中に声が響いてきた。だけど今度は、幼い女の子みたいな声だ。
『返事をしてなの』
『ああ、ごめん。おはよう』
『おはようなの。まずは名前をつけて欲しいの』
話そうと思わないと会話できないのか。というか名前か……。
『えーっと……ユアとかどうだ?』
『ゆあなの? わかったの。ありがとうなの。ゆあはますたーの案内をするの。色々教えてあげるの』
こいつが案内役か。それにしても姿が見えないけど……まあいいか。
『おまえが案内役か、これからよろしくな』
『ゆあって呼ぶの』
『よろしくな、ユア。それよりなんで姿が見えないんだ?』
『わからないの』
なんだと! せっかくの異世界ガイド(たぶん幼女)なのに、姿が見えないなんて酷すぎる!
『案内を始めるの。まずこの場所は元勇者の隠れ家だった場所なの。ここにはその元勇者が造った武器とか道具とかがあるの』
生産系のチート持ちだったのかな? それにしてもなんで隠れ家なんて作ったんだろうな。
『勇者はどうしたんだ?』
『ますたーと交代で元の世界に帰ったの。帰りたがってたからちょうどよかったの。ここはますたーが貰ってもいいの』
まじか。ありがとな、元勇者。
『次は種族について教えるの。人族と亜人族、魔族が多いの。魔物もいっぱいなの』
多いってことは、他の種族もいるのか、ケモミミもいるといいな。
『終わりなの』
『え、それだけ?』
『必要なときに教えるの。あとは自由にするの』
『わかった。じゃあ、始めるか』
まずは隠れ家を散策することにした。2階建てのログハウスで、1階部分は吹き抜けのダイニングとキッチンと風呂とトイレ。
2階には部屋が2つあって、自室と押入れみたいだ。家の外はドーム状の洞窟で、天井にある強い光を放つ物体に照らされている。
庭(これも洞窟の中)は意外と広くて、泉と畑と倉庫みたいなものがある。
「あれはなんだ?」
俺は倉庫のような建物を指してユアに尋ねた。
『あそこには勇者が作った色んなものが入ってるの』
「それも貰っていいのか?」
『もちろんなの』
ユアには俺の声が聞こえるみたいだから、ここでは普通に会話するようにしてる。でもユアの声は周りには聞こえないから、傍から見れば俺の独り言である。誰もいないしこれでいいのだ。
倉庫の中には服や武器、魔法陣の描かれた紙など、本当に色んなものがあった。というかこの倉庫、外から見たのに比べるとありえないほど広い。
「銃があるけど変な形だな。撃てるのか?」
『それはたぶん魔力を込めて使うの』
そうか、今度試し撃ちしてみよう。どんどん倉庫の中を物色していく。
「これは……」
長方形の箱を開けると、中には日本刀が数本入っていた。よくやった勇者。俺、異世界に行ったら日本刀使ってみたかったんだよ。たぶんすぐ飽きるけど。
「そろそろ出発するか」
『庭にある魔法陣に乗ったら転移するの』
ユアの説明によると、この場所は地中深くにある地下空間であり、地上に繋がる道はないらしい。
とりあえず隠れ家にあるものは全て回収した。回収にはギフトという召喚特典の一つ、なんでも収納できる【ストレージ】を使った。
「さて、いざ異世界へ!」
「れっつごーなの!」
俺は庭にあった魔法陣に乗ると再び強い光に包まれた。
カケルさん、また転移しちゃいました。