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異世界に喚ばれて  作者: 狐東レン
14/18

第14話 魔族は蹂躙されました

大幅に変更しました。

 街に魔族の大群が向かってきている。


 その知らせを聞いて、急いで街の東側の門―――俺達がライラルに入る時に通ったのとは、反対側の門へと向かった。


 門へ到着すると、既に魔族との戦いが始まっていた。


 戦いと言ってもお互いの距離はまだ離れているため、魔法や大砲による遠距離攻撃だけだ。


 砲弾が当たったやつは大体が瀕死か即死だが、中には避けているやつもいる。


「結構いるな」

「たーまやーなの!」

「この数はまずいですね……カケルさん、どうにかなりそうですか?」

「ああ、問題ない。ちょっと時間を稼いでくれ」

「分かりました」


 ざっと数えると500体ぐらいだろうか。魔族だけでなく、魔物も結構混じっている。


 対するこちら側は、冒険者と街の騎士団で合わせて300人弱といったところだ。


「なあユア、魔族って強いのか?」

「あいつらは悪魔型の魔族なの。ステータスが高くて攻撃魔法も使えるの。精神攻撃もしてくるから、対策をしていないとすごく厄介なの」

「なら弱い冒険者だと、まともに戦うのは無理そうだな」


 ユアと話している間も魔法が飛び交っており、流れ弾はセレナがドーム状の魔法障壁バリアで受け止めている。

 性能差はあるが、杖と魔力さえあれば、このバリアは誰にでも展開できるらしい。


「シルヴィ、雑魚は任せた。帰ったらご馳走ちそうだ」

「ん。まかせて」


 ご馳走と聞いて、シルヴィの目がキラリと輝いた。シルヴィが片腕を上げると、そこに瞬時に魔力が収束し、あおく燃える巨大な球体が現れた。


「えい」


 シルヴィが腕を振り下ろすと、少し遅れて球体が、野球ボールのようにカーブしながら、かなりの速度で飛んでいった。


 球体は魔族達のど真ん中に着弾した。そのまま水面に広がる波紋のように瞬時に燃え広がり、あおい炎が魔族達を蹂躙じゅうりんしていく。


 魔族達から断末魔の叫び声が響き渡り、呆然と立ち尽くす冒険者と騎士団の間を、熱風がふわりと吹き抜けた。


「なんですか今のは!? シルヴィちゃんがこんなに強いなんて聞いてませんよ!?」

「疲れた……」

「シルヴィお姉ちゃんすごいの〜」


 ほとんどの敵を焼き払ってしまったが、結果オーライだ。残った魔族を鑑定すると「熱耐性」や「再生」などのスキルを持っていた。


「さて、残党狩りといこうか。ユアはシルヴィと一緒にいてくれ」

「はいなの!」

「カケルさん、私も行きます!」


 俺は鞘から刀を抜き、焼け野原を走った。そのまま戦ったら格好悪くなりそうだから、使えそうなスキルを冒険者達からギフト『強奪』で複製コピーしていく。


 使えそうだと思ったのは【剣術、槍術、拳術、脚術、体術、縮地、投擲、二刀流、狙撃】というスキルだ。二刀流スキルがあったのは嬉しい。


「ギァァアアア!」

「グァアア!」


 不快な鳴き声を発しながら襲ってくる魔族を、二刀流スキルを駆使して切り捨てる。スキルのおかげで、まるで手足のように刀を扱うことができた。


「カケルさんは一人でも大丈夫そうですね、私は他の冒険者の助太刀に行ってきます。気をつけてくださいね」

「セレナたんこそ気をつけてな」


 セレナは高ランクの冒険者なだけあり、迅速に的確な判断をして、即座に行動している。俺も見習わないとな。


 走りながら周りを見渡すと、ひと際強そうな魔族を見つけた。黒い肌に、コウモリのような羽。禍々《まがまが》しい二本の角を生やした、悪魔のような魔族だ。


 縮地スキルで瞬時に距離を詰め、【身体強化】で強化された筋力で、後ろから2本の刀で切りつける。


――――――ガキィン!


 しかし、甲高かんだかい音が響き、なんと刀の方が折れてしまった。魔族の体を覆う、黒い鱗のせいだろう。


「まじかよ……おっと!」


 魔族が尻尾を叩きつけてきた。俺はそれを後ろに飛んでかわしつつ、魔族に対し鑑定スキルを発動する。



・名前:なし

・種族:魔族(悪魔型)

・職業:拳闘士

・スキル:物理耐性、魔法耐性、再生、魔眼、浮遊、狂化、体術、格闘術、魔力変換、闇属性魔法、召喚魔法



 魔族が大量発生したのは、こいつの召喚魔法によるものだろう。

 他は戦闘向きのスキルが揃っている上に、ステータスも軒並のきなみ高い。加えて体格も良く、体長は3メートルほどだ。


 それでも倒すだけなら簡単なのだが、刀を折られた仕返しと戦闘訓練、さらに実験も兼ねて、ボコらせてもらうとしよう。


 仕返しと言っても、刀はギフト『再生』で既に元通りだけどな。


 振り返った魔族の目が、赤く輝く。魔眼のスキルを発動しているようだが、俺には効果がない。


「ファイアランス」


 魔法を発動し、燃え盛る2メートル程の炎の槍を、魔族に叩きつける。

 同時に縮地を使ってふところへ踏み込み、ななめ下から刀で切り上げる。


 魔法耐性と物理耐性、さらに硬い黒鱗のせいか、ダメージはほとんど入らない。


「硬すぎだろ」

「ルグラァ!!」

「よっと」


 黒いもやまとったこぶしによる攻撃を、刀に【不壊】を付与して受け止める。

 しかし何らかの手段で強化しているのか、刃の部分で受けたにもかかわらず、魔族にダメージが通らない。


 続けて放たれたりを受け止めるも、拳による斜め上からの攻撃とは異なり、体格差のせいで吹き飛ばされてしまった。


 体勢を立て直しつつ、魔族の拳に鑑定スキルを使ってみると、鑑定が発動した。便利だ。



・付与:

【ダークアーマー】防御上昇

【シャドウアシスト】攻撃上昇、非実体無効



 魔族と距離が離れたついでに、スキルの【鑑定】を対象にして【常時発動】を付与してみる。するとスキル名が【ログ】に変化し、【鑑定】と分離した。


 視界のはしに画面が現れたが、不思議なことに邪魔にならず、触れることもできない。鑑定と同じく、他人の目には見えないスキルだろう。後で試してみよう。


 そんなことをしていると、魔族が一気に距離をめてきた。そろそろ終わらせるとするか。


強奪スティール


 俺はギフト【強奪】により、魔族のもつ全てのスキルを奪い、ステータスもほとんど奪った。

 足に力を込めて飛び出し、迫る魔族をバッテンに切り裂いて、そのまま後ろに抜ける。魔族は地面に倒れ込み、ピクリとも動かなくなった。



「やった……生きて帰れる……」

「勝ったー!!」

「俺達の勝ちだー!」


 あちこちから歓声が沸き起こる。ちょうど、残党狩りが終わったようだ。魔石を回収し、セレナを見つけて合流した。


「お疲れ様、セレナたん」

「カケルさんもお疲れ様です」

「この後のことだけど、ギルドは人が集まりそうだから、一旦宿に戻ろうと思う」

「わかりました、ユアちゃんとシルヴィちゃんを呼んできますね」


 セレナが2人を呼びに行くと、俺の方に見知らぬ男が歩いてきた。バスターソードを背負ったたくましいおっさんだ。


「いきなりで悪いが、最初の強力な魔法を放ったのは、あんたの連れか?」


 たぶん、シルヴィのことだろう。


「ああ」

「俺はこの街、ライラルのギルドマスターをやっているコッドという者だ。よろしく頼む」


 ギルマスだ! これはテンプレ展開来たか!?


「俺はカケル、よろしくな。それで、ギルドに行けばいいんだよな?」

「ああ、話が早くて助かる」


 後でギルドに向かうと伝えて、俺はギルドマスターのコッドと別れセレナ達と合流した。




―――――――――――――――




 宿でしばらく休憩してからギルドへ行くと、すぐにギルド3階の執務室へと通された。俺達が部屋に入ると、セレナがギルドマスターのコッドと挨拶を交わし、全員がソファーに腰掛けた。


「子連れか? そういや戦闘のときも見かけたような気が……」


 コッドが不思議そうな顔をする。普通はギルドに子供なんか連れてこないだろうからな。


「ああ、俺とセレナたんの愛のけっ―――がっ!?」

「ユアちゃんは精霊のようなものです」

「精霊さんなの〜」

「そ、そうか……」


 俺達のやり取りにコッドが苦笑いを浮かべたが、俺は気にせずに本題を切り出した。


「ところで、話があるんじゃないのか?」

「ああ、まずはこの街を救ってくれてありがとう。お前が大型の魔族と戦っているのも見ていた。こいつは報酬だ、受け取ってくれ」


 机の上に、袋に詰められた金貨が乗せられた。俺の所持金からしたら大した金額ではないが、ありがたくもらっておこう。


「次に冒険者ランクだが、ギルドとしては実力に見合ったランクでいて欲しい。だからお前たちには、Bランクまで昇格してもらいたい」


 テンプレならSランクとかなんだろうけど、街のギルドマスター1人の権限ではBランクまでしか昇格させることができないらしい。


 Aランク以上になるには王都で試験を受けなければならないようだ。


 Bランク以上になると緊急依頼に強制参加させられるらしいが、とりあえず俺とシルヴィはBランクまで昇格させてもらうことにした。


「ああ、それで構わない」

「協力感謝する。では次の話に移らせてもらうが、お前たちには王都へ行ってもらいたい」

「昇格試験を受けろってことか?」

「無理()いはしないが、そうしてもらえると助かる。無論むろん、推薦状は用意するぞ?」


 王都はライラルから距離も近く、次に行こうと思っていたところだ。断る理由がないだろう。


「わかった。じゃあ明日この街を出発する、みんなはそれでいいか?」

「もちろんです」

「もちろんなのー!」


 シルヴィは終始しゅうし、座ったまま居眠りしていた。

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