悲しみ
僕は今日も技の稽古前の基礎稽古に道場の外に出て行った。
数時間の間、基礎稽古を終え、家に帰っていると、物凄い音がして周りを見渡していると、上空が歪んだように見えたと思うと、唐突に空が割れた。
「・・・!」
あまりの異常なことに言葉すら出ない状況である。
その、割れ目から、何かは、よくわからないが、何かが、落ちてきているのは、
わかった。
「いったい何が起きているんだよ!」
そんな、ことを言いながら、落ちてきたものを、見ていると、落ちてきたものは、空中でバラバラになり、地上のいたるところに降り注いだ。
バラバラになった、破片の一つが自分の家の方に飛んで行った。
「あっちの方は!」
と言いながら、僕は、家に向かって走り出した。
真が家の前まで戻り、そこで見たのは、落ちてきた破片が家に、直撃したものであった。
「父さん! 母さん!」
叫びながら両親を探した。
「真!」
「父さん」
父さんの声が聞こえ、あたりを探してみると、そこには、ひどいあり様の父様がいた。
母さんもすぐ近くにいたがさらに酷いありさまだった。
「母さん!」
「・・・まこと」
母さんに呼びかけるが、反応も弱弱しく今にもどこかえいっいぇしまいそうな有様であった。
「しっかりして母さん!」
「・・・まこと、あなたは、しっかり、はぁはぁ、強く生きて」
「なんで今、そんなこと言うんだよ、母さんも一緒にいてよ!」
僕は、涙を流しながら叫びます。
「ごめんね、まこと」
「母さん!しっかりして、行かないでよ、母さん!」
「おい、静華、しっかりしろ!」
「・・・」
父さんも、呼びかけるが、そんな言葉を最後に母さんは、何も返事をしてくれなかった。
「ねえ、母さん、返事してよ、母さん!」
僕は、それでも呼びかける。
「真!」
「!」
父さんの声が聞こえた。
僕は、父さんの方を向くとそこには、苦しそうな父さんがこちらを向き言います。
「真、今は悲しみに浸っている場合ではない、今、自分にできることをやるんだ、ゴホォ」
「父さん!」
父さんがいきなりせき込み、血を吐いた。
僕は、父さんのもとに駆け寄り。
「父さん、大丈夫!」
「ああ、大丈夫だ、だが、瓦礫で足が動かないから、真、瓦礫を動かせるか?」
「わかった、やってみるよ」
僕は、そう言い、瓦礫に手をかけ上に持ち上げようとしたが、ビクともしない、それでも、僕は持ち上げようとした。
「はぁ、はぁ、父さん、動かないよ」
「そうか、真、誰か動ける人を呼んでくるんだ」
「でも!」
「呼んでくるんだ!今の、お前ひとりでは、無理だ、だから、誰か人を呼んで来い」
父さんが、そんなことを言います。
確かに今の、自分じゃ何もできないのがわかっている。
「・・・わかった」
「必ず誰か人を呼んでくるからね」
「父さんも、その間、頑張ってね」
「ああ」
そんなことを言い、僕は、近くの町に向けて、走り出します。
僕の背中を見送った父さん申し訳なさそうに言う。
「・・・うぅ」
突然の痛みに体を見てわかってしまった。
自分がもうだめなことに。
「はぁ、はぁ最後に嘘言っちまったな」
「真、すまない、こんな父さんで、お前にはもっといろんなことを、教えてやりたかった」
そんなことを一人言いながら。
「本当にすまない」
謝りながら、意識が朦朧としていく中最後に思うことは。
(真、お前は強く、優しい子に育ってくれ)
そんなことを、思いながら、意識が落ちていく。
(本当にすまない)
僕が、町の人を呼んできたときには、全てが遅かった。
家は完全に燃え上がり、近づくことすらできなかった。
「父さん!」
僕は、それでも、燃え上がる炎の中に飛び込もうとするのを町の人に抑えられる。
「放してください、あそこに父さんが」
「もう、無理だ、それに、あんなところに、君まで飛び込めば、助からないよ」
「でも、でも」
「すまないが、もう無理だ、ごめんよ」
町の人が済まなさそうに、謝って、手を放す。
「でも、そんな、まだ、助かるかもしれない」
「・・・」
町の人は何も言わずに首を振ります
僕は、もう無理なんだとわかり。
「う、うぁ、うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん父さんぁぁぁぁん母さんぁぁぁぁんうぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん」
僕は、両親がもういないということに、泣いた、泣き続けた一生分の涙を流すほど泣いた。
そして、僕は泣き疲れてしまったのか、眠ってしまった。
僕は近くで誰かが、話す声で目を覚ます。
「うぅ」
「あっ、起きたみたいよ」
「ほんとですね」
「・・・あれ、ここ、どこだ?」
「あ、ここは、町にある、孤児院よ、泣き疲れて、寝ているあなたを、町の人が運んできたんだよ」
「なんで、僕が?」
「それは・・・」
女の人が、言うべきか、言わざるべきか、そんな顔をしていた。
だけど僕は、話を聞く前に真実を思い出した。
「うぅ、僕の両親は、そうか・・・」
「・・・」
僕の、漏らした、一言で僕が、全て思い出していること知り孤児院の人は何も言えなくなりました。
「・・・」
「えっと、そのー」
もう一人の女の人が、よそよそしく声をかけてき。
「まずは、自己紹介でもしましょうか。」
「あたしは、藍香、そっちにいるのが、愛音、よろしくね」
藍香という、女の人、自己紹介をしてきて、もう一人の人も、
「愛音です」
もう一人の人は淡々と自己紹介をします。
「えっと、僕は、真、姫緋真です」
「真君か、よろしくね」
「よろしくお願いします」
そんな、あいさつ代わりの、自己紹介をして、
「それで、真君、今後、どうするの?」
「どうする、ですか」
「うん、真君は、そのー」
藍香さんは、何か言いにくそうに、しながらも
「真君は家も、あと、・・・両親もなくして、これからのことを考えないといけないから」
「そうですね」
僕が悲しそうにしていると
「あの、よければ、しばらくの間、ここで、暮らしませんか」
「でも、いいんですか?」
「いいわよ、ここは、真君のように身寄りがなくなった子供たちが、集う場所だもん、ねえ、愛音」
「はい、ここで、しばらくの間、どうするか、考えるのもいいでしょう」
「そうですか、ありがとうございます」
僕は、そう言って、しばらく、ここで、どうするか、考えようと思います
「しばらくの間、ここで、お世話になります」
「うん、ゆっくり、どうするか、考えるといいよ」
「では、私たちは、ほかの、職員や子供たちにあなたのことを、言っときます」
「はい」
二人は、そう言って、部屋を出ていきます。
二人が部屋を出て行ったあと
「うぅ、父さん、母さん」
一人になってまた、両親がもういない、悲しさがあふれてきて涙を流した。
また、泣き疲れて、寝てしまった。
起きた時には、外はもう日が暮れていた、そして僕が寝ていた横の机には藍香さんか、愛音さんのどちらかが持ってきてくれたスープが置かれていた。
僕は、起きてもう覚めてしまっているスープを飲んで、今後について考えた。
コンコン
ドアをたたく音で僕は考えるのをやめた
「どうぞ」
「あ、起きていましたか」
「はい、愛音さん、あ、これ、スープありがとうございます」
「いえ、それで、今後については、考えられましたか?」
「まだ、少し、どうしたらいいのか、わからないです」
「そうですか、なら、しばらくの間は、ここで、暮らし今後について考えて自分が何をしたいか見つければいいと思いますよ」
「はい、そうさせてもらいます」
そういって、僕の孤児院での生活が始まった。
誤字、脱字があれば遠慮なく言ってください。