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異世界で魔物生活  作者: はちみやなつき
第一章 異世界で魔物生活
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7.リ・ザーラ村

 しばらく湿地帯を歩いていると、何やら簡易的な家らしきものが並んでいるのが見えた。



「あれがリ・ザーラ村?」

「そうです、あれがリ・ザーラ村です。良い奴らばかりですので、きっとみんな歓迎してくれますよ!」

「そういえば故郷を追い出されたっていうのに一緒に村にやってきてもいいの? 肩身狭いんじゃ?」

「あっ!? ……い、いや全く問題ありませんとも……ハハハハハ……」



 なんか挙動不審だな。

 別に村に来ることは嫌ではなさそうなので、そのまま二人で村に向かうことにした。


 こうして僕達はリ・ザーラ村にたどり着く。

 村は遠目でみた印象と同じように簡易的な作りのものが多いような気がする。



「おっ、リザース様がおっしゃっていた例のお方がいらっしゃったぞ!」



 村人の一人がそう言ってから、村がザワザワと騒々しくなり始めた。

 一体何が起こっているのかよく分からずキョトンとしていると、村の奥から体格の大きなランドリザードが三人やってきた。



「これは、これは! あなたの噂はリザースから聞いております! 私はリーザーと申しまして、この村の長をやっております。是非私の家にいらしてください、歓迎しますよ!」



 中央にいる大きめなランドリザードが話しかけてきた。

 なんでこんなに歓迎されているんだろう?

 それにリザース自身も好意的に迎えられているし。

 ますますリザースが村から追い出された存在のように思えないんだけど。



「リザース、本当に村から追い出されたの? どうにもそうは思えないんだけど……」

「あっ、えっと……」



 リザースは答えにくそうにしながらチラチラとリーザーの方を見ている。



「リザースが誤解を招く発言をしているみたいなので、私の家で事情は説明致しますよ」



 リーザーがリザースに代わって説明してくれるようだ。

 リザース、やっぱり嘘ついていたんだろうな、ひどい。

 しっかり理由を聞かせてもらわないとな。


 こうして僕達はリーザーの家に招かれることになった。




 リーザーの家に到着した僕達。

 リーザーの家も簡易的な作りにはなっているが、中には比較的広々とした空間が広がっていた。


 そんな場所で聞いたリーザーからの話をまとめると、


 ・リザースはリ・ザーラ村の隊長であった

 ・リザースは襲撃されたリ・ザーラ村から住民を避難させるよう尽力しており、村人からの信頼が厚い

 ・リ・ザーラ村は元々あった拠点を手放しており、現在復興中である

 ・復興中ではあるが、どうしても僕の役に立ちたいと言うリザースを村のみんなは温かく見送った


 とのことだった。 


 全然村から追い出されてなんかないじゃないか!



「どういう嘘なんかついたの?」

「………………」



 リザースはうつむいて黙っている。



「おそらくレンさんについていきやすいように、とっさに嘘を言ったんでしょう。正直に全部言ったら村の復興を手伝いにいってほしいとレンさんから言われる可能性もありますから……」

「そうなの? リザース?」



 僕がそう聞くと、リザースは泣きそうな顔をしながらもコクンとうなづいて答える。

 体格がよくていかつい顔をしているリザースなのでなんかその表情はギャップがあって面白い。



「色々あってレンさんのことをすごい尊敬しているみたいなんですよ。大目に見てやってくれると助かります」



 リーザーは僕にそう耳打ちした。

 正直僕がリザースに感謝されるようなことをした覚えがないので、その言葉の意味がよく分からない。

 とにかくそのことは置いておいて本題に入ろうか。



「リーザーさん、僕はスライムの村に住んでいるんですが、スライムの村が水源として使っている川に定期的に岩が置かれるんですよ」

「まあリ・ザーダ村の連中ならやりそうなことですよね」

「そうなんですか……えっと、その迷惑な行為をやめてもらうためにリ・ザーダ村の人と話し合いをしたいんですけど、どうしたらいいんでしょう?」

「うーん、話し合ってやめてもらうのは難しそうですね。相手はあの荒くれ者集団ですし・・・」



 話し合うのは厳しい、か。

 じゃあどうすればいいんだろう?



「なんだか面倒くさそうだな、じゃあそいつらと戦って勝てば良いんだろう?」



 そう僕は話した。

 って、ええ!?

 バルグ、何勝手に言ってくれちゃってるの!?



『だって悩んでいても解決しないだろ? 相手には話が通じないようだし、力で打ち勝って迷惑な事をやめるように命令すれば良い話じゃないのか?』

『そんな単純な話じゃないと思うんだけど……』



 面倒な事になる前に、さっき発言は間違いですと伝えようとしたが……



「そうですね! 確かにレンさんがあいつらを叩きのめして勢力を弱めてくれれば我々の勢力が相対的に増して治安を維持しやすくなりますから、荒くれ者が迷惑行為をすることを取り締まることができます!」

「そうです! 師匠ならばきっとやってくれますとも! 我々の恨みを簡単に晴らしてくれますよ!」



 リーザーがバルグの言葉に乗っかってきてしまった。

 そしてその流れに便乗するリザース。

 リザースの奴、さっきまでしょぼくれていたのに、急に元気を取り戻したようだ。


 あーあ……もう後戻りできなさそうだよ……

 どうするんだよ、これ?



「では、すぐに戦いの準備をさせましょう!」



 リーザーがそう言って家から飛び出してしまった。



『バルグ、自分から厄介事につっこんでどうするの? 戦うのは嫌なんだけど……』

『そうか、分かった。そんなに嫌だと言うならここは俺に任せてくれないか? 久しぶりに思い切り暴れたいのさ。自分が言った事の責任は自分で果たすってやつだ。いいだろ?』



 うーん、なんか一層面倒なことになりそうだけど、自分で戦いたくないので一回くらい任せてみてもいいかなと思えてきた。

 仕方ない、ここはバルグに任せよう。


 こうしてランドリザードを相手にした戦いが幕を開けた。



 バルグの唐突な発言によって、リ・ザール村の協力を取り付けたり、情報収集をまともにしないまま戦いに挑むことになりそうだった。

 本当にこんなので大丈夫なんだろうか?

 でもその不安をリーザーに伝えても、レンさんがいるなら何とでもなりますよとしか返事が返ってこない。

 すごい不安だ。



 宣戦布告を終え、リ・ザーラ村の兵士達とともに現在のリ・ザーダ村の本拠地である元リ・ザーラ村へと攻め込むことになっている。

 そして今、元リ・ザーラ村が見える位置で待機をしている。



「さて、作戦をまともに立てずに来てしまいましたが、どう戦略を立てましょうか……?」

「作戦は決まっている! 俺が先にいって敵を殲滅するからついてこれるヤツだけ後に続け!」



 バルグはそう言うと同時に、一人で元リ・ザーラ村の方へと駆け出した。



「えっ……ちょっと待ってください! 作戦は……?」

「リーザー、あれが師匠なんだ。私達も負けずについていこうじゃないか!」



 リザースはそう言って、バルグの後を追いかける。



「なんて豪快な人なんだ。さっきまでとはまるで別人だな……」



 リーザーはそうつぶやいてから兵士を率いて進軍を始めた。




『正面に敵がざっと1000人か……』



 駆け出したバルグは一人で元リ・ザーラ村の入り口に待機する約1000人の兵士に立ち向かっていた。



『それなら……ブレイズプリズン!!』



 すると兵士の周りを炎の壁が囲い込み、逃げ場を塞ぎ、地面からせり上がる熱風によって兵士達を苦しめる。

 あまりの苦しみにほとんどの兵士は立っていることすらままならない。

 苦しむ1000人の兵士のそばを通り過ぎ、バルグは中央にある城を目指す。



「おい、待て……」



 兵士の中でも比較的強そうで、禍々しい赤い槍を持ったランドリザードの男が立ち塞がる。



「おっ、この炎の牢獄魔法に抵抗できるとはなかなかやるな! お前!」

「く……くそっ! なめやがって……ヒートスピア!」



 男はそう叫び、バルグに襲い掛かるのだが、



「甘いな、熱幻術ヒートマジック



 そうバルグはつぶやくと、男は誰もいないところで見えない敵に向かって永遠と攻撃をし始めた。



「悪いな、先を急いでいるんでね」



 そう言い残すとバルグは城へと向かった。




 遅れてバルグが技を放った町の入口部分に到着したリザースとリーザーは驚愕した。



「一体何が起きているんだ……?」



 そう二人がつぶやくのも無理はない。

 時間が経って炎の牢獄魔法、ブレイズプリズンはなくなったものの、目の前には1000人もの兵士が焼け焦げて倒れているのだから。


 

「これが師匠か……」



 その光景を見て二人は思わずつぶやいて、立ち尽くしていた。


 そして、焼け焦げてはいるものの見えない何かとまだ戦っているランドリザードが見えた。



「あれは……リョーザン!?」



 そう、リ・ザーダ村最強とも言われていたリョーザンが見えない敵と永遠と戦い続ける無残な姿がそこにあったのだ……


 その後もリョーザンさえも圧倒するバルグの力を止められるものは誰もおらず、バルグはあっという間に元リ・ザーラ村の制圧を成し遂げてしまったのだった。

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