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異世界で魔物生活  作者: はちみやなつき
第六章 異世界の人間
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77.ヒュードス研究会

「こ、皇帝とはすごいね……」



 まさか同じ名前の人が皇帝だなんて夢にも思わないよね。

 でもそれだったら、どうして僕にその同一人物のことを話すことをハーナはあんなにためらっていたんだろう?

 皇帝と同じ名前だと言われても嫌がるどころか嬉しいと多くの人は思うだろうに。

 もしかしてその人がよっぽどひどいことをしているのかな?



「そんなにその皇帝は悪い人なの?」

「うん。直接会ったことはないけど、悪い噂はよく聞くの」

「それに、オレ達が魔物達と戦うように命令したのもそいつらしいからな」



 そっか、ハーナ達が魔物の地で戦うことになったのはその人のせいなんだな……。

 いわゆる兵役みたいな、強制的に国民を戦地に送り込むような制度がその国にあるんだろうね。

 過酷な戦いをさせた人に対して良い印象を持つ訳がないし、そんな人と同一人物かもしれないことを僕に話すのを嫌がることも分かる。



「となると、ハーナ達はレーネシアス神聖帝国の国民なんだね?」

「いや、そんな大国の国民なんかじゃないわ。私達はポートサン農国という小さな国の国民なの」

「そうなの? じゃあなんでハーナ達が戦うことに?」

「それはね……今から1ヵ月ほど前、レーネシアス神聖帝国が私達の国に攻め込んできたの」



 大国が小国に攻め込んできたのか……

 それはつまり……



「想像つくかもしれないけど、一方的な展開だったわ。為す術もなく私達は敗れ、そして属国になった」

「それからオレ達はさんざんこきつかわされてきたんだ」

「そしてついに、ボク達に戦いまで強要するようになったんだ」

「さらに魔物との戦いでも敗れ、逃げ延びた結果、私達はここにいるの。本当、情けないわよね……」



 ハーナ達にそんな背景があったなんて知らなかった……

 そのことを考えると、ハーナは今まで無理をして明るく振舞ってきていたことが容易に想像できる。



「ごめん、ハーナ達がそんな状況にたたされていたなんて知らなかった。ここに閉じ込めるようなことをしてごめんね……」

「いや、レンさんが謝る必要なんてない! 私、ここで暮らせてとても嬉しいの! みんな優しくしてくれるし! ただ……」

「ただ?」

「国に残されたお父さんやお母さんが心配なの。ここでの生活に全く不満はないんだけど、私だけがこんなに幸せでいいのかなって」



 そっか……

 こうしている間にもハーナ達の国の人達は苦しんでいる訳だもんね。

 ハーナがそう思うのも無理はない。

 助けてあげたいけど、僕だけじゃどうしようもできないし、どうしたらいいんだろう……?



『レン、一人ではできなくても、みんながいるだろ?』

『バルグ……それはそうかもしれないけど、みんなに迷惑かけられないよ』

『大丈夫だ。少なくとも俺は迷惑になんて感じない。それに他の仲間だって事情を話せば、きっと俺と同じ気持ちになると思うぞ』



 僕がフィナや他の仲間達に頼んだら手伝ってくれそうなのは何となく想像がつく。

 でも、こんなことに巻き込んでしまっていいのだろうかという気持ちがある。


 僕はできればハーナ達の国の人達を助けたいと思っている。

 でもその僕がやろうとしていることは、例えハーナ達の国を助けることになっても、レーネシアス神聖帝国の人と敵対することになるし、必ずしも良い行動とは言い切れない。

 自分が助けたいと思っている人間の人達の一勢力に加担することにみんなを巻き込むのは申し訳ないと思ってしまうんだよね……。



『俺はレンについていく。レンがハーナ達を助けたいと思うなら助ける。もしレーネシアス神聖帝国の奴らと戦うっていうなら戦ってみせるさ。だからレンがやりたいようにやるといいぞ』



 バルグの思いを聞いて、僕は決心した。

 ハーナの国、ポートサン農国をレーネシアス神聖帝国の支配から解放するということを。

 そして僕はハーナ達に自分の思いを告げた。



「ハーナ、僕が君を、いや、君達の国を救ってみせるよ」

「レンさん、それってどういう意味ですか!? もしかして、レーネシアス神聖帝国と戦うということですか!?」



 僕の言葉を聞いたハーナは驚きを隠せない様子でそのように問いかけてきた。

 うん、いきなりそんなことを言ったら誰だって驚くよね……。



「別に戦うことを目的にしている訳じゃないよ。あくまでハーナ達の国を救うことが目的なんだ。その為にレーネシアス神聖帝国と戦う必要があるならば、当然戦うつもりだけどね」

「な、なに言ってるのレンさん!? いくらレンさんが強いからといって、レーネシアス神聖帝国は敵う相手じゃないわよ!?」

「そうですよ! ボク達と違ってあなた達魔物は神聖魔法に弱い。分が悪すぎますよ……」

「気持ちは嬉しいが……オレも無謀だと思う」



 レーネシアス神聖帝国っていう名前なんだから、その国の人が神聖魔法に長けていることは予想はしていた。

 そしてその神聖魔法が脅威になるということも間違いないだろう。

 主に脅威となる理由は二つある。


 一つはその魔法自体の威力だ。

 バルグも神聖魔法を使えるらしいのだが、魔法を使ったバルグ自身にダメージを負うということから分かるように、魔物は神聖魔法にとても弱い。

 その魔法が直撃したら――大変なことになるのは間違いないだろう。


 もう一つは魔法の特性にある。

 神聖魔法は僕達魔物に有効であり、一方で人間にはほとんど無害な魔法だ。

 なので敵味方が入り混じっている状況で、神聖魔法をそこらじゅうに放って乱用すると、魔物側だけに大きなダメージを与え、人間側にはほとんど被害がでないということが起きうる。


 この神聖魔法という脅威に対して一体どうしたらいいんだろう……?



『レン一人で悩んでいても仕方がないだろ? まだ時間はあるんだ。ゆっくりと色んな人から聞き込みをしながらでも考えていけばいい』

『それもそうだね』



 僕一人で簡単に解決できる問題だったら、とっくに魔物達が人間の大陸に攻め込んでいてもおかしくないよね。

 この問題は簡単に解決しそうもないし、ゆっくりと解決策を考えていくことにしよう。



「神聖魔法は確かに手強そうだね」

「そうでしょ? だから無理はしないで、お願いだから……」

「うん、無理はしない。だからしっかりと準備を整えてからハーナ達の国に向かうことにするよ」

「その方がいい。出会ったばかりの人がいきなりいなくなってしまうなんて勘弁だからな!」

「うん、テールの言う通りだよ!」



 僕の言葉を聞いた三人はほっとした様子だった。

 ハーナ達の反応を見ていると、レーネシアス神聖帝国がいかに強敵なのか感じられる。

 でもそれはまだしばらくは先の話。

 ひとまずは目の前のこと、ハーナ達に魔物語を教えることから始めるとしよう。

 行動を起こすにしても、道案内にハーナ達を連れて行く必要があるし、その為にはハーナ達が魔物語を話せるようになる必要があるからね。


 それからは魔物語の教育を開始したんだけど、ハーナが魔物語の教育を手伝ってくれたおかげでテールとフートスはある程度の単語を覚えることができたようだ。

 ハーナはもう教える必要がない位、魔物語を話せるし、実質テールとフートスの二人だけを教えればいいようなものでだいぶ楽させてもらえて良かったよ。



「皆さん、そろそろ時間ですので、退室の準備をお願いします」



 クーリのアナウンスが面会時間の終わりを告げる。



「じゃあ今日はここまでにしようか。また明日頑張ろうね。ハーナ、手伝ってくれてありがとう」

「とんでもないです! また明日もお願いします!」

「レンさん、優しくてビックリした……オレ、早く魔物語を覚えられるよう頑張る!」

「ボクも、ハーナと同じくらい話せるように頑張るよ!」



 三人とそれぞれ言葉を交わした後、僕は部屋から退出した。


 部屋からでて、しばらく待っていると、いつものようにクーリがやってきた。

 だが、クーリはいつもと違って不安そうな表情を浮かべている。

 一体どうしたんだろう?



「レンさん、本気ですか?」



 クーリのその言葉を聞いてハッとした。

 そういえば僕、結構無謀なことを言ったばかりなんだった。



「うん、本気。でもすぐに戦いに行く訳じゃないよ。しっかりと準備を終えてからにするつもりだから安心して」

「そうですか……レンさんがそうしたいのなら私は止めませんが……」

「何の情報や対策も無しに挑もうとするんだったら、さすがに僕でも無謀だと思ってる。だからまずは情報を集めようと思うんだ」

「それが賢明ですね。私もお手伝いできることがあったら是非手伝わせて下さい」

「うん、ありがとう。頼りにしているよ」



 それからこの世界の人間に関する情報について色々と聞いてからクーリと別れ、エルンの家へと帰ることにした。






「みんなに話があるんだけど、いいかな?」



 エルンの家に戻った僕は、仲間達に向かってそう呼びかけた。



「改まって一体どうしたの、レン?」

「何か訳ありなカンジ~?」

「そうッスよ。何か大事なことでもあるんスか?」

「レンさんのことですから、大事なことに違いありません!」

「私も、そう思う」



 みんなが聞いてくれているのを確認してから僕は言葉を続ける。



「僕が人間の子と交流しているのはみんなも知ってるよね?」

「ええ。確かハーナさんに魔物語を教えているのよね?」

「あと今日からはテールさんとフートスさんもですね」

「うん。実はその三人の過去についての話を聞いたんだ。そしてその話を聞いたら、僕は三人を助けたいと思ったんだ」

「助けたい……何か良くないことが起きているみたいですね」



 リザースの言葉に僕はコクリとうなずく。

 するとみんな真剣な表情になって話を聞こうとしてくれている。

 その様子をみた僕は、一呼吸おいてから話を始めることにした。


 僕と同じ名前の人がいること、そしてその人は大国の皇帝だということ、その人によってハーナの国の人が苦しんでいることを伝えた。



「レンと同じ名前の人ね……レンは元人間ということだから、そういう事があっても不思議ではないわよね」

「それにしてもその皇帝とやら、なんてことをするんでしょう! 別人とはいえ、師匠の名前を汚すようなことをするなんて!」



 リザースがすごい形相になっている。

 どうやら相当怒りを募らせているようだ。

 そんなに怒らなくてもいいと思うんだけどなぁ……


 皇帝のレンさんだって、国の繁栄の為にそういった侵略みたいなことをしているんだろうし、何らかの事情があるだろうからね。

 とはいっても、ハーナ達にひどい事をしていることには変わりはないんだけど。



「そんなハーナ達の状況を聞いてね、僕はハーナ達を助けたくなっちゃったんだ。かなり厳しい道のりだろうけど、頑張ってみようと思うんだ」

「さすがは師匠です! 師匠のお役に少しでも立てるよう、微力ながら精一杯助太刀致します!」

「無茶なことを考えるのね。でも面白そうだし、私もレンについていくわ!」

「無茶かもしれないけど~それが冒険の醍醐味ってヤツだよね~ボクもついていくよ~」

「オレ達なら、国の一つや二つなんて楽勝ッス!」

「私も、そう思う」



 みんな、こんなあっさりとついてきてくれちゃっていいの!?

 結構過酷なことになるかもしれないんだよ!?



『な、だから言っただろ? みんなも俺と同じ気持ちになるだろうって』

『僕も何となくは分かっていたけど、こんなあっさりと決めちゃうとは思わなかったんだ。何しろ未知の相手、しかも一国を相手にするんだよ?』

『そんなの俺達には何の障害にもならないさ。今までだって、妖狼族のコーボネルドとか天竜のヴェルナーダとか国を相手に戦ってきたんだからな』



 確かにそういえばそうだね……

 そう改めて考えると、今までなんて無茶をしてきたんだと自分達の行動に驚いてしまう。

 そんな大層なことがあっても、何となく成り行きでここまできてしまったし、みんなが今度も何とかなると思えるのも当然のことかもしれない。



「ハーナさんの国の人達を助けるとしても、今の状況じゃ情報が足らなすぎますね」

「うん、僕もそう思ってる。人間の国がどこにあるかすら分かっていないし、色々と問題は山積みなんだよね」

「それについては大丈夫だよ~研究室の中には人間を研究する所もあるからそこで教えてもらえると思うよ~」



 そっか。エルン達、賢猿族は研究に特化した種族だし、人間を研究する部門があってもおかしくはないよね。

 となると、その人達がどれ位知識を持っているかにもよるけど、意外と簡単に情報を集めることができそうだ。



「そこで聞くのが一番手っ取り早そうだね。エルン、その人達がどこにいるか分かる?」

「うん任せて~こっちだよ~」



 こうして僕達は外に出て、エルンについていくことにした。





 エルンについていくと、研究室の建物の前にたどり着いた。

 恐らく賢猿族の研究者はみんなこの建物の中で研究しているんだろうから、ここにくるのは当たり前かな?



「じゃあ中に入るよ~あんまり騒がないでね~」



 どちらかというとエルンの方が声が大きいじゃないか!?

 そうつっこみたい気持ちをこらえつつ、僕達は研究室の中へと入っていった。


 エルンは研究室の中に入ると、真っ先に受付の人に話しかける。


 

「すいませ~ん、人間を研究している研究者の方にお会いしたいんですけど~どこにいますかぁ~?」



 僕達は慣れたけど、初対面な人がこの口調で道を聞かれたらすごいイライラするだろうなぁ。



「B棟のB603号室です」

「分かりました~ありがとうございま~す」



 受付の人はエルンに動じず淡々と受け答えをしてくれた。

 きっとここの人達もエルンの口調にもう慣れているから何とも思わないんだろうな……



「B棟は……こっち! ついてきて~」



 エルンが向かった方向に僕達もついていく。


 エレベーターに乗って地下6階で降り、しばらく歩いた所でエルンは立ち止まる。

 すると何かを見たエルンが若干青ざめた表情をしているようだ。

 一体何があったんだろう?



「どうしたの、エルン?」

「レンレン、ボク達かなり運が悪いみたいだよ~」



 運が悪い?

 どういうことかよく分からないので、僕もエルンが見ていた白いプレートのような物をのぞきこんでみると……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 人間文化観察の為、外出中。戻る時期は未定。 


 人間観察研究会 ヒュードス


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 もしかしてこれって……研究者達が人間の町に行ってしまったということ!?

 こんなことってアリなの!?



「戻る時期は未定って……一体いつになったら戻ってくるんだろう?」

「一度出かけたらなかなか戻ってこないって噂だよ~一年戻ってこないこともよくあるらしいよ~」

「え、それじゃあ、話を聞きたいなら、その人達がいるところ、つまり人間の町まで行かないといけないっていうこと!?」

「そうなっちゃうね~」



 特に危険なく情報を集めるチャンスだと思っていたからかなりショックだなぁ……

 他の方法を探した方がいいのかな?


 がっかりした雰囲気が漂う中、フィナが口を開く。



「ちょっと待って、エルン。人はいなくても、資料まで全部なくなっているとは限らないわ」



 確かにそうだよね。

 人間の町に出かける為にいくつか資料を持っていくにしても、さすがに全部は持ち出さないだろう。

 残された資料に手がかりになるようなものもあるかもしれない。



「そうだよね~分かった。中に一回入ってみようか~」



 そう言ったエルンは研究室の扉を開けようとするが、鍵が閉まっているようで開かない。

 留守にしているんだから、鍵が閉まっていることは何の不思議もないし、逆に開いてたら不自然だよね。

 さて、どうするべきだろう?



「エルン、鍵がかかっていて開かなそうだけど、どうするの?」

「ちょっと待ってて~すぐに開けるから~」



 するとエルンはカバンの中から白っぽい粘土みたいな道具を取り出し、鍵穴へとねじ込む。

 そのまま1分ほど待ってからその白いものをひねるとカチッという音がした。

 えっ、まさかもう鍵が開いたの!?



「オッケーだよ~みんな中に入って~」



 エルンがドアノブをひねるとあっさりと扉は開いていった。

 こんな簡単に鍵を開けてしまうとは、エルン、恐るべし……。


 エルンが鍵を開けたことにより、僕達はヒュードス研究室へと入っていく。

 中は暗く静まり返っていて、何かの薬品のような臭いが漂っている。



「なんか臭いがきつくない、エルン? ここの人達って一体何を研究しているの? 人間の研究でこんな薬品を使う理由がよく分からないんだけど……」

「う~ん、ボクにも分からないな~。ここに限らず、研究室が普段どういう研究しているかはあまり知られていないんだよね~」



 エルンにも分からないのか……

 人間の文化研究でどうして薬品を使うのかますます謎は深まるばかりだ。

 それにしてもこの臭い、何か変だ。

 さっき入ったばかりのときと比べて若干臭いが変化しているような……

 薬品の臭いになんか焦げたような臭いが混ざってきて……ってええ!?

 さすがにこれはおかしくないか!?



「なんか焦げた臭いがしない?」

「本当。一体どこからするのかしら?」

「皆さん、こっちから臭いするみたいッスよ!」



 ジルによれば研究室の奥にある扉のさらに向こう側から臭いがするらしい。

 ちなみにそこの扉には鍵がかかっているので開かない。

 このまま放っておくと大変なことになりそうなので、何としても扉を開けなくては。



「エルン、いける!?」

「オッケ~任せておいて~」



 エルンの早業でまたしてもあっという間に扉を開くことができた。

 すると中から煙が勢いよく飛び出してくる!

 一体、中で何が起こっているんだろう?



「あぁーまた失敗してしまったんだなー」



 煙の向こう側から声が聞こえてくる。

 どうやら誰かがいるようだ。



「誰かいるんですか?」

「ん? 声が聞こえるんだな? 何者なんだな!?」

「エルンだよ~人間について知りたくてここに来たんだよ~」

「エルン……? あぁ、あの変わり者のエルンなんだな。ちょっと後片付けを手伝うんだな」



 そう何者かが言うと、起き上がって、こちらに近づいてくるようだ。

 煙がすごくて、まだはっきりと姿は見えないんだけど……



「何をすればいいの~?」

「そうなんだな……火はもう消しておいたから、白煙装置を止めてくれると助かるんだな」



 どうやらこのすごい煙は白煙装置というものから出ているらしい。

 エルンがその装置みたいなものを次々と止めていくと、次第に部屋の中の煙がなくなっていった。

 すると、ようやく部屋の中に白衣を着た一人の賢猿族の姿がはっきりと見えた。



「助かったんだなエルン。ところでそこにいる色んな種族の人達は何者なんだな?」

「ボクの旅の仲間だよ~みんな優しいから安心して~」

「そうなんだな、なら、いいんだな」



 そんなにあっさりと警戒心をといてしまっていいの!?

 まあ、説明をする手間が省けて良かったんだけど。



「エルン達は人間について知りたくてここまで来たんだな?」

「うんそうだよ~」

「そうなんだな。ならオラの大事なお客様なんだな。こんな形で申し訳ないけど、これから頑張るから許してほしいんだな」



 賢猿族の研究者はそういうと、姿勢をただして、改めて僕達の方へ近寄ってきた。



「申し遅れたんだな。オラはヒュードス研究会のオーランというんだな。よろしくなんだな」



 それからその研究者、オーランと互いに自己紹介を行い、ここまでの経緯を簡単に説明することにした。

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