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異世界で魔物生活  作者: はちみやなつき
第六章 異世界の人間
75/98

73.人間との遭遇

 外に出たはいいものの、食べ物ってどこで売っているんだっけ?

 この世界に来てから、お金を払って食べ物を買うことなんてほとんどなかったから無理もないんだけど……

 あったとしても、コーボネルドで飲み物を買った位だなあ。



『バルグはお店のある場所に心当たりがあったりする?』

『色んな所に店があったな。でも買えるものはバラバラだから、色々と見て回る必要がありそうだな』

『そっか、何だか面倒そうだね』

『そう言うなよ。観光と思えばそんなに悪くないだろ?』



 観光か……

 確かにこうしてゆっくりとエプール村を歩いて探索できるのは今回が初めてだし、そうとらえることもできるよね。



『そういえば、レンは何買うか決めたのか?』

『どうしようかな……って、この世界の食べ物の事全然知らないんだった!』

『おいおい、今更かよ。それじゃ何買えばいいのかも分からないんじゃないか?』

『そうだね。買いに行ってくるって言っちゃったから今更後には引けないし、どうしよう……』 



 ずっと暮らしてきたから忘れかけていたけど、ここは異世界なんだ。

 当然食べ物は違うし、料理だって全く異なる。

 そんな世界で僕が知っている料理を作ろうとするなんて困難だよ……



『どうやらお困りのようだな。助け舟を出してやろうか?』

『え、何か考えがあるの、バルグ!?』

『フフ、俺に任せておけ』



 バルグはそう言うと、何やら呪文を唱えだす。

 すると目の前に一冊の本が現れた。 

 バルグはその本をつかんで開く。

 だが、その本には何も書かれておらず、白紙であった。



『レン、この本を持って、目を閉じて、作りたい料理のイメージをしてみてくれ』

『イメージ? そんなことしてどうなるの?』

『いいから、やってみてくれよ。やってみれば、分かるさ』

『そこまで言うなら……』



 僕はバルグの言う通りにしてみた。

 すると、何やら目の前で書き込まれる音がする。

 一体何が起きているんだろうか。


 しばらくすると、書き込まれる音が止んだ。



『もう目を開けてもいいぞ』



 バルグの声を聞き、僕は目を開ける。

 するとなんと、本には僕がイメージしたカレーの絵が描かれているではないか!



『これはレンの世界の食べ物なのか? 初めて見るな……』

『そうだよ、カレーライスって言うんだ。でも、この世界じゃ材料もないだろうし、作れないだろうなぁ……』

『あ、その心配はいらないぞ。ページをめくってみてくれ』



 材料の心配はいらないってどういう事だろう?

 材料がなかったら、作りようがないのに。

 そう疑問に思いながらもページをめくってみる。

 すると、次のページには見知らぬ材料名らしき名前と量がずらずらと書かれていた。

 これってどういう事?



『ああ、この本はな、想像した材料が存在しない場合、近い味を出せる材料と作り方を表記してくれる便利なグッズなんだ』

『っていうことは、この本に書かれている材料を使えばカレーを作れるの?』

『恐らくな。俺も実際にこの本を使ったのは初めてだから確信は持てないが、やってみる価値はあるだろ』



 確かにそうだよね。

 別に失敗したからといってどうってことないし、それよりもうまくいったときの喜びが大きい。

 だってしばらく食べていない懐かしい味を再び堪能することができるのだから。



『そうか、レンはこの世界に来てからだいぶ経つもんな。懐かしくもなるよな』

『そうだね。もうだいぶこの世界に慣れたとはいえ、やっぱり元の世界の食べ物が恋しくなることはあるよ』

『よほどうまいものがたくさんあったんだろうな。俺もこれからその味を楽しめると思うとワクワクしてくるぞ!』



 うん、現実世界の食べ物はとてもおいしかった。

 この世界に来てからは、動物の肉をただ焼いただけの物とか、味付けがほとんどされていないものを食べるのがほとんどだったからなぁ。

 コーボネルドで味わった飲み物も果物をそのまま液状にしたもので、果物そのものの味という感じだったし。

 もう慣れたとはいえ、やっぱり現実世界の食べ物は恋しくなるのも無理はないか。



『じゃあ、材料が分かったから、そろそろ店に向かうか』

『うん、そうしよう』



 その本を見ながら、僕は再びエプール村の道を歩きだした。



「すいません、このフィスダークを2つ下さい」

「あいよ」



 こんな感じで色んな店をめぐってカレーの材料になりそうなものを買っていった。

 どの材料も初めてみるものだから、どれがどの名前なのか分からないので、バルグに教えてもらいながら買うことになった。

 材料を正しく買えるのはいいんだけど、本当にこれで合っているのか不安になる。

 いや、バルグを信じていない訳じゃないんだけど、明らかにカレーに使う材料とは思えないものばかりだから不安になってしまうのだ。


 不安になりつつも、ほとんどの材料を買うことはできた。

 後はペトールというものを3つ買えば全部揃うな。



『バルグ、ペトールってどこにあるのかな?』

『ペトールはちょっと変わったものだから、この辺りにはないだろう。確か、少し表通りから外れた所に店があったから、あそこに行けばあるんじゃないか?』

『表通りの店にないって……それって何か危ないものだったりしないよね!?』

『まさか、そんなことはないぞ。ただ、ペトールはだいぶ辛くてなかなか料理に使わなくて売れないから、売っている店は限られているんだ』



 なるほどね。

 そのペトールというものを使ってカレーの辛さを表現するっていうことか。

 変な危ないものじゃなくて良かった……


 それから僕はバルグの案内に従って、表通りを外れた道を通って行った。

 そしてバルグが言っていた店にたどり着いたのだが、残念ながらその店にはペトールは売っていなかった。



『ここにないのか……』

『でも諦める訳にはいかないよね。地道に探していくしかないかな?』

『そうだな。まあ、のんびり探そうぜ』



 少しがっかりしながらも、再び歩きだしてペトールを売っている店を探し始める。

 裏通りにも店はそれなりにあったのだが、どの店にもペトールは置いていなかった。

 ちょっと心が折れそうになりつつも、頑張って探し続ける。

 すると、店を探している途中、ある噂話が耳に入った。



「あっちの方で人間を見かけた奴がいるみたいだぞ」

「本当か!? なんか怖くねえ?」

「いや、手負いらしいから、そんな怖がる必要はないってさ。それより、人間ってどういう奴なのか気にならねえか?」

「そうだな! それじゃ、ちょっと見学しに行ってみたりしちゃうか?」

「そうしようじゃないか! 行くぞ!」



 そう言うと賢猿族の二人はどこかへ走り去ってしまった。



『人間か……ブロドーアの戦いで魔物側の土地に入り込んだ奴らがいたんだったな』

『この世界の人ってどんな感じなんだろう? 分かり合えたりしないのかな?』

『そっか、レンは前の世界では人間だったんだもんな。そう思うのも当然だよな。ちょっと俺達も見に行ってみるか?』

『うん、そうしよう』



 お腹を空かせているみんなを待たせて寄り道するのは少し悪い気もしたけど、そんなに時間かからないだろうし、大丈夫だよね。

 せっかくこの世界の人間と会えるチャンスがあるのだから、この機を逃す訳にはいかないよ。

 僕は急いで先程の賢猿族の二人が向かった方へ走っていった。


 賢猿族の二人が向かった方向に進んでいると、人だかりが見えてきた。

 でも人で埋め尽くされていて、その先の状況がどうなっているのか分からない。

 僕は一人の賢猿族の人に状況を聞くことにした。



「何があったんですか?」

「あら、竜人族の方。実はねぇ、人間があたしのお店の商品を盗んで逃げていったんだよ。今は警察が人間を追っている所さ!」



 盗み……そうか。

 魔物の領域に入ってしまうと、人間が経営する店なんて一つもないだろうし、食べる物にも苦労するだろうね。

 だから魔物の村に侵入して食べ物を奪ったりして生き延びようとすることは容易に想像がつく。


 そう考えると人間が賢猿族の商品を盗む事情も分かる。

 だけど、だからといって、その盗みが許される訳じゃない。

 この状況はどうすればいいんだろう?



『とにかく、相手の人間がどういう奴なのかを一目見てから考えるっていうのはどうだ?』



 確かに、実際に相手がどういう人なのかを確認しないと、どう行動したらいいのかも思いつかないよね。

 迷ったら行動あるのみだ。

 でもこの先は人であふれていて通ることはとてもできそうにない。

 だったら……



「おい、そこの竜人! 下りてきなさい!」



 陸路が駄目なら、飛んで移動すればよいのだ。

 どうやら上から見た様子だと、警察が通路を封鎖していて、その近くに人だかりができていたようだ。

 人だかりがなくても、どっちみち歩いては移動できなかったようだね。

 怒られちゃっているけど、すぐおりるから、ちょっと待ってて下さい……。


 さて、肝心の人間はどこにいるんだろうか?

 しばらく飛んでいると、何やら声が聞こえてきた。



「いい加減観念して捕まりなさい!」



 恐らく人間を追っている警察の人の声だろう。

 ということはその近くに人間もいるはず。

 僕は警察の人の声がした方へと向かっていった。


 しかし、移動しても誰の姿も見当たらない。

 おかしいな……


 よく分からなくなった僕はとりあえず地面におりてみた。

 歩いて探せばきっと見つかると思うからね。

 

 そうして少し歩いて周りを見ていると、急に目の前が暗くなってしまった!

 一体何が起きているというんだろう!?



「動かないで! 動いたらこいつを殺すわよ!」



 そういう声がすぐそばで聞こえてくる。

 どうやら僕は人質になってしまったらしい。

 ということはこの言葉を話しているのは人間……あれ?

 人間って魔物とは違う言葉を話すんじゃなかったっけ?



『レンにはこの声の意味が分かるのか?』

『うん。バルグ達と同じ言葉を話しているように聞こえるよ。魔物語を話しているんじゃないの?』

『いや、これは恐らく人間の言葉だ。俺には全く意味が分からないからな』



 バルグには意味が分からない?

 全く同じような言葉に聞こえるんだけど、不思議だなぁ。

 言葉が全く同じに聞こえるか仕組みはよく分からないけど、これってかなり都合が良いんじゃないか?

 もしかしたら異世界の人間とも話ができるかもしれないからね。 



「人質だと!? 通路はまだ閉鎖できていなかったのか!?」

「いえ、閉鎖できています。恐らくあの竜人は、先ほど連絡があった侵入者かと」

「そうか。でもだからといって、このまま見殺しにする訳にはいかないし、どうしたものか……」



 警察の人はだいぶこの状況に困っているようだ。

 下手に行動できなくなってしまったんだから無理もないか。

 実際はそれほど厳しい状況じゃないんだけどね。

 だって、余程の攻撃じゃないと僕の体は傷つけることはできないから、普通の人間にすぐ殺されることはないと思うし。

 このことは警察の人に伝えておいた方が良さそうだな。



「警察の方、僕は大抵の攻撃では死なないので安心して下さい!」



 その言葉を言った瞬間、沈黙が場を包み込む。

 何か変なこと言っちゃったかな?



『いや、十分おかしいだろ。捕まって早々に自分は死なないとか、おかしくなっちゃったんじゃないかと思われるだろ』



 そ、そうですよね……

 確かによく考えればそんな事普通は言わないよね……

 なんか恥ずかしくなってきた。



「あ、あなた……人間の言葉を話せるの……!?」



 そう言う声が近くから聞こえてくる。

 いや、そんなつもりはなかったんですけど……

 もし人間の言葉に聞こえているとしたら、バルグはさっきの僕の言葉を聞き取れないはずなんだけど、そこの所はどうなんだろう?



『俺にも普通に聞き取れたぞ』

『ということは、バルグには魔物語に聞こえたっていうこと?』

『そうだな。それ以外の言葉は知らないからな』



 バルグには魔物語に聞こえて、人間には人間の言葉に聞こえるということか。

 だとしたら、僕は何語を話していることになるんだろう……?

 よく分からなくなってくる。



「よし、今がチャンスだ、取り押さえろ!」

「しまっ……!?」



 その言葉と同時に、近くから魔法を放たれ、人間が地面に倒れたような音が聞こえた。

 人間が油断している隙を警察は見逃さなかったという事だろう。

 これにて一見落着といったところかな?


 少し経つと、警察の人が目隠しを外してくれた。

 目が見えるようになって、初めて近くにいた人間の姿を見ることができるようになった。

 その人は、年は僕と同じ位か、少し下のように見える女の子だった。

 これまでまともに食事ができてこなかったせいか、顔や体は痩せこけて見える。

 服もボロボロで、生きていくのがやっとだったことが想像できる。

 あの子はこれからどうなるんだろうか?



『恐らく、殺されるだろうな』

『ええっ!? でもあの女の子は物を盗んだだけだよね? 死刑になるほどの事はやってないと思うんだけど……』

『考えてもみろ。もし、人間を殺さずに釈放したらどうなる? 言葉も通じないんだぞ? また同じように物を盗むか、最悪誰かを殺しかねないんじゃないか?』

『そ、それは……』



 確かにバルグの言う事も分かる。

 釈放されたからといって、急に魔物の村に適応できる訳ないし、人間の町に戻るには距離がありすぎるから、また魔物の村を襲う事になるのは容易に想像できる。

 その事を考えると、殺してしまうというのは魔物の立場からしたら理に適っているのかもしれない。

 でもそれじゃいつまで経っても人と魔物の間にある溝は広がるばかりじゃないか!?

 そんなのは悲しすぎる。

 なんとかできないものだろうか?


 色々と悩んでいるうちに、警察の人のうちの一人が、女の子に拘束具をつけ、どこかへ連れ去っていった。

 そしてもう一人の警察の人が僕の方に近づいてくる。



「君の言葉のおかげで、なんとか人間を取り押さえることができたよ、ありがとう」

「それほどでもないです」

「でもいくら人間が物珍しいからといって、こんな所まで来ちゃいけないよ。分かったかい?」

「は、はい……気を付けます……」



 そう僕に注意をすると、警察の人は立ち去ろうとした。

 いや、ここで立ち去られるとまずい。

 なんとかして、女の子を殺さないように頼まないと……



「すいません、ちょっと聞きたいことがあるんですけどいいですか?」

「うん? なんだい?」

「あの人間の女の子はこれからどうなってしまうんですか?」

「……殺すことになるだろうね」

「それは何とかならないんですか!? 物を盗んだだけで殺されてしまうなんてかわいそうです」

「そうは言ってもねぇ……言葉が通じない以上、更生させることはできないし……」



 やっぱりこの警察の人もバルグと同じような考えのようだ。

 確かにその理屈は分かる。

 分かるんだけど……納得いかない。

 何か方法はないんだろうか?

 この状況を打破する方法が……そうだ!



「つまり、更生させることができれば、殺さなくても大丈夫なんですね?」

「ああ、そうだね。だけど、言葉が通じない以上、どうやって更生させるって言うんだい?」



 確かに言葉が通じないんだったら、分かり合うことすら厳しいだろう。

 でもさっきの女の子の反応からすると、もしかしたら僕なら……



「僕があの女の子を説得してみせます」

「説得っていってもどうやって? 君は人間の言葉を話せるというのかい?」

「恐らく通じると思います。先ほどの僕の言葉を聞いて、女の子はどうして人間の言葉を話せるのかと聞いてきた位ですから」

「先程の君の声といっても、普通に魔物の言葉にしか聞こえなかったんだけど?」



 やっぱりそうなのか。

 バルグが魔物の言葉に聞こえるらしいから、警察の人にも魔物の言葉に聞こえていることは予想できた。

 だとすると説明するのがすごい面倒だな。

 というよりも、僕自身もどうして女の子に言葉が通じたのかよく分かっていないから、説明のしようがないんだけど。


 

「確かにそうかもしれないです。でも、女の子に言葉が伝わったのは本当なんです!」

「そう言われてもなあ……」

「少し時間を下さい! 話す時間を頂ければ、もう少しあの子の事を説明できると思うんです!」

「……そうか、分かった。どのみちすぐには人間を殺したりはしないから、その前に君が会ってあげるといい。もし人間について何か分かったら私に話してくれると助かる」

「本当ですか!? ありがとうございます!」



 うまく説明はできなかったが、なんとか時間をもらうことはできた。

 せっかく掴んだチャンスだ。

 必ずものにしよう!



 警察の人と話しあった結果、手続きさえしっかりすればいつでも面会できるということだった。

 ただ、今日の所は色々と手続きがあって忙しいので、面会は早くても明日からになるらしい。

 別に時間がそこまで差し迫っている訳ではないので、少し位遅れたってかまわないので、快く了承した。

 それに今日はカレーを作る日であまり時間はとれないから、明日からの方がかえって都合がいいというのもある。


 あっ!?

 そういえばカレーを作ることをすっかり忘れてた!

 みんなお腹空かせて待っているというのに……

 急いで帰らないと!



『ちょっと待て! なんか忘れてないか!?』

『忘れているもの……あっ、ペトールをまだ買っていないんだった!』



 辛み成分の入ったペトールというものを探している途中だったね。

 急いで探さなければ。



『そういえば、さっき移動している途中にペトールらしきものを売っている店を見つけたぞ』

『本当!? どこにあるの?』

『あっちの方だ』



 バルグが念で案内してくれた方向に従って進むと、あっさりとペトールを売っている店にたどり着いた。

 人間騒動で走り去った道の途中にあったんだけど、よくバルグはあんな急いでいるときにペトールを見つけるよなぁ。

 まあ、そのおかげで買えたんだから感謝しないといけないんだけど。


 ペトールを買った僕は急いでエルンの家へと向かった。





「ごめん、遅くなっちゃった」



 エルンの家に入った僕はすぐに謝った。

 しかし、返事がない。

 やっぱり怒っているのかな?


 恐る恐る中の方へと入っていくと、そこには寝っ転がっているみんなの姿があった。



「み……みず……」



 えっ、今まで水さえ飲まずに待っていたっていうこと!?

 それ位は自分でやってほしいんだけどなぁ……


 人数分の水を机に置いてから僕は料理を開始する。

 まずは使う材料を並べてみたのだが、どれもカレーの材料とは思えなかった。

 何一つとして、現実世界にない食べ物だから仕方がないのかもしれないけど。

 本当にこれでカレーができるのか少し不安になる。

 いや、とにかく行動あるのみだ。

 やってみよう。


 材料が書かれた本には作り方も書いてあるので、その通りに作れば良さそうだ。

 実際、本に書かれた手順通り作っていくと、何やらいい匂いがしてくる。

 そして完成する頃には、見た目も匂いも完全にカレーになっていた。



『おお、これがカレーというものなのか!? 初めて見るぞ!』

『うん、見た目は完全にカレーだね。味は……うん、おいしい。完全にカレーだよ、これ!』



 こうして数か月ぶりに食べる懐かしい味にしばらく浸っていたのだが、寝っ転がっているみんなからの強い視線によって我にかえり、急いで食事の準備をした。

 作るまでに結構時間が経ってしまったから、みんなはかなりお腹が空いているんだろうなぁ。


 食事の準備が整って、僕達は席につきカレーを食べ始める。

 この世界に存在しない料理だというのに、みんな食べる食べる。

 よく抵抗なく食べれるなと思ったけど、それほどお腹が空いていたということなんだろうね、きっと。

 しかし、なんだかジルの様子がおかしい。



「どうしたの、ジル? 顔色が悪いよ?」

「か、辛いッスーーー!? み、水が欲しいッスーーー!?!?」



 どうやらジルはカレーを一気に飲み込んで、その後に辛さに苦しんでいる感じらしい。

 いくらお腹空いているからといって飲み込むのはさすがにないよなぁ。

 呆れながらも水を差しだすと、ジルは勢いよく水を飲みほした。


 それからは何のトラブルもなく、食事は終わった。

 結構カレーはみんなにとって好評だったみたいで、みんながおかわりをするのでカレーは全部なくなってしまった。

 気にいってくれたようで何よりだね。


 それからは適当に雑談したりして時間をつぶして一日を終えた。

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