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異世界で魔物生活  作者: はちみやなつき
第一章 異世界で魔物生活
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6.リザースの実力

 水も復活したし、食糧はリザードマンが取ってきてくれるので、僕はスライムの村でぐうたら生活をしていた。

 赤い宝玉集めは早くしなくていいのかと思われるかもしれないが、たまにはこういう小休止も必要である。

 まぁ、周りの目があるから本当の意味では休めてはいないのかもしれないけど。


 ぐうたら生活をしていても村長や他のスライム達が歓迎してくれているので居心地は最高だ。



 だが、たった3日でその平和は破られた。

 水が再び滴り落ちなくなったのだ。

 どうやら原因はまたもやリザードマンにあるということをリザードマンの使いの者が教えてくれた。

 教えてくれたのはもちろんスライム村周辺に待機している方のリザードマンである。


 岩を再び破壊するだけではまた嫌がらせをされると予想されるので根本的に解決するためにはリザードマンの村にいって話し合う必要があるかもしれない。


 一回、事情を知っているであろうリザードマン達と話してみることにした。



「今から岩の破壊とリザードマンの村への訪問をしようと思う」

「「「ではお供します!!!」」」

「それだと争いになりそうだからできるだけ少数で行きたいんだ。村への案内役が一人いてくれればいいよ」

「では私が」



 リザードマンのリーダーであるリザースがそう言った。

 ちなみに他のリザードマンもリザースに任せることに異論はないようだ。

 さすがはみんなを取り仕切るリーダーといった所だろうか。

 


「では僕とリザースの二人で岩の破壊とリザードマンの村への訪問をする。他の者はスライムの村が襲われないように引き続きこの場で待機するように!」

「「「了解であります!!!」」」



 うん。

 面倒だけど彼らの扱いはだいぶ慣れてきたと思う。

 バルグから人をまとめるがうまいと褒められたけど、正直彼らが忠実すぎて扱いやすいだけなんじゃないかと思っている。

 

 扱いやすいとはいえ、面倒な事には変わりないので、正直今でもリザードマン達に気づかれないようにふらっと一人旅でもしてどこかでゆっくりしたいと思っているんだけど。

 そんな夢を抱きつつ僕はリザースとともに湿地帯の方へ歩みを進めるのだった。





 ただ移動するだけではつまらないので、リザースから色々話を聞くことにした。

 まずしょうもなさそうなことから。



「リザース達ってリザードマンだよね? リザードマンってオスしかいないの?」



 なんかそのような設定を現実世界で聞いた気がしていて、気になったので聞いてみた。

 すると……



「いや、我々はランドリザードと言われていて男も女もいますよ? 私が率いる者どもは村から追い出された若い男の集団なので女はいませんが」


 なるほど。

 この世界はゲームの世界ではなく、今の僕にとっては現実世界でもあるのだ。

 ゲームと違うところがあっても不思議なことではない。

 まあ、色々と今までと違う所がありすぎて現実っていう感じがしないけど。


 話を変えて今度はもう少し真面目なことを聞くことにする。



「そっか、変なこと聞いてごめん。ちょっと話変わるんだけどさ、リザース達は他種族との交流を避けていたりしなかったの? スライム達によれば魔物は他種族と関わらないって聞いたけど?」


 そう、魔物は他種族間の仲が悪いことが多いと聞いていた。

 なのにリザース達はどうしていきなり敵対すべき他種族である僕を慕ってついて来ようとするのか気になっていた。

 いくら力を持っているからといって、それだけで慕うのはどうかと思うんだよね。

 するとリザースは



「確かに以前の我々はそうでした。しかし、師匠のあの素晴らしい戦いを見てから考え方が変わりました! あの伝説の一戦を見せつけられたら尊敬せざるを得ません!」


 伝説の一戦……リザードマン達との戦いのことだろうか?

 でも攻撃一切してないんだけど?

 相手が勝手に逃げていっただけだし。

 とても褒められるような事をしていないように思えるんだけどなぁ。


 するとリザースは続けてこう言った。



「誠に失礼ながら、コボルドは集団で弱者を倒していく、姑息な連中だと思っています。失礼ながら師匠を初めて見たときもそんなただのコボルドの一人と思っていたので、敵にやられた所をかっさらって食べてやろうと思ってました」



 かっさらって食べる?

 何て恐ろしいことを言うんだ、このトカゲは。

 弱肉強食の世界では当然の事なのかもしれないけどさ。


 リザースは言葉を続ける。



「ですが師匠はあの巨大な蛇と対峙した後、怒涛な攻撃の末、たった一人で倒してしまうんですから衝撃が走りましたよ! それを見てからは大急ぎで仲間に知らせて師匠についていこうと説得したものです!」



 どうやら蛇との戦いをリザースは見ていたらしい。

 あればバルグがやったことなんだけどなぁ。

 というか、この変な集まりもコイツが原因なのか!?

 おのれ、リザースめ……



「信じられないという愚かな仲間もいたのでその証拠として、師匠が村のリザードマンと一戦交えるであろう湿地帯で待機し、仲間全員で師匠が愚か者の心をくじく圧倒的な力を見ていたという訳です!」



 ランドリザードを倒した後にランドリザードが出てきたカラクリってそういう訳だったのか。

 こちらはてっきり岩を置いた奴らの仲間が襲ってきたのか思ってしまったが。


 そうこうしているうちに水をせき止めている岩がある場所に到着した。



「リザースはこの岩壊せるの?」

「ご命令とあらば、壊してみせましょう!」



 リザースは言うと、剣に水のようなものをまとわりつかせ……



「いきます! ウォーターソード!」



 リザースが剣を振りおろすと、水をまとった刃が巨大な岩を粉々に粉砕する!

 こうしてせきとめられていた川に再び水が流れ出した。


「すごい力だね……」

「いや、まだまだです! 少しでも師匠に近づけるように精進します!」



 今でも十分強いだろうに。

 リザースにとっての僕はなんか神格化でもされているんじゃないかと思えてきた。

 僕はただの人間、いやコボルドだっていうのにな。



「とにかく、これから先のことを考えよう。ランドリザードが何度も嫌がらせをする理由って分かる?」

「そうですね……きっとリ・ザーダ村の連中の仕業でしょう。あの村の連中は一番勢力があるからといって調子に乗ってるんですよ! 気に食わないから我々を挑発しているに違いありません!」



 村の名前を言ったということは、ランドリザードには複数の村があると考えられそうだ。

 他にどんな村があるか聞いてみよう。


「そうなんだ。ところで、ランドリザードには複数の村あって争っているってこと? 一番勢力があるのがリ・ザーダ村だとか言ってるけど?」

「そうです。リ・ザーダ村、リ・ザーラ村、リ・ザール村があります。かつては私の出身地であるリ・ザーラ村が一番勢力があったのですが、リ・ザーダ村を赤き槍を操るリーダーが統治するようになってから勢力関係は一変したのです……」

「となると、リ・ザーダ村のリーダーを説得しないといけないってことだよね?」

「確かにそういうことになるのですが、相手は師匠でも手を焼くような強敵だと考えています。気性が荒いとも聞きますから、戦いはまず避けられないでしょうし」



 うわぁ、戦いが避けられない、か。

 岩で川を平気でせきとめるような奴らだからそうなるだろうとは思ってはいたけど。



「そんな強敵を相手に事前情報なしで挑むのは厳しいかもね。そいつと戦う前に他の村から情報を収集できないかな?」

「確かにそうした方が良さそうですね。村のリザードマンは他種族不信なので師匠に対して敵対心を持っているでしょう。ですから情報収集を兼ねて味方を増やして、敵に囲まれるような状況は避けたいです」

「そうだね。それじゃあリ・ザーダ村と接触しない為にリ・ザーダ村から最も遠い村から行こうか」

「いいですね。それでは私の故郷であるリ・ザーラ村から行くといいでしょう。私は故郷を追い出された身なので肩身が狭いですが、師匠と一緒ならば問題ありません!」



 そんなに信頼されても困るんだけど……

 とにかくリ・ザーラ村に向かうことにしよう。

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