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異世界で魔物生活  作者: はちみやなつき
第三章 魔の手からの解放
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45.幻覚対策

 僕が相手をするランドリザードは五人。

 分が悪いけど、地竜の洞窟付近で戦ったときよりも数は少なくて楽そうだ。 



炎熱牢獄ブレイズプリズン!」



 いつもの広範囲の炎属性攻撃をランドリザードに放ってみる。

 すると、ランドリザード達の動きが止まり、ダメージを与えているようだ。

 前使ったときよりも何故か効いているみたいだ。



『きっとレンが成長したからだろうな』



 成長か……

 全然実感は湧かないのだが、もしかしたらそういうことがあるのかもしれない。


 炎熱牢獄によって動きを封じたランドリザードの腕輪を僕は難なく破壊した。

 腕輪を破壊されたランドリザード達は、それでも戦意を失うことがなかった。

 村を襲撃されているのだから、戦いをやめる訳にはいかないのだろう。

 僕の目的は村を襲うことではなく、フィナを救うことだ。

 フィナさえ助けられれば、村を襲う必要はない。

 少し話し合いをしてみよう。



「ねえ、ちょっと話があるんだけど、いいかな?」

「敵のいう事なんか聞けるか!」



 ランドリザードは問答無用という感じで、僕に襲い掛かってくる。


 僕はランドリザードの攻撃をあえてかわさずに受け止める。

 悪魔の力のないランドリザードの攻撃程度では、僕の体を傷つけることもできないから避ける必要もないのだ。



「攻撃を避けずに受け止める……これはまるであの方のようだ……でもあの方はコーボネルドに……」



 攻撃をしたランドリザードは困惑しているようだった。

 他の四人のランドリザードも同様に戸惑っていて、その場に立ち尽くしていた。

 今なら話を聞いてくれそうかな?



「僕達は本当は村を襲いたくなんかないんだ。一人の妖精を探しているだけなんだ」

「妖精……もしかして、リザース様が連れてこられたあの妖精のことでは?」

「知っているの? だったら、その妖精がいる所まで案内してほしいんだ。そうしたらこんな戦いなんてする必要はなくなる」



 ランドリザード達は何やら話し合っているようだ。



「どうして妖精がいる所まで連れて行かないといけないんですか?」

「それはね、その妖精はフィナっていう僕達の仲間だからだよ」

「あなた達の? でもフィナさんはリザース様と行動を共にされていたはず」

「うん、それはよく知っているよ。だって僕もコボルドとして、一緒にフィナやリザースと旅したからね」



 僕の言葉を聞いたランドリザード達がどよめき始めた。

 まあ無理もないだろう。

 僕が元コボルドのレンだったなんて言われても信じられないと思う。

 だって、そのコボルドの体を持つブローダンが実際にいるのだから。


 しばらくすると、一人のランドリザードが話しかけてきた。



「ちょっと詳しい話を聞かせてもらいたいので、もっと落ち着ける場所にご案内します」



 僕はランドリザード達についていくことにした。

 ちなみに、ジル、エルン、エナもランドリザード達に勝ち、腕輪を破壊したみたいで、そのランドリザードも一緒に案内してくれることになった。


 ランドリザードの案内で一つの建物に僕達は入って行った。

 中は比較的広く、僕達と二十人ほどのランドリザードが全員入ってもまだ空間に余裕がある。

 椅子に僕達が腰かけてゆっくりとしていると、ランドリザードが口を開く。



「あなたはリザース様と共に旅をされたコボルド、レン様だというのですか?」

「うん、そうだよ。訳あって、竜人族に転生しちゃったんだけどね」

「正直、信じられません。だってレン様は今のブローダン様だとばかり思っていたので……」

「確かに無理もないよね。だって、僕の精神が体から抜けちゃって、その体には悪魔が憑依しているなんて誰も分からないよ」

「悪魔が憑依ですって!? だからあの方の力にはこんな禍々しいものがあったのか……」



 悪魔という言葉を聞いた瞬間、多くのランドリザードが納得をしたような表情になっていた。

 ランドリザードの中に、ブローダンの行動に疑問を感じる者も多かったのかもしれない。


 

「実はブローダン様の侵攻の方針に私達は疑問を持っていたのです」

「疑問というと?」

「はい。わざわざ大陸の東側まで行って、支配下におく必要性を感じられないのです。ちょっとやり過ぎではないかと思っていたのです」

「それに、腕輪を使って思考が縛られるなど、その戦闘方法にもちょっと納得いかない所もありました」

「そもそも腕輪をつけたくないと拒絶している者にさえ、強制的につけさせるなんてこともあって、理不尽さを感じていました」



 どうやらランドリザードにはブローダンに対する不満がたまっていたようだった。

 これだけ力に任せた、人権を無視するような方法をやっていては無理もないと思う。


 

「僕達はフィナをブローダンの魔の手から救いたいんだ。だから協力してほしい」

「……分かりました。リザース様はリ・ザール村にいます。ですが、その前にこの村にいるリーザー様を説得していただきたい」



 リザースはこの村にはいなかったのか。

 まあ、でも話が聞けたから、そのことは別にどうでもいい。

 それよりもリーザーの説得か。

 確かにここにいる正気を取り戻したランドリザードを放置してしまうと、村での居場所がなくなってしまいそうだ。

 それに、村のリーダーであるリーザーをこちら側につけておくことは、大陸の西側で活動する拠点となる村を得ることにもなると思うので、大事だろう。

 ここはランドリザードの願いを聞き入れた方が良さそうだ。



「うん、いいよ。リーザーの所に案内をお願いできる?」

「ありがとうございます! リーザー様はこの村の奥の方で戦闘体勢をとっています。戦うことになると思いますが、どうかご武運を!」



 こうして僕達はリーザーの所まで行くことにした。




  

「あの辺りにリーザー様達はいます」



 案内役のランドリザードが指差した所を見ても誰もいないように見える。

 多分幻覚を使われているんだろう。

 これじゃ攻撃を当てることが困難である。



「君達にはリーザーの姿は見えるの?」

「はい。どうやら同族の間では見えるらしいです」



 同族の間か……

 今の仲間にはランドリザードがいないので、相手の姿が見える人がいないっていうことになる。

 どうしようかな……



『レン、ホージルの言葉を思い出すんだ』

『目に映るものだけが真実とは限らない――っていうことだよね?』

『ああ、そうだ。目に見えなくても、相手を認識する方法があるんじゃないか?』



 目に見えなくても相手を認識する方法か。

 確かに人の感覚には視覚だけでなく、嗅覚、味覚、聴覚、触覚もある。

 それらを使えば、確かになんとかなるかも……

 まあ、視覚以外の感覚も狂わされていたらどうしようもないんだけど、試してみる価値はありそうだ。

 ただ、敵味方の判別がつかなくなるので、仲間にはこの場で待機してもらうことにした。


 案内役のランドリザードが去っていくのを見送った後、僕は戦う態勢へと移行する。



炎熱牢獄ブレイズプリズン!」



 僕はランドリザード相手に先制攻撃を仕掛けた。

 そして僕は目をつぶって、ランドリザードの位置を探る。

 すると、ほのかに熱の反応が強い箇所がある。

 多分そこにランドリザードがいるのだろう。

 目をつぶり、熱の反応を頼りに攻撃を仕掛ける。



炎熱槍ヒートスピア!」



 僕の攻撃がランドリザードに当たったようで、熱の反応が地面に倒れるような感じがした。

 その後も攻撃を続けることで、多くのランドリザードは倒れていくようだった。


 しかし、急に背後から熱の反応が迫ってくる。

 僕はとっさに横に移動すると、先程まで僕がいた所から冷たい反応が感じられた。

 おそらくランドリザードが僕に攻撃を仕掛けてきたんだろう。


 その後も、そのランドリザードが僕を攻撃してくるようだ。

 炎熱牢獄の影響を受けているはずなのに、軽やかな身のこなし。

 こちらが反撃しようとしても、あっさりとかわされてしまい、ダメージを相手に与えられない。


 相手は恐らくリーザー。

 あらゆる攻撃を受け流したりかわしたりすることで防御面で優れているようだ。

 かなり厄介な相手だ。



『バルグ、そろそろ天竜化を使った方がいいかな?』

『そうだな。炎熱牢獄の効果が切れて、こちらが不利になる前に決着をつけないとな』



 僕はリーザーの攻撃をなんとか避け続け、一方でバルグとの繋がりを意識する。

 すると、体が徐々に変化していく。

 変化している最中でも動くことができるようで、変身中でもリーザーの攻撃を避け続けることができた。

 かなり動きにくかったけど。


 そして、ついに天竜化を完全に成し遂げる。

 すると、体から力があふれてきて、天竜の体から強烈なオーラが放たれた。

 オーラが周囲に放たれると、周囲の光景が変化し、今まで見えなかったランドリザード達の姿が現れた。

 もしかすると、幻覚に打ち勝つほどの力を放てば、幻覚を無力化できるのかもしれないな。


 僕を襲っていたランドリザード、リーザーの姿もはっきりと見えるようになった。

 姿さえ見えれば、あとは腕輪を狙って弱体化をさせるのみ。



獄炎ヘルフレイム!」



 リーザーの足元に地獄の炎が現れる。

 すると、炎がリーザーを容赦なく焼き付くし、リーザーの腕輪はあっさりと焼失した。

 

 まずい、このままだとリーザーが死んでしまう!?

 予想外の火力に驚きつつ、あわてて僕は水属性の魔法を使う。


 すると今度は滝のような猛烈な勢いの水がリーザーにふりかかる。

 火が消えたのはいいが、リーザーはずぶ濡れのボロボロな状態になってしまった……



「あ……あなた、ずいぶんとやってくれますね……」



 リーザーがかなり怒っているみたいだ……

 でもだからといって、手加減して勝てる相手じゃなさそうだったから仕方ないんだよ!

 

 リーザーは怒っているが、何故か攻撃を仕掛けてくる様子はない。



「攻撃はしないの?」

「さすがにこれほどまでの実力差を見抜けない程、私は愚かではないので」



 リーザーは不満そうにそう言った。


 リーザーが敗れたからか、他のランドリザード達も襲ってくる様子はない。

 どうやらリ・ザーラ村での戦いは終わりを迎えたようだった。




 リーザーの家に僕達含め、リ・ザーラ村の全員が集まった。

 ちなみに天竜サイズだと家の中に入れないので、竜人に戻ってから中に入ることにした。

 僕はそこで改めて自分の事について説明をした。



「やっぱりレンさんでしたか。こんな圧倒的な力を見た時点でそうじゃないかと薄々思ってはいましたよ」

「全然姿が違うけど信じてくれるの?」

「そうですね……ブローダンが全然レンさんと違う性格だということや、今のレンさんの圧倒的な力を見れば、私にはあなたがレンさんだと心から信じられます」

 


 リーザーの表情を見ると、そこに疑問を持つ余地はないというような感じだった。

 恐らく、本当に僕のいう事を信じてくれたのだろう。

 ということは、リーザーに協力を打診することができるかもしれない。



「リーザー、これからリザースに連れ去られたフィナを助けたいんだ」

「そう仰ると思いました。ですが、そうなるとリザースと戦うことは避けられないでしょうね」



 確かにフィナをさらったのがリザースである以上そうなりそうだ。

 今のリザースと戦う上で問題なのが、あの幻覚である。

 天竜化によって幻覚を打ち破れるのならば、さほど問題にはならないが……



「リザースが起こす幻覚も、リーザーとの戦いのように天竜化で打ち破れるかな?」

「それは私にも分かりませんが、その可能性は大いにあります。今のレンさんならリザースに勝てるでしょう」



 リーザーのお墨付きも得た。

 確かに幻覚が問題にならないのであれば、後は力勝負。

 バルグの力が使える僕の方が優勢なはずだ。

 後はリザースの所へ向かうだけ。



「あまりもたもたしていられない。早くリ・ザール村に向かおう」

「そうですか、それでは私達は他のランドリザードがレンさんの戦いに邪魔が入らないようにサポートしておきます」



 リーザーが僕達に協力してくれるようだ。

 実にありがたい話である。

 早速僕達はリ・ザール村へと向かった。







 僕達はリ・ザール村があるらしい所まで来た。

 しかし、全く村らしきものは見えない。



「リーザー、この辺りに村があるんだよね? 全然それらしきものが見えないんだけど?」

「目の前にあるじゃないですか! もしかしてそれって……」



 そう、多分幻覚だろう。

 村そのものを幻覚で覆いつくしているということか……

 なんていう力だ。



『ここで天竜化して可視化するしかないだろうな』

『でも天竜化って、時間制限とかあるんじゃないの? 力が変わるくらいだし』

『いや、そんなことはないぞ。天竜の体はある意味俺達の体の形態を変えただけのものだからな』



 体の形態を変えただけ?

 その割には、かなり力の差があるみたいなんだけど……

 まあ、気にしても仕方ないか。

 とにかく、変身することに問題がないなら、ためらう必要もないだろう。


 僕は天竜化を行った。

 するとリ・ザール村を覆う幻覚がなくなり、村が見えるようになった。

 見えるようになった村の中に僕達は突き進んでいく。



 リ・ザール村の中は、ランドリザード達が陣形を組んで待ち構えていた。

 もし幻覚の影響を受けていたら、為す術もなく一方的にやられていただろう。

 だが、今は幻覚の影響は受けていない。

 十分に対抗できる。



獄炎ヘルフレイム!」



 僕はだいぶ控えめに呪文を放った。

 それでも天竜化した僕が放った攻撃はランドリザードの腕輪を破壊する分には十分であり、相手の戦力をだいぶそぎ落とせた。

 


大地槍グランドスピア!」

氷吹雪アイスブリザード!」



 ジルとエナの攻撃によって、残ったランドリザードの腕輪も破壊され、戦闘を終えた。


 こうして敵のランドリザード達をほぼ倒し切ったのはいいのだが、肝心のリザースとフィナがいない。

 戦意喪失したランドリザードにリザースの居場所を聞くと、どうやらリザースはリ・ザール村の地下空間にいるのだという。

 でも地下空間なんて一体何の為にあるんだろうか?



「地下空間は、リ・ザール村の住民が食糧を保存する為に作られたと聞いています」



 食糧を保存するためか……

 確かに温度、湿度が安定しやすい地下の方が食糧の保存に向いているのかもしれない。

 リ・ザーラ村とかにも、気づかなかっただけで地下空間はあったのかもしれないな。


 地下空間について分かったのはいいのだが、問題は地下空間がどれ位広いのかについてである。

 今の天竜の体は約10mほどあるので、地下空間に入れない可能性が高い。

 でも天竜化を解いてしまうと幻覚を打ち消すことができないので、一方的にやられてしまう可能性が高い。

 一体どうしたらいいんだろうか……



「レンレ~ン、もしかして幻覚を打ち消す方法がなくて迷っていたりする~?」

「えっ、よくわかったね、エルン」

「やっぱりそうだよね~実はボクに考えがあるんだけど協力してくれる~?」



 エルンの話を聞いたところ、天竜化した僕の鱗の一部を取って研究材料にすることで、天竜化した僕の力を再現できるようになるかもしれないとのことだった。

 そして、僕が天竜化を解いても、エルンが作ったものを使って、幻覚に立ち向かえるようにできるかもしれないらしい。

 確かにエルンの言う通りになる可能性がある。

 策がない今、エルンの提案を受け入れるしかなかった。


 僕の鱗を取ったエルンが五分位、何かの装置で研究をすると、



「できたよ~これで多分幻覚に打ち勝てると思うよ~」



 エルンが作成したのは腕輪だったようだ。

 僕は天竜化を解除した後、腕輪を早速はめてみると、確かにその腕輪から大きなエネルギーを感じる。 

 これなら、リザースに対抗できるかもしれない。


 腕輪は人数分作っていたみたいだったので、仲間達も腕輪を装着。

 その後、僕達はリザースのいる地下空間へと向かった。

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