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VS.年下他校生

 あの場を抜け出して、俺は今学校へと向かう道を歩いている。それにしてもかけるのヤツなんであんなとこに居たんだろ?登校するには大分早い時間なのにな。

 てかまじ怖かったし。なんだあれ?俺相手に盛るとか有り得ねぇ。…いや、この姿の俺なら有りか。何たって翔の大好きなみやびの顔だからなぁ。なんか知らんがスタイルもいいし。もしかしたらこの先もっと大変な目に遭うかもしれん。どうすっべ~。



 そんなことを考えながら歩いていると十字路の横から何かがぶつかってきた。そのままバランスを崩して尻餅をついた。いって~。なんとなくデジャヴを感じる…。俺はぶつかってきた何かを睨みつけた。

 そこにいたのは可愛らしい顔立ちをした小柄な少年で、ボーっと突っ立ったままこっちを見ていた。ってかこいつは二重人格のヤンデレ野郎じゃねぇえか!ひぃぃぃぃ!

 俺がその姿勢のまま思わず後ずさると、少年…たしかあずまくんだったか?…ははっとした様子であらぬ方向に視線をそらした。顔が真っ赤に染まっている。


「ま、また会いましたね!一総かずささん。あの…その…スカートが、その…。」


 ん?スカート?視線を下げるとスカートがめくれあがってパンツが丸出しになっていた。うわわわわ!慌ててスカートをおろし、再び睨む。顔が熱くなるのを感じる。こいつ見やがった。


「…か、かわっ…」


 ますます顔を真っ赤に染めてなんかぼそぼそ呟いてるみたいだけどよく聞こえない。


「おい…。」


 俺が声を掛けると慌てた様子で手を差し出してきた。そう、前にぶつかった時はお互いに尻餅をついたのに今回は俺だけが一方的に吹っ飛ばされたのだ。


「す、すみません。一総さん。怪我は無いですか?」


 せっかくなので手を借りて立ち上がると、お尻についた砂埃を叩き落とし、ついでに怪我の有無を確認する。お尻に鈍い痛みはあるがこれといって目立つ怪我はなさそうだ。大丈夫そうだと伝えるとあきらかにホッとした様子を見せる少年。


「前もここでぶつかりましたよね。本当にすみません。」


「いや、気にしなくていいから。」


 顔の前で手を左右に振りながらそう答えると、その手をとられて目を覗き込まれる。


「そんなわけにはいきません。もし傷が残ったりしたら言ってください。僕責任取りますから。いや、怪我とか関係ありません。一総さんの面倒は僕が一生みます。」


 え゛!?一生?重っ!


「い、いや。そんなに責任感じてもらわなくても。俺ピンピンしてるし。擦り傷すらないんだから。」


「遠慮しないでください。一総さんになら僕、一生を捧げても苦になりません。むしろ捧げさせてください!」


 ヒクわぁ~。ドンビキだわ。高校生の段階でこんなこと言われても…。


「ホントに大丈夫だから。気にしないで。」


「そうですか?じゃあ今度お詫びに何かご馳走させてください。僕の家で何かご馳走しますよ。こう見えて僕、料理得意なんです。」


 にっこりとそれはもう可愛らしく微笑む東くん。ぞくっと背筋に走る悪寒に嫌な予感がする。これ絶対のっちゃいけない誘いだ。


「じゃあ今度何か菓子でも作ってきてくれよ。さすがに家までお邪魔するのは悪いから。」


 とたんにしょんぼりとうなだれる東くん。


「そうですか?遠慮なんてしなくていいのに…。」


 …子犬をいじめてる気分。罪悪感ハンパねぇ。


「その気持ちだけで十分だから。おっと部活に遅れる。俺はもう行くから。」


「あ、はい。それじゃあ今度お菓子を作ってお宅に伺いますね。楽しみにしててください。またメールしますから。」


 そう言って俺の手を一度ぎゅっと強く握ると名残惜しそうに手を離した。


「気をつけてくださいね。きちんと周りを見ないと駄目ですよ?」


「お、おう。じゃあな。」


「はい。また。」


 手を振って別れを告げると俺は学校の方に歩き出す。チラと後ろを振り向くとそこにはまだ東くんがいてニコニコと手を振ってくる。

 …俺は取り返しのつかない約束をしてしまったんじゃ…。いや、大丈夫家に上げなきゃいいんだ。うん。自分に言い聞かせながら俺は学校への道のりを急いだ。



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