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その翌日

だいぶ間が空きました。申し訳ありません。

――ごっめ~ん。がんばって強く生きてね。


 ――テヘペロじゃねぇよ!なんなの?いったい何してくれたわけ?


 ――えへっ


 ――……まぁ、そっちこそ強く生きてくれ。


 ――えっ?なんで?なんで目をそらすの?ちょっと?ちょっとーー!!




 夢の中で誰かとそんな会話を交わした気がした。





 朝。目を覚ますとそこはいつもの俺の部屋だった。

 …戻った?

 慌てて胸に手をやる。無い!Tシャツをめくりあげて確認する。そこに現れたのは割れた腹筋と鍛えられた硬い胸筋だ。更にズボンの中のブツも確認。有る!その事実に俺はほ~っと息を吐き布団の上に突っ伏した。

 夢…だったのか?よかった。マジでよかった。あんなの俺には耐えられねぇ。それにしてもやけにリアルな夢だったな。痛みとか触られた感触とかまだ残ってる気がする。思い出したらまた寒気が…。


「おにい?何してんの?」


 声の方を向くと扉の隙間から呆れ顔のみやびが顔を出していた。つやつやのストレートロングの髪に少し猫目の整った顔。ちまい身体は女の子のそれだ。俺は布団を抜け出すと雅を思いっきり抱きしめた。俺の腕の中にすっぽりはまるこのサイズ!いつもの雅だ!よかった!よかったよ~!


「ちょっと!?どうしたの?く、苦しい!昨日からなんか変だよ?大丈夫?」


 ん?昨日?昨日は特に何事もなく普通に布団に入ったはずだ。


「なに言ってんの?朝っぱらから自分のパンツの中覗いてギャーギャー叫んでたじゃん。仕草も何かなよっとしてたし、話し方も女の子みたいだったなぁ。学校から帰ってきたら妙に脅えてた…ってこれは昨日に限らずか。」


 はい?そんな事してないけど。俺はもしやと思い携帯を見る。


 なんだ…これ?一日経ってる!?

 夢だけど!夢じゃなかった~♪某国民的アニメ映画の姉妹が俺の頭の中で踊り狂う。


「そんなことより早く支度しなよ。朝練、遅刻するよ?」


 雅に言われて時間を確認すると確かにもうギリギリの時間だ。とりあえず考えるのは後。消えた一日は気になるが今は朝練に遅刻しないことが重要だ。遅刻なんてしたら主将キャプテンに何されることか。背筋にぞくっとしたものを感じ俺は大急ぎで支度を始めた。

 











 学校に行くと待っていたのは主将による制裁だった。せっかく遅刻することなくついたのにこれいかに。

 空白の一日の間に俺が何かやらかしたらしい。俺じゃありません!と声を大にして言ってみたところで聞き入れられるはずもなく。俺は敢え無くどつき回されたのだった。えっ?昨日は特に何とも思わなかった?今日俺の顔を見たら妙に腹が立ってきたって?なにそれ理不尽。練習メニュー2倍とかマジ勘弁してくれ。



 朝練を終えて教室に行くと何故か若干引き気味なかけるに迎えられた。不思議に思いながら挨拶をするとあからさまにほっとした顔をされる。なんだよ。感じ悪いな。


「今日は通常モードなんだな。」


 通常も何もいつもこうだけど…


「なんのことだ?」


「なんのこと…だと?昨日俺にどれだけのトラウマを植えつけたと思ってんだ!」


「はぁ?何言ってんだよ。」


「本気で言ってるのか?ドジやらかす度に俺を巻き込んどいてとぼけんじゃねぇ!お姐キャラとかキモイんだよ!雅に嫌われたらお前のせいだかんな!」


 いや、もう嫌われてっし。という突っ込みは俺の心のうちにそっと仕舞われた。だって追い討ちかけるのもかわいそうだし。

 まぁ、それは置いといて、とりあえず事情を聞いてみる。

 翔によるときっかけはただ転びそうになった俺を支えようとしたことだったらしい。それくらいなら問題なかった。事件は翔が俺を支えきれずに二人一緒に倒れこんだ事で起きた。翔が俺に覆いかぶさるように倒れ、傍目には翔が俺を押し倒しているような体勢になってしまったのだ。

 そこを運悪く雅に見つかったらしい。ホントに間が悪い。それを見た雅はすごい剣幕で翔を怒鳴りつけると俺を引っ張って帰って行ったとの事。

 問題はその内容だ。お兄に何やってんだに始まり、学校で襲うなんてだの、俺をそっちの道に引き込むなだの…雅、お前は俺たちを一体どんな目で見てるんだ…妹にあらぬ誤解を受けてお兄ちゃんの心はバキバキにへし折れそうです。



 放課後、いつもの倍の練習量にヘロヘロになりながら校門を出る。

 昨日の俺め~!よりによって会長と雅の仲を取り持つようなことをしやがって!昼間妙になれなれしく俺に接触してきた会長のことを思い出してイライラする。

 悶々としながら家路を急いでいると怪しい人影が視界の隅に見切れた。後ろからひしひしと黒い圧力を掛けられているのを感じる。

 恐る恐る振り返るとそこには呪の文字を背負い、目に殺気を宿らせたあずま少年の姿があった。思わず身体がビクッと跳ねる。何?恐いんだけど昨日何かあったの?

 東少年は俺と目が合うとにやぁ~と口角を吊り上げた。あ~あ美少年が台無し…。ってそんな場合じゃねぇ。よく見ると手にはなにやら鈍く銀色に光る物体が。あれはもしかしなくても刃物でしょうか?

 それを認めた瞬間、俺は疲れた身体に鞭打って全速力で駆け抜けた。たとえ疲れていてもあきらかにインドアっぽい少年に追いつかれるほどやわじゃねぇ!

 とりあえず。お~ま~わ~りさ~ん!こっちです~!




 …真打登場でしょうか?やっと逃げ切ったと思ったのにこの仕打ち。目の前には魔王・一馬かずまの姿が。一馬さんは俺の姿を認めるとフワッと笑った。キモっ!それを見てふいに昨日の手の感触が蘇り鳥肌が立つ。もうトラウマよ?マジでやめてくれよ。


「お帰り。ソウ。昨日お願いしたことはきちんとやってくれたかな?やっとソウが素直になってくれて良かった。」


 そう言って差し出される右手。何?これ。俺は首を傾げつつその右手に自分の右手を重ねた。


「…そうじゃなくて。例のものは?」


 ナンデスカソレ?初めは機嫌がよさそうだったのにだんだん雲行きが怪しくなってきたぞ?

 

「まさか何もやってないなんて言わないよね?」


 黒い何かを背負った一馬さんが迫ってくる。やめて!知らないから!俺知らないから!だれかっ!雅!助けて~!





 



 やっと家に着いた……。ボロ雑巾のようになってやっとこさ家にたどり着いた…。もう一人の俺(かずさ)のやつ~余計なことをいろいろと!マジ疲れた。

 でもまぁ。俺もいろいろ余計なことをやらかした自覚はあるし…お相子って事で。強く生きてくれよ一総かずさ

 

 心の中で合掌をして玄関に入る。雅と母さんの明るい出迎えの声が聞こえた。俺はホッと息をついてダイニングに向かうのだった。


ヒロインな兄設定いかがでしたでしょうか?最後の最後でだいぶお待たせしてすみませんでした。さらっと終わるつもりがなかなか話がまとまらなくて…。今後の予定はすみませんたってません。ヒロインな姉、一総のその後も面白そうかなとは思うのですがなかなかまとまりそうに無いという…。また機会がありましたらよろしくお願いいたします。


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