変態猫
かなり大人表現あります。
しかし…なんて広い屋敷なんだろう。
私は一階の部屋を見ただけで疲れる。都内にこんな馬鹿デカイ屋敷をもつ獣人って…
多分、私なんかじゃ理解出来ない位お金持ちなんだろうな。
私は二階を見るのを諦めて、気持ち良さそうな庭に出てみた。
庭っていっても森林公園のような広さ。池まである。
庭に置かれたベンチに横たわり、気持ち良い空と澄んだ空気を楽しんだ。
「ここって…サイコー!!」
私はすっかり庭が気に入った。
「……はっ!!」
あまりの心地よさに爆睡してしまった私。いつの間にか空は薄暗い。
私は寝室に戻る事にした。
ブルルル…携帯のバイブが鳴る。音量って無くしたんだっけ…
私はポケットから携帯を取り出し、電話口に出る。
「はい。」
「早く来い。ブッ…ツーツー。」
一言で切れる電話。ルーの声。相変わらず口数が…
「来いって…何処に行けばいいのよ…。」
ルーは来いしか言ってなかったので、私は何処に行けばいいか分からなかった。
取り合えずルーのお昼寝部屋に行ってみた。…居ない。
なら寝室?…ここにも居ないじゃない。もう!何処よ馬鹿猫!!
私は仕方なくロウに電話した。
「あの、ルーから来いって電話があって…でも、何処に行けばいいのか…」
「ルー様は食堂でお待ちです。」
「あぅ、すみません。」
私は携帯を切った。言われてみれば夕飯時。初めから食堂に行けば良かった!
私は小走りで食堂に向かった。
「遅い。」
不機嫌そうなルーの声…怖っ。
私はちゃんと場所を指定しろ!って言ってやりたかったけど、
行った所で無駄そうなので止めた。一言謝って食卓に着く。
ルーは食事中も一言も口を利かなかった。そんなに怒ってるの?
「ねぇ…ルー?」
「……。」
話しかけても無視。ちょっと冷たく無い?
私は胸が締め付けられる…なんだか涙目になってきた。
「あの…はじめ様…王は心配なされてたのです。」
ロウが助け舟を出す。
「えっ?」
「王が起きられた時、側にはじめ様が居られなかったので…」
ロウは説明して、直ぐに後ろに下がった。
「チッ。」
ルーは顔を赤くしながら舌打ちを打つ。あっズバリ言い当てられた感じ?
「ロウ…覚えとけよ。」
ルーは真っ赤な顔で食事を続けた。ロウはクスクス笑っている。
食事が済み、私はルーの「行くぞ。」の発言に従い、お風呂に向かった。
ルーって毎回一緒にお風呂に入るつもりかしら…ちょっと勘弁してもらいたい。
お湯はヌルいし、何人も見てるし…
浴室に入るなり、昨日の様に服を脱がされるルー。
そして当たり前の様に体をメイドに洗わせる。ちょっとヤキモチ。ってか結構ヤキモチ。
その場では何も言わなかったけど、何時か止めさせよう。
私が考えていると、メイドさん達が私の服を脱がせに遣って来た。
私の服に手が掛る…ちょっと!
「スっストップ!!」
私の声にメイドさん達は手を止め、顔を見合わせている。
「あの…自分で脱げますから。」
私は服を脱ぎ始める…嫌だけどさ。
「あっあの…王妃様のお手を煩わせるなんて…。」
メイドさんの一人が焦っている。ルーに伺いを立てるように顔を見る。
「……よい。」
ルーの一言にメイドさん達は後ろに下がった。
私は体を手で隠しながら浴槽に入った。
「来い。」
ルーは端っ子に座る私に声を掛ける。
オズオズと近づく。
ルーは何をするでもなく、そのまま湯に浸かっている。気まずい。
「あの…ルー?」
「何だ。」
「あのさ、せめて二人で入れない?お風呂。」
「…なぜだ?」
「だって…恥ずかしい。」
「……ぷっ変な女だ。」
ルーはメイドさん達に視線を向け、顎先でドアを指す。メイドさん達は出て行った。
「……あの…ルー?」
「まだ何かあるのか?」
「あの…ロウは?」
私は浴槽の淵に立っているロウの視線を向ける。
「……ロウは駄目だ。」
「えっでも…。」
女の人より、若く美しいロウにま見られる方が恥ずかしいんですが…
私はロウの顔を見る。
申し訳なさそうにロウは目を下に向ける。
「ねぇ…私、ロウに見られるのが恥ずかしいんですけど…仮にも私は妻だし、
ルーは自分の妻の裸が若い男の人に見られても平気なの?」
「……ロウは別だ。」
一言で黙らされる。そうですか…何を言っても無駄だな。
私は諦めて、首まで湯に浸かった。あーぁ…熱いお湯に入りたい…ブクブク…
「……ロウ。」
ルーが冷たくロウを呼ぶ。
「はいっ。」
ロウは緊張してルーに近づき、淵に跪く。
「お前…なんで妃をはじめ様と呼ぶ?」
ルーが冷たく低い声で話す。
「あの…はじめ様のご要望で…身分も顧みず申し訳ありません。」
ロウは頭を下げ続ける。そんなにマズかった?
「……分かった。」
ルーは冷たく言うと、いきなり私の髪の毛を掴んで、自分の方へ引き寄せる。
「あっ!んっんん!!。」
ルーは力一杯私の口を吸い始めた。
あまりに強い吸引で、私の身体は一気に熱を帯びる。
「んっふぅっ……はぁはぁ…。」
私はようやくルーから解放されて思いっきり呼吸をする。
そしてまたルーは私の口の中を吸い始めた。怒りをぶつける様に…
「んん!!!ふっん…。」
息が苦しい…逃げたいけど、ルーは私の髪を掴んでいるから動けない…
私は足をモジモジさせて…すると、ルーは空いている方の手で私の身体を触り始めた。
「ふぐっ!!んあぁ…。」
いきなり触られて…お湯の中なのに感じてるのが分かる。
ルーは私を浴槽に座らせる…ちょっロウに丸見えじゃない!
私は逃げようにもルーが抑える力が強くて…両手で顔を隠した。
ルーは一向に私を責めるのをやめてくれない。
そればかりか…私をロウの方へ向かせる…全部が丸見え…
ロウは思わず顔を背ける。私も恥ずかしさのあまり顔を手で覆う。
「ロウ…顔を上げろ…。」
ルーは命令を下す。
「……はっはい…。」
ロウは震えながら前を向く。ロウの視界に私の全部が…
「許す。堪能してみろ。」
「でっでも…。」
ロウは躊躇う…そんなロウにルーはもう一度命令を出す。
「王が許したのだ。」
「……はいっ。」
ロウは私の身体に顔を近づけ…ぺロッっと舐めた。
「ひゃんっ!!!」
私は全身をビクンッと跳ねさせる。
「……すっすみません…」
そのすみませんの意味…それは我慢できませんって意味。
ロウは思いのままに私を堪能した…
もう…我慢出来ない…
「いやぁぁぁ!!!!」
私は悲鳴を上げて弾けた…
同じ時、ロウは私の一番濃い蜜を飲み込んだ…
私は力無くルーの胸に体重を掛ける。変態猫共の所為で力なんか入らない。
濃い液を飲んだロウは全身を痙攣させて倒れ込んでいる。
私はトロンとした視界の中に、失神しているロウを見つける。
「はぁはぁ…あれ、なっ何でロウは倒れてるの?」
「……お前を味わって倒れずに抱けるのは、俺位だ。」
まっまさか…ロウが呼ぶ、はじめ様って言い方に嫉妬してたの?うっそ…
もしかして、私は馬鹿猫の見当違いの嫉妬の為に…こんな痴態を晒したの?信じらんない!!
この馬鹿猫!!変態猫!!化け猫ーーーー!!!
ルーは倒れたロウを満足そうな顔で見下ろし、とっとと風呂を出ていく。
なんか…ここまで我儘だと思わなかった…この先、やって行けるかしら…
お風呂から上がった私は寝室へ帰った。
こんな調子で一生過ごすのか…耐えられるかな?
長い廊下を歩き、漸く寝室へ着く。
寝室の扉を開けると、ルーが私を待っていた。
「ルー…。」
私は睨むようにルーの顔を見る。
「?何だ?何故怒っている。」
ルーってば…本当に分からなそうな顔してる。
「もう、二度としないで!あんな事…」
私は涙を溜めて抗議する。
「??何かしたか?」
ルーは頭を傾げる。
「分かんない?さっきお風呂で私とロウにした事!!もうしないで…。」
「…もしかして、恥ずかしいのか?」
「はっ恥ずかしい??そんなレベルじゃない!」
「?そうなのか?王が家臣に蜜を与えるのは普通だと教わった。」
…どんな教育を受けたのかしら…
「…はぁ、もう良いよ。あのねぇ普通の男女は、ペアーの裸を自分以外の異性に見せないよ?
まして…なっなっ舐めさせるなんて問題外!!」
「!!!!。」
私が勢いよく話すから、ルーは目を丸くしてビックリしてる。
「…あい分かった。今度から二度としない。」
ルーはシュンとして下を向く。かっ可愛い!!!!
何時もは王様全開のルーが私に叱られ落ち込んでる…快感!!!
「でも…」
「でも…何?」
「ロウは叱らないでやってくれ…。」
ルーはロウを気遣う。
「…まぁ。ルーに命令されて仕方なくだもんね。」
「最初はな。途中から本気で吸っていた。」
…怒って欲しいのか許して欲しいのか分かんない言い方。
「ロウは可哀そうなんだ。」
「?魔力が薄いから?」
「…それもあるが。最初、王位を継ぐのはロウだった。でもルーが生まれて…
ルーの方が魔力が断然上だった。」
断然っとか、自分が一番良いなんて加えるのは、やっぱり猫気質なんだろうか。
「ルーはロウが大好きなんだ。たった一人の家族なんだ。許してやってくれ。」
…ルー、やっぱり寂しいのかな?
「じゃあ、なんで私とロウにあんな事したの?気まずいんですけど…」
「最初はロウと中が良い事に腹が立った。はじめはルーの妻なのに。
でも最後はどうでも良くなって…ロウにもはじめの味、教えたかった。」
それが本当の気持ちなら…少しは救われる。
ルーは下を向いたまま顔を上げない。本当に落ち込んでるみたい。
もう、可愛い所あるじゃん!
「…ルー?」
私は優しく話しかけると、ルーは嬉しそうに顔を上げた。
「なっ何だ?」
「…猫になって。」
「…猫か?」
「一晩、猫の姿で私と一緒に寝て。」
「…猫のままだと、はじめを抱けない。ヤダ!。」
「…本当に悪いと思ったなら変身して。一晩元に戻らなかったら許してあげる。」
「…本当か?」
ルーは目をキュルンっとして聞いてくる。胸の奥がキューンとする。
「うん、本当。だから…早く!」
「……分かった。」
ルーは大きく伸びると変身を始めた。
みるみる全身に真っ白な毛が生え、瞬く間に美しい猫の姿に戻った。
「きゃーーー!!!可愛いーーー!!」
実は私…猫の姿のルーが忘れられなくて…
気品あふれる姿、流れる絹の様な毛並み、気高い顔。
撫でるとサイコーに気持ち良い。
「うわぁ…なんて綺麗なんだろう。」
思わず言葉に出す。
「ニッニッニッニャー!ニャーゴ!!」
一生懸命ルーが喋ってるけど…何言ってるか解んない。
私は猫の姿のルーを胸に抱き、ベットの中に潜っていった。
ルーの肌触りは最高で、私は直ぐに眠りの中…
最初は頑張ってルーの背中を撫でていたんだけど…それがまた眠りを誘うというか…
私は大満足で眠りに入ったけど、ルーは大不満足みたいにニーニー鳴く。
私はルーを無視して寝ちゃったけど…ちょっと起きてれば良かった。
不満足のルーは器用に私のパジャマの隙間から顔を突っ込み、私の股間付近でフゴフゴ…
牙で器用にズボンを脱がし、私をペロペロ舐めはじめて…
「いっ痛痛痛!!」
私は飛び起きた。なっなんかアソコがヒリヒリする…
猫ルーは私に向かってべーー!っと舌を出している。ザマー見ろ!って言われてるみたい。
あっ!そういえば…猫の舌ってザラザラしてるって聞いた事ある。もう!!
私は怒ってふて寝する。もう知らない!!!
ルーは一瞬怒った顔をして…直ぐに落ち込み、その夜は何もしてこなかった。
起きた時、隣には丸まって寝る猫ルーの姿があった。
猫ルーは私の横にピッタリ背中を付け、気持ち良さそうに寝ている。
私はその姿が可愛過ぎて…
「ルーーー!!!」
っと、寝ているルーに飛び付いた。
「ニッニャァァ!!」
ビックリしたルーは全身の毛を逆立て腰を抜かした。ごっごめん…。
「ニャニャニャ!!!」
ルーは一生懸命怒ってる。でも猫の姿で怒られても怖くない。むしろ可愛いです。
「ごめんねルー。」
私は怒っているルーの顔を掴み、ルーの可愛い口にチュッっとキスをした。
ルーは黙って受け入れた。ルーの尻尾が左右に揺れる。
朝食を済ませ…やる事が無い。暇だ。
学校に行けと言われて丁度良かった。この屋敷は暇すぎる。
でも今日は木曜日、来週の月曜まで長いな…どうやって暇を潰す?
昨日ロウに、王妃は極力家を開けない!っと釘を刺されてので、外出は出来ない。
私はウロウロと屋敷を彷徨った。
ルーが何時も寝ているお昼寝部屋に行ってみた。
ルーはそこに居なかった。ちょっと残念。
私は昨日断念した二階に上がってみた。
二階は主に王族の執務をこなす部屋が揃っていた。
どうして王族の仕事部屋だと分かったのって?
だって…ルーが仕事してたから。
ルーはビシッと服装を決め、巨大モニターの前で何やら話しこんでいる。
出てくる言葉は…日本語以外。何語かすら私には理解できない。
多分、衛星中継か何かだろう。モニター画面の右下に国旗の絵が書いてあって、
画面が切り替わり、ルーが喋る言葉が変わると、画面の国旗も変わった。
ルーが言ってた、馬鹿な女はってヤツ。ルーの言う馬鹿女って何処のレベルなのかしら…
日本語以外話せない私は一生馬鹿女扱いかも…
私は本当に暇だったので、今日一日、ルーの後を追ってみる事にした。
ルーは衛星中継を終わらせると、なにやら机に山積みの書類を読み始めた。
書類を凄まじい早さで読み終わると、隣の部屋へ入って行く。
何やら怪しい薬瓶を握り締め…目を閉じブツブツ呟く。
白衣を着た人が、ルーに次々と瓶を手渡す。
そんな事を何回か続け、部屋を出ていく。
私は物陰に隠れ、そのままルーの後を追った。
一階の応接間に移動して、何やら待っていた人と話し始めた。何の話か…難しくて理解不能。
その後もルーは色々屋敷内で仕事?らしき事をして…時間で言えば昼の三時頃、
フラフラした足取りで、真っ白なお昼寝部屋に入って行く。
何気にハードそうな一日を送っているルー。でも…
忙しく動き回るルーの姿は新鮮で…私は益々惚れ直す。
この人で良かった。