王の威厳
ちょこっとですが、表現が露骨な部分あります。
苦手な方は、そこだけササッと読んで下さい。
「どっどういう事?」
私は男に詰め寄る。
「何が…」
男は冷たく一言。
「何がって全部!!昨日と今日と…意味分かんない!!」
息を切らせて怒鳴る。
「五月蠅い女だ…大声は癪に障る…静かに話せ…」
癪に障るのはこっちだ!!っと言ってやりたかったが、取り合えず静かに話してみた。
「貴方は誰?」
「王様。」
「はっ?」
こいつ一体何さま?あぁ…王様って!この日本には王様は居ません!
「王様って何処の国の?」
「動物の国」
「お山の大将?」
「はっ意味が解らん。動物を束ねる国だ。」
そっそんな…意味わかめ。
「そんな国あるの?」
「国って言っても連合のような物だ。地球全体の。」
「はぁ…そうですか。」
これ以上聞いても無駄だと思い、話を変える。
「名前は?」
「ルーシャ…ルーシャ・カイン」
「がっ外人さんですか…」
日本人にしては掘りの深い顔。言われてみれば…瞳の色はブルーだし。
「いや、日本生まれの日本育ちだ。」
「あっ左様で…」
「んで本題ですが…貴方、昨日私に何かしましたか?」
核心の質問。
「あっ何って…交尾しかしていない。」
「こっこっ交尾!!!」
せめてHとかSEXとか…交尾って獣ですか。
「やっぱり…ばっちり最後まで?」
恐る恐る聞く。
「当たり前だ。キチンとお前の中に射精しておいた。感謝しろ。」
そっそんな…初めてのエッチが変態猫なんて…
私が頭を抱え唸っていると、男が喋りだした。
「おいっ出掛ける。支度しろ。」
っと箱を私の足元に投げた。
箱の中には真っ白なドレスが入っていた。
「着替えろ。時間が無い。」
「きっ着替えるって…ココで?」
「早くしろ。」
「じゃあ出て行って。」
私はドアを指差す。
「?何故。今更何を恥じらう。」
「だって…」
男はため息を吐き私の目の前に立つ。そして私の目をジッと見つめる。
「なっ何よ。」
男と目が合う。きっ綺麗ね瞳…じゃなくて!
でも男の目から視線を逸らせない…
「着替えろ。」
「…はい。」
自分で体が動かせない…急に何で…
私は下着姿になり、男の目の前で着替えを始めた。
真っ白いドレスに身を包む。美しいドレス…
「うん、なかなか…よい。」
えっ似合いますか?恥ずかしい…
男は指をパチンッと鳴らす。途端に体が動くようになった。
「はぁはぁ…」
一気に疲れが押し寄せる。
「今の…何?」
昨日の夢でも似たような事があった様な…
「縛り。」
「えっ縛り?でもロープとか何もなかった様な…」
「意思での縛りだ。お前らでは使えん。」
魔法みたいな物?普通なら信じないけど…
でも今の私は簡単に信じた。
「とにかく早く支度を済ませろ。あっ匂いのする化粧はするなよ?」
「はっはぁ…」
私は身支度を整える。
「うん、よいな。」
ルーは頷く。
「ほっ本当?」
「あぁ。臭くない。」
見た目を聞いたんですが…
私はいつの間にかタキシードに着替えているルーと家を出た。
家の前にはリムジンが停まっている。
「乗れ。」
「こっこの車に?」
リムジンなんて初めて見た。なっ長い!!
「早く乗れ。」
私はルーの言うとおり、素早く乗り込む。
リムジンの中は別世界。
こんな高級車、テレビでしか見た事無い。ってか普通庶民はこんなの乗った事無いでしょ。
「うっわ…凄い…」
私は興味深々でキョロキョロ。
「落ち着きのない女だ。」
ちっっと舌打ちをするルー。私はムカッときて、
「女女って、私の名前は一!鈴木一!!名前が有るんだから、キチンと呼んでよ!」
プイッっと余所を向く。
「あぁ…名前知らなかった。一か…男みたいな名前だ。」
気にしている事をサラっと言う。
「名前も知らない女誘拐したの?信じらんない…」
私は呆れてルーの顔を見る。
何が?っと言わんばかりの王様顔…なんでルーは私に付きまとうのかしら…
「ねぇ、ルー。ルーはなんで私を誘拐したの?ただ強姦したかっただけ?」
「強姦とは心外だな。私に抱かれるなんて名誉なんだ。
女は皆、私に抱かれたがるのに…変な奴だなお前は。」
「いや…無理やり動かなくされて姦られるのが好きな女なんて居ないから…」
「そうなのか?」
「それに、なんで私なの?」
美人で魔法を使わなくても足を開く女なんて沢山居るだろうに…それに、ルーの容姿なら、
それこそ我先に!って人沢山居る筈。
「殺してしまうから…」
「えっ?」
思いがけない言葉…
「こっ殺しちゃうって…どういう事?」
ルーは悲しげに説明しだした。
「昨日お前を見つけて感じたんだ。お前なら死なないだろうと。
昨日も言ったが、俺たち王族の精液は毒の様なものだ。並大抵の雌は発狂して死んでしまう。」
「あの昨日飲んだ酒の意味は?」
「突っ込んでる最中に狂っては気が萎える。姦る前に死なないか確かめる。」
「左様ですか…って、もしかしたら私も死んじゃってたかも知れないって事?信じらんない…」
私の顔面は青ざめる。
「でも死ななかった。まぁ、そんな気がしてたから。それに匂いが良かった。」
「昨日から匂い匂いって、私普通だと思うけど…」
クンクン自分の匂いを嗅いでみる。
「人間の鼻では分からん。獣人だけが分かるフェロモンの匂いだ。並みの動物でも無理だ。」
「へーって、獣人?」
「人間と獣を行き来出来る者の事だ。」
「ルーの他にも居るの?」
「あぁ。我々王族は猫だけだが、犬、熊、馬…色々居る。我々猫族が魔力では一番だがな。」
なんか嘘みたいな話…私も目の前でルーの変身を見なかったら信じないだろうし。
「私以外にルーの魔力に耐えた人は居たの?」
「いや…お前以外試した事がないからな。」
わっ私がルーの初めての女か…この綺麗な男の初めて…ちょっと嬉しいかも。
でも、初めてであんなに激しい交わりって出来るもんなのかしら…
私だって初めてで、なのにあまり痛く無かったし…きっ気持ち良かったし…
私が顔を真っ赤にして悶絶していると、ルーが顔を近づけてクンクン臭いを嗅ぎだした。
「思い出しているのか?」
心を見透かされ、思いっきり否定する。
「ちっ違うよ!!そんなスケベな事…」
ルーはクスッと笑って、
「匂いで分かる。感じている匂いだ。まだ薄いがな…」
ルーは私の耳元で甘く囁き、私の耳の中に自分の舌を入れてきた。
「きゃっあっ…。」
ゾクっと駆け上がる快感。息が荒くなる。
ルーは私の耳を丁寧に舐める。
「気持ちよいのか?」
ルーは舐めながら囁く…くすぐったいけど…体が熱くなっちゃう…
「お前の匂いが濃くなってきた…俺も前が苦しい…」
ルーはすっかり興奮していた。
「ここ…触って…。」
ルーが涙目で言う。
ってか、危うく流されそうだったけど、私貴方と付き合ってる訳でもないのに…
昨日だってレイプみたいなモノだったし…
でも私、なんで今ルーと一緒なんだろう。あんな事されて。
自分でもビックリだけどルーに対する憎しみってあんまり無い。
むしろもう一度会えて嬉しいような…
そう自覚した途端、ルーが辛そうな声で懇願してきた。
「はっはじ…め…匂いが濃すぎて達しそうだ…」
にっ匂いでですか?車内だから充満してるのかな?
モジモジしている私。ルーは痺れを切らしたように、私の顔を押さえつける。
「んぐっ。」
私の口の中に自分の舌をねじ込む。激しいキス。
息が苦しい…息が出来ない。頭は真っ白。
ルーは口を離し、私を椅子に押し倒す。
「ちょっちょっと止めてよ!」
私はジタバタ…。でもルーは片手で私を押さえつける。強い力で…
また…流された…勢いでSEXしちゃった…
私は自己嫌悪で、下を向きながら着替えを済ます。
ルーはペニスを抜くとサッサと後始末をし、自分の格好を整えている。
何かなぁー。
「ねぇ…ルー。」
「何だ?」
「ルーは何で私を…だっだっ抱くの?」
私は恥ずかしい質問をする。
「妃だから。」
何言ってんだと言わんばかりの顔。
「…きっ妃?」
そういえば昨日言ってた様な…
「私って…ルーのお嫁さんなの?」
「あぁ…そう言った。」
妃?私、プロポーズなんて聞いてないし…てかその前振りすら無いですけど。
「私とルーが夫婦?」
「何回も聞くな。」
呆気に取られている私を尻目に、リムジンは大きなホテルに着いた。
ホテルのエントランスに車が横着けされる。
ベルボーイの様な人がドアを開けてくれる。
「お待ちしていました。」
ボーイさんは私に手を差し出し、私は手を取って車を降りる。
ロビーを歩く。
私たちが歩くと、皆お辞儀をして通り過ぎるのを待つ。
ルーは堂々とその真ん中を通って行く。さも当たり前の様に。
「ねぇ…ルーって一体何者?」
私は聞かずには居られなかった。
「王様。」
まぁ…予想はしてたけど…
広い広間の様な所に通される。パーティー会場の様だ。
そこには沢山の人…あっあの人テレビに出てる!あの人は有名なスポーツ選手…
各界の著名人や、高級な装飾品を身にまとう人々…
ルーはそのど真ん中を進む。やっぱりルーが通り過ぎるまで皆頭を下げる。
私はルーの後をオズオズ着いていく。
身分の高そうな人ばかり…自分自身、場違いなのが分かる。帰りたい!!
ルーは一段高くなっている舞台に上がる。舞台には大きな椅子が二つ。
ルーは向かって左椅子にドカっと腰をおろし、足を組んで座る。
私はルーの後ろにチョコンっと立った。
「はじめ、何してる。」
ルーは前を向いたまま私に話しかける。
「えっ何って…」
私が戸惑っていると、ルーは組んでいた手を解き、隣の椅子を指差す。
「お前の席はココだ。ココに座れ。」
「えっこんな偉そうな席に?」
私が竦んでいると、ルーが当たり前のように話す。
「お前以外は座れない。ここは王妃の席だ。」
あっそうですか…一方的に王妃にされたんだっけ…
私は渋々席に着こうとする。
椅子の前まで来ると、執事風の若い男性が椅子を引いてくれた。
全身黒ずくめの男。真黒な髪…でも艶々してる。
背も高く、身なりも清潔感が漂う。綺麗な顔はルーに少し似てる。
私は軽く頭を下げ席に着く。男は私の着席を確認すると一歩下がって後ろに立つ。
「お集まりの皆さん。」
会場にマイクの音が響き渡る。喋っているのは初老の男性。
「本日はルーシャ・カイン様、一様の結婚の儀にお集まり頂き御苦労さまです。
我らが王、ルーシャ様よりお言葉を頂戴いたします。」
男性はルーにマイクを渡す。会釈をして後方に下がる。
「皆の者…」
ルーが喋りだすと皆に緊張が走っているのが分かる。
「今日は御苦労であった。今日は我が妃、一を皆に紹介する。」
ルーは立ち上がり、私の目の前に立つ。
「立て。」
ルーが冷たく命令する。私は素直に従う。
「これが我らが妃、一だ。」
ルーに紹介され、私は頭を深く下げる。
「馬鹿!頭など下げるな!お前はここに居る者共の長になるんだ。」
ルーが私にだけ聞こえるような小声で叱る。
私は直ぐに顔を上げる。
皆私をジロジロ見ている。居心地が悪い。
「これからは皆、一を私と同等だと思い敬うように。」
ルーはマイクを男性に返す。
「では皆様、楽しい時間をお過ごしください。」
男性が締める。
ザワザワとパーティーが始まる。
ルーの前には行列が出来ていた。
順番にルーの前に出てきて跪き、ルーに挨拶する。女性は手の甲に口を近づける。
舞台から降りる人は皆恍惚の表情を浮かべている。
挨拶を終えた人から皿を取り、食べながら雑談している。
私はその光景をただ唖然として見ていた。
テレビや新聞でしか見れない様な有名人達が次々にルーに跪く光景…正直怖かった。
ルーって本当に王様なんだなぁ…半信半疑だったけど今日信じた。
だって総理大臣とかまで跪いてるんだもん!こりゃ本物だ。
皆の挨拶が終わったのは二時間後。はっきり言って疲れた。
姿勢を崩そうにもそんな空気じゃなくて。
私は舞台の上で二人きりになった瞬間、ふぅーっと深くため息を吐いた。
「疲れたか?」
ルーが私に話しかける。
「うん、少しね。」
私が苦笑いを浮かべると…
「これからが大変だ。」
ルーは恐ろしい事を言う。一体これから何が始まるの?
急に場内が静寂に包まれる。
会場の入口の人だかりが割れ、道が出来る。
真ん中から数人の人が入ってくる。
老若男女で、皆気品が漂う。明らかに普通の人間ではない。
その人達は私たちの目の前で立ち止まり、ルーの方を見ている。
一列に並び、順番にルーの前に上がってくる。
最初は老人。ルーに跪きルーの手の甲を自分の額に持っていく。
「おめでとうございます。」
老人は一言ルーに喋る。
「有難う。」
ルーが初めて挨拶を返す。
老人は立ち上がり、私の前に。
何が始まるのかしら…私の全身に緊張が走る。
老人は私に手を差し出す。どっどうしたら?私はルーに助けを求める。
でもルーは前を向いたまま知らんぷり。助けてよー!
私が戸惑っていると、後ろに立っていた黒髪の男が私に話しかける。
「王妃さまも膝をついて手を出して下さい。」
私はホッとして言われた通りにする。
老人は私の手を取り、甲に軽くキスをする。外国みたい!
「王妃様、そのままの格好で手だけ降ろして下さい。」
私は言われたとおりにジッとしてる。
老人は私の首筋に顔を近づけ…クンクンと匂いを嗅ぎ始めた。
ビックリしすぎて固まる私。
「ほぅ…これは…」
老人は感心して会釈する。なっ何が起こってるの?
私は固まったまま茫然とする。
「王妃様、立ち上がって下さい。」
黒髪の男がアドバイスを言う
私はぎこちなく立ち上がる。
私が立ち上がってから、老人も立ち上がる。
「王よ、また甘美な妃を見つけられましたな。」
老人は頬笑み舞台を降りる。
私はその後も同じ挨拶を繰り返す。
若い男は頬を赤らめ、若い女は顔を顰めながら降りる。
正直良い気持ちはしなかったけど、拒否できる空気じゃなくて…
一通り挨拶が済むと私は再び椅子に座った。
そしてパーティーが再開する。
「良かったな。」
ルーは姿勢を崩さず話しかける。
そういえばずっと体制崩してないな…凄い。
「なっ何が良かったの?」
「お前は認められた。」
「……何に?」
「さっきのは王族だ。王族たちはお前を殺さなかった。合格だ。」
こっ殺され…またしても!
「気に入られないと殺されてたの?」
「あぁ…」
ルーは平然と答える。
「まぁ…もう何も言わないよ…」
何を言っても無駄だし。
「俺には確信があったんだ。」
「確信?」
「お前の匂いを否定できる獣人は居ない。」
そっそんな理由?危なっかしい。
でもチョット照れる。だってその中にはルーも含まれるんでしょ?
その後は何事も無くパーティーは進んだ。
「王が退室なされます。」
会場に響き渡る声。場内が静まり二つに分かれる。
人だかりの中に道が出来て、皆深く頭を下げている。
ルーは立ち上がり舞台を降りる。
私もルーの後を付いて会場を後にする。