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最終話

私とルーの赤ちゃん…なんで尻尾が二色なんだろう。

今までの王族の歴史でも例がないらしい。

ルーが言うには、赤ちゃんが一度死んでしまった時、ロウが命を託したからじゃなかって。

私もそう思う。

この赤ちゃんには、二人のお父さんが居ると思ってる。

何時も側に居て守ってくれる強き父親、ルーシャ。

自分の命を分け与えた優しき父親、ロウ。

きっとこの子は二人の父親の愛と命を貰って、幸せに生きていく筈。



「ロキ!何処行ったのぉー!!」

私は朝から騒がしく屋敷を走る。

もー!何処に隠れたの?


私たちはロウから一文字貰って赤ちゃんをロキと名前を付けた。

ロキは順調に大きくなっていた。

黒と白の綺麗な髪がチャームポイント。

親ばかじゃないけど、私たちの子供は美しい顔の作りをしてる。

まぁ、ルーの遺伝子受け継いでるんだから当然なんだけど。

そして…ロキの下腹部には産まれる前から大きな傷があった。

傷は多分、ロウが命を掛けて守ってくれた証なんだと思う。



そして私は今、朝からワンパク盛りで逃亡中のロキを探している途中。

私とルーの大事な子供ロキは今、生後半年になった。

人間と比べると驚異的なスピードで成長するロキ。

私は毎日ロキの世話でヘトヘト!

もう…誰か手伝って!


ロキを見つけたのはそれから5分後。結構早く見つけたでしょ?

それには秘密があるの。

ロキは大抵同じ所に隠れてるの。そこは…ロウの部屋。

ロウの部屋の大きなクローゼットの中が定番の隠れ場所。


「ロキ!!もうご飯の時間だよ!!早く行こ?」

「あーぁ、また見つかっちゃた。」

渋々出てくるロキ。

私はロキの手を離さない様に食堂へ向かう。


「早く席に着きなさい。」

父親全開のルー。

「はぁーいお父様。」

嫌嫌席に着くロキ。

私の一日はそうやって始まる。


食事が終り早くも逃亡したくてワクワクするロキ。

「ロキ!今日は先生来るんだから、ちゃんと部屋に居てよ?」

「えーーーっやだなぁ…。」

ロキは定期的に家庭教師の先生に勉強を教えてもらっている。

ロキはその日が大嫌い!

ロキが不機嫌な顔で嫌がっていると、ルーパパのキツイ一言がロキに襲いかかる。

「馬鹿は嫌いだ。」


ロキはルーが大好き!

将来の夢は王様!

憧れの人はルーシャ・カイン!

筋金入りのルーシャファン。自分の父親なのにね。

それで渋々勉強を受け入れている。

でもね、やっぱりルーの子供で、教えた事は一回で覚える。

外国語はペラペラで、もはや私の手には負えない。

私は高校を中退しちゃったし…ロキには色々学んでほしいと願ってて…

色々な教科の先生がロキに教えてる。


今日は外国語の先生が来る予定。

私は授業中、先生にお茶を出そうと、ロキの部屋を訪ねた。

コンコンコン…

「ロキ、勉強してるー?」

「あっ王妃様…」

外国語の先生は若い男性。

「あっあれ?ロキはトイレ?」

室内にロキの姿が無い。トイレはロキがサボる口実。

今もそうだと思って先生に尋ねる。

「……いっいえ…その…あの…」

…先生の様子がおかしい…

私は只ならぬ様子の先生を見て、急いでルーを呼びに行く。


仕事中のルーの腕を引っ張って、ロキの部屋に走る。

「あっあがっあぁぁ…」

先生は口から泡を吹いて痙攣していた。

「きゃぁぁぁ!!」

私は白目を剥く先生の様子をみて悲鳴を上げる。

ルーは先生を抱え、床に寝かせる。先生の額に手を当て…何か呟く。

先生の体が一瞬大きく跳ね、次第に痙攣も収まる。

「あぁ…ぷはぁ!!はぁはぁはぁ…すっすみませんで…ゲホゲホっ。」

先生は何とか意識を取り戻した。

「せっ先生、何があったの!ロキは!」

私は捲し立てる様に先生に質問する。

「はぁはぁ…ロッロキ様は…知らない男が…」

「!!!!っ」

ルーの表情が怒りに変わる。

「しっ知らない男?」

「はっはい…僕が床に落ちたペンを拾おうとして目線を離した瞬間に…」

「チッ。」

ルーは足取り激しく部屋を出ていく。


私はルーの後を追う。

ルーは世界中と通信できるモニターの前で何やら機械を弄ってる。

どうやらロキの行方を捜しているみたい。

「!!!分かった。」

ルーは私に嬉しそうに報告する。

「はじめ…ロキ見つかったぞ!」

私は急に緊張の糸が切れて、その場に座り込む。

「はやっどうしてすぐ見つかったの?」

「ロキのピアス、発信機になってる。」

あっさりと種明かし。

取り合えず、私はロキのピアスの電波を頼りに探しに行く。


電波が示した場所にロキの姿は無かった。

代わりにあったのは…大きな血の塊…そしてピアス。

「いっいや…嫌ぁぁぁぁぁ!!!」

私はその場で気を失った。

ロキ…ロキ…何処に行ったの…無事なの?

お願い…誰かお願い…ロキを守って…子供を助けて…


私たちは手掛かりを無くし、一旦家に戻った。

ルーは庭に立ち尽くし、空をジーっと見ていた。

多分、ロキの気配を探してるんだと思う。

私は何も出来なくてオロオロするだけ…

ルーの隣に居ても役に立たないし…

私は久しぶりにロウの墓に足を向けた。


「ロウ…お願い…居場所を教えて…」

私はロウの墓石に抱きつき、ロウに話しかけていた。

「ロウ…ロキが…居なくなっちゃった…何処に居るか知らない?」

返ってくる筈の無い返事を待つ…


「はじ…め…はじめ!!」

遠くからルーの声が聞こえた。もしかして見つかった?

私は立ち上がり、声のする方へ走って行こうとした。

でも…背中に視線を感じ、私は一度振り返った。

気のせいだと思うけど、ロウの気配を感じたから…


ルーは全神経を集中させ、ロキの気配を探し出していた。

私はルーと一緒にその場所へ迎えに行く。


向かった場所にロキは居た。

その姿に私は絶叫した…

「きゃぁぁぁ!!ロッロキィ!!」

急いで駆け寄る。

ロキは子猫の姿になっていて、全身血まみれ状態…

そして、一人の少女の胸に抱かれていた。微かに胸は上下しているけど…

「ロキ!!」

ルーが急いでロキを取り上げる…そして、ロキの口にフゥっと息を吹きかける。

「あっあの…」

少女が怯えた表情で私たちを見つめている。その時、

「ミッ…」

ロキは小さな声で泣いた。

私は腰が抜ける。

「良かった…」

大粒の涙が流れる…生きてる…本当に良かった…


「あっあの…猫ちゃんのお父さんお母さん?」

少女のか細い声が聞こえる。

「んっ何?」

「猫ちゃん…大丈夫?あっあのね…カラスが猫ちゃん虐めてたの…」

どうやらカラスに囲まれている所を少女が見つけ助けたらしい…

「あっ貴方が助けてくれたの?」

「うんっだってカラスが酷いんだもん!!」

少女は興奮して話をする。良く見ると少女にも無数の傷があった。

「あなた…怪我したの?」

少女は自分の体を見て…泣きだした。どうやら今気付いたらしい。

「ニッニッニャー!!」

意識を取り戻したロキが騒ぎ出した!なんか…怒ってる!

ロキはいきなり人間に変身を始めた。少女はそれを見て口をポカーっと開けている。

『マズイ!!』思わず二人でハモった。

私はロキを、持っていた白い肌掛けに包み急いで走り出す。

「ルー!後宜しく!!」

一言声を掛け、その場を後にする。

ルーは固まっている少女に近づき、傷を簡単に直し、少女の記憶を消した。



元々治癒力がずば抜けているロキは一日寝ているだけですっかり元気。

ルーの応急処置も凄かったんだけど。

結局ロキを誘拐したのはカラス一族で、理由は私の時と一緒。

王族って気が休まる時が無いって言うか…



でも、これからも私たちは大丈夫。

だって、ルーが守ってくれるから。

何があってもルーを信じて付いていく。


最初は酷い出会いだったけど、それすら今は懐かしい。

私はルーに出会えて幸せだ。

心の底からそう思う。


                         第一部  終り


最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。

また、無理やり編集した為、文章がおかしい所あったかも知れません…

もし不愉快な文があったとしたらすみません。


本編は第二部に入ってます。

よかったら読んで下さい!  ありがとうございました。

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