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「わたしのために死んでちょうだい」と言われて殺されるモブ令嬢に転生しましたが、生き延びるため魔法騎士を目指します  作者: 倉本縞


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33/58

33.魔術師の塔と王宮騎士団

「実に有意義な時間だった」

 ジェラルド様が満足そうに笑って言った。


「珍しいユニーク魔術を二つも見ることができたしね。……マティルド嬢、ありがとう」

 まばゆい王子様スマイルを向けられた。

「いえ、そのような! わたしこそ、炎の剣を手にすることができたのは、王太子殿下のお言葉があったからです。ありがとうございます」

 あの無茶ぶりのおかげで、子どもの頃の憧れが叶ったのはたしかだ。そこは感謝している。


 驚いたことに、ユニーク魔術で作った炎の剣は、ずっと炎の効果を持続させても魔力を消費しなかった。

 どうやらわたしの炎の剣は、「剣に炎の効果を付与された」ものではなく、最初から「炎の剣」という状態で存在しているため、いくら剣を振るっても魔力が減らないらしい。

 すごい。スーパー省エネ魔剣だ。しかも「炎の剣の収納ってどうしたらいいんだろ?」と思った瞬間、炎の剣が消えたのだ。ユニーク魔術で作られた炎の剣は、わたしが「必要だ」と思っている間だけ存在するらしい。鞘いらずで便利!


 ジェラルド様が王宮に戻るというので、わたしも屋敷に帰ることにした。ジェラルド様の見送りだろうか、ルーディガー様とナタリー様も魔術師の塔を出た。

 すると塔の前に、サヴィニー伯爵が立っていた。

 ひょっとしてわたしを探してここまでいらしたのか!? と思ったら、サヴィニー伯爵は王太子殿下に気づき、サッと顔色を変えた。


「これはこれは王太子殿下、お久しゅうございます。……ユニーク魔術の使い手とわかるや否や、マティルド嬢に接触されるとはさすがですね」

 にこやかだけど、なんか棘を感じる。


「サヴィニー伯は、魔術師の塔に一歩遅れをとったようだな。マティルド嬢は師団長の助言を受けて、憧れの炎の剣を作り出したよ。君の手助けは必要なさそうだ」

 王太子殿下もにこやかだけど、なんかなんか……。


「ほう」

 サヴィニー伯爵は片眉を上げ、わたしを見た。

「そうか、炎の剣を。マティルド嬢、良かったね」

「え、はい、あの……、すみません……」

 二人の険悪な雰囲気に、なぜか謝罪してしまった。


「君が謝るようなことじゃない」

 サヴィニー伯爵がにこやかに言った。

「私を出し抜こうと姑息に動き回る輩が悪いだけだよ」

「なんですって!?」

 ナタリー様が目を吊り上げた。しかし、


「なんだエドガー、おまえもマティルドのユニーク魔術を見たいのか?」

 ピリピリした空気をものともせず、ルーディガー様がのんびり言った。

「珍しいな。おまえはあまり魔術に関心がないと思っていたが。さすがにユニーク魔術は特別か」

「ルーディガー」

 サヴィニー伯爵は毒気を抜かれたようにルーディガー様を見た。


 ルーディガー様とサヴィニー伯爵は親戚だから、幼い頃から関わりを持っている。ガブリエル様の父方の叔父がルーディガー様、母方の伯父がサヴィニー伯爵だ。

 そのため、親戚ではあるけれど血は繋がっていない。見た目もまったく違っている。どちらも美形だけど、闇の魔王と光の貴公子って感じ。


「……おまえも王宮騎士団と争うつもりか?」

「なんのことだ?」

「マティルド嬢のことだ!」

 サヴィニー伯爵が怒ったように言ったけど、ルーディガー様はまったく気にした様子はない。

「マティルドは私の弟子だ」

「そうなのか!?」

 サヴィニー伯爵が驚いてわたしを見た。


「マティルド嬢、君は魔術師の塔に入るつもりなのかい?」

「別に塔には入らなくてもいいぞ。私の弟子であればそれでいい」

「師団長!」

 ナタリー様が慌てて言った。

「そのような事をおっしゃられては困ります! ユニーク魔術の使い手を騎士団にとられてもいいのですか!」


 ルーディガー様は肩をすくめた。

「所属が塔だろうが騎士団だろうが、そんなのはどうでもいい。大事なのは、マティルドがユニーク魔術を極め、どんどん新しい魔術を生み出すことだ」


 おお……、魔術オタクの心意気を見ました。

 ルーディガー様は魔術師の塔と王宮騎士団の競争とか、まったく関心がないみたい。権力も金も、どうでもいいって感じ。

 興味があるのは、ただ魔術だけ。ある意味あっぱれだけど、部下は苦労するだろうな。



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