デンシジショ
まだまだ未熟ですが、どうぞ最後まで読んでやってください。
あたしは、窓から桜並木を見て考えた。
ちなみに今は、授業中だけど、そんな野暮なことはどーでもいい。
いいよね。桜って。
別にさ、種を作るわけじゃないのに、咲くためだけに咲くんだもん。
中にはサクランボを作る桜もあるんだろうけど、ガッコーの桜は違うし。
よく、『将来の夢がなかったり目標がないのはかわいそうだ。』って大人たちは言うけど、あたしはそうは思わない。
勝手に決めつけないでほしいよね。
それで、『将来の夢のために勉強を…』だなんて、いい迷惑。
その代表にあたるあたしは、自分を嘆くことしかできない。
どーせ、あたしや、日本の未来なんて大したものじゃないもんね。きっと。
「いいか。これは、受験をうけるにあたって大切だからな。」と、数学の先生が言う。
……現実逃避の言い訳かもしれないけど。
こうゆう(お母さんにゆうと「こう『言う』でしょ!もうすぐ試験なのに!」と怒られる)、考えって言うか、言い訳?は最近思いついたものだ。
去年までは良かったんだ。
目的もなくぷらぷらしてられたから。
今年は…今年は、違う。
『コーコージュケン』とゆう、目標があるんですよ。
だから、目標というのはない方がのんびりしてられていいんです!
ってゆーか、正確には、目的はあってもいいけど受験はあってほしくないだけ。
受験って言うのをごまかすために目的って置き換えただけなんだよね。
「君たちも今年は受験だ。しっかりやってくれよ。こんな問題も出来ないんじゃあ…。」
あ~あ。先生、「今年は受験がないんだ。」って言ってくれればいいのに。
あたしは、先生のくだらないオハナシが嫌になって、窓を見た。
首を動かした途端、風が吹く。
あたしは心の中で桜に呼び掛けてみた。
サクラ、サクラ、あたしの春に咲いてくれる?
ベンキョーしたくないんだけどさ、努力もしないけど、咲いてくれる?
来年の春。『サクラサク』?
……勿論、桜は何も言わない。
分かってるのに、なんかムカついて、あたしはちょっとバカにしてみた。
別にアンタが咲いたって咲かなくたって、あたしの試験の結果は変わんないし。
どーせ、アンタなんかに変えられないでしょ。
変えられるの?アンタみたいに、ひらひらしたヤツに?!
できるって言うんだったら、あたしのいる3階まで来てごらんよ。
運命を変えられるなら、ここまで来るのは簡単でしょ。
……あたしみたいに太ってないんだしさ。
部活が終わった途端、縦の成長期が終わって、代わりに横の成長期が来たのっ。
悪かったねっ。
散々、桜に八つ当たりした。
心の中のあたしはゼエゼエしてて、桜は澄ましてる。
現実は、口をとがらせていて、桜はそこにいるだけ。
少し、すっきりした。
返事がないのは少しさびしいけど、口答えされるよりはマシだもんね。
「おい!稲波!稲波 志輝!聞いてるのか!」
突然、さっきまで説教していた先生が言った。
「え?あ、あっと、はいっ。」
「外なんか見てて、余裕だな。東大でも受かりそうな余裕だな。」
センセー、あたし、まだ14歳です。もうすぐ15だけど。
と思ったけど、言わない。
言ってやってもいいけど、そのあと叱られるのがめんどくさいし。
センセー様の言う、ジュケンのための内申もある事ですし?
先生は鼻を鳴らすと言った。
「じゃあ、答えろ。問4。」
げげっ。
聞いてなかったし。知らないし。
でも、返事しちゃったし。なんかヤだけど、謝ろっかな…。
「なんだ。お前聞いてなかったのか。」
あたしが考えていると、先生が言い、その言い方にムカついた。
「聞いてましたからっ。そんな風に言われるなんて心外ですね。」
『シンガイ』だなんて言っちゃって。漢字書けるわけ?
バカだな。あたし。
今更だけどさ。昔からだけどさ。
度胸だけで、自分の意見も信念も持ってないくせに。
バカバカバカバカバカバカ……。
妹の歌を聞かせてやりたいよ。全く。
「ばーかあーほどじまぬけー。」
アイネ・クライネ・ナハトムジークに合わせていつも歌ってるヤツ。
その度にママに怒られてる、調子っぱずれの歌。
いつも聞いてるでしょ。あたし。
桜相手にケンカ売ってる場合じゃないよ。
そう言えば、ケンカって売るっていうよね。
何円で売れるのかな。1ドルとか。もしかしたら、ユーロで売れるかもね。
ケンカはバンコクキョウツーだし。
多分…。
って、そんなこと考えてる場合じゃないよ!
他人事みたいに自分に言い聞かせちゃって。
考え始めたあたしに先生が言う。
「ほら、とっとと答えろ。」
ええい。うるさいヤツだな。考え中だっての。
五月のハエのようなヤツだ。全く。(五月蝿いとかいて、うるさいと読む。)
人をバカにするような言葉ばっかり知ってて、まともなことなんて一つも知ってないくせに。
どーせあたしは、五月のハエより下だよっ。
腹が立ったので(給食前だからかな)、あたしは勢いをつけて立つ。
椅子を蹴っ倒し、机をバンと叩く。(一番後ろの席なので、一応迷惑はかからない。)
でも、対して威力はない。
気の弱い男子がびっくりし、先生が少しばかり、身を震わせるだけ。
……あと、あたしの手が痛いのと、椅子がちょっと痛むくらい。
クラスの女子や、フツーの男子は、呆れた顔であたしを見るだけ。
いつものことだもん。
この間の体育の授業なんてもっと悲惨だった。
その日はハードルだったんだけど、思うようにタイムは出ないし、サッカーをやってる男子たちはヤジ飛ばすし。
腹が立ったから、授業の最後にタイムを計った時、全部足の裏でガンガン蹴っ飛ばして行った。
靴を履いてたからそんなに痛くなかったけど、タイムは30秒。
思ったよりは早かった。
でも、ハードルは1メートルくらいぶっ飛んで、先生にドン叱られた。
先生の怒りも、あたしは対して応えなかった。
叱られるのはめんどくさいから、先生が出張の時に、また蹴っ倒そうかなと考えている。
その時の目標タイムは、27秒ってことで。
さて、数学の問題は何かって言うと、まあ、うん。
2年生の復習(復讐)、及び、応用、発展なんだけど。
授業をまともに聞いていなかったあたしは、さっぱり分からない。
だって、部活で疲れてたから、授業中は寝てたんだもん。
エヘッ。
問題、何か教えてほしい?
やだよ。
こんなのも解けないの?ってバカにされるもん。
それに、問題の意味が分かんないから、発音がおかしくなるかも。
さて、大ピンチでございますよ。
ホントにどうしよう。
先生に投降しようか。
でも、その先生、ざまー見ろって感じで、あたしを見てる。
……前、イタズラしちゃったからな。
まさか引っかかるとは思ってなかったんだけどね。
教室の扉に、チョークで汚れた黒板消しをはさんでおいたんだ。
イタズラ終了後、あたしは先生にがっちりと叱られた。
うぅ~。
かくなる上は、集団自決か。
みんなで授業のボイコットってことだけど……。
誰も相手にしてくれないよな。
遁走、いや、逃走するか。
あたしが黒板を睨みつけて、考えてるふりをしながら悩んでいると。
―――トントン。
机に置いた手を、誰かが叩いた。
あたしがうつむくと、そこには電子辞書が開いてあった。
『えっくすはさんじゅうごわいはにじゅうご』
X破産?十語?わいは二十五?
あ、違う。Xは30。Yは25ってことか。
平仮名で打ってあるので分かりにくいけど、一応理解できる。
あたしが左を見ると、電子辞書の持ち主はニッと笑った。
日住だ。日住 紳。
あたしは、『ありがと』と口ぱくで言うと、前に向き直った。
「Ⅹ=30で、Y=25です。」
あたしが自信満々に言うと、
「それで?」
え?
先生、何?その突っ込み。
あたし、危機を脱したはずなのに。
なにゆえですか?
あたしがポカンとしていると、先生は言った。
「稲波、去年っていうか、一昨年からやってるだろう。
文章題のXやYは、自分で勝手に置いた文字なんだから。
A君とB君の分速は?」
はい、どーぞ。というように、先生は言った。
あたし、A君やB君なんて知りません‥‥。
そう言い訳したかったけど、そんなものは通じないにきまってる。
日住の方をちらりと見たけど、日住は気づいていない。
プリントの端っこに落書きをしている。
もう!
適当に言ってしまえ!
「A君が、30mで、B君が25mです!」
「残念だったな。反対だ。A君が25m。B君が30mだ。」
先生が、ざまーみろ。という顔で言った。
チェッ。
日住のバカ。
休み時間。
「悪かったな。」
日住が言った。
まあいいや。
許してやるよ。
なんか、ちょっと嬉しかった。
ピンチの時に助けてくれるようなヤツだとは思ってなかったから。
ありがと。
続く
はじめまして。
爽乃です。ソノと読みます。
まだまだ未熟ですが、よろしくお願いします。
是非是非、評価なども‥‥。
厚かましいかもしれませんが。
リアルな恋を描けるよう、日々精進してまいります。