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第40話 混沌の魔人

 時刻は少し遡り、スタンピード制圧直後のアランドラでの出来事……


 ラセツとの一騎打ちの末敗れてしまったアシュタリテは、瀕死の状態で倒れ伏していた。


 「……が、がぁぁぁ」


 もはや命が尽きるのも時間の問題、後は死を待つのみとでも言うべき状態だったが。


 「ほう、こんなところに魔人がいるぞ。しかも瀕死の状態だ」


 そこに現れたのは、二人組の男だった。

 装備しているものや立ち振る舞いからして、ベルンハイム騎士団の所属なのは間違いないだろう。


 「しかしフォルカよ、アランドラの危機だと俺たち二人だけで急いできてみれば、こんなものを発見するとはな……」

 「ああ、肝心のスタンピードは何者かによってくい止められているし、何がどうなってやがるんだ?ジョルジュよ」


 その二人組はベルンハイム騎士団の第二騎士団長ジョルジュと第五騎士団長フォルカだった。


 「まあ、我らの管轄の街がスタンピードで滅ぶのを回避することが出来たのだ。誰の仕業かはわからんが、感謝せねばなるまい」

 「ああ、それは俺も同感だ。さあ、もうすぐ本隊が遅れて到着するから後始末は任せるとして、後はこいつをどうするかだな」


 二人はもはや虫の息のアシュタリテをどうするか話している。


 「……ぐぅぅ、き、貴様ら人間なんぞが……」


 「ほう、これだけのダメージを負いながらまだ話せるか、やはり魔人の生命力は大したものだな」

 「そういえば、こいつらの使い道はベルンハイム城で色々と心当たりがあるらしいぞ、宰相のルカン殿が魔人の素体を探していると聞いたことがある」

 「そうか、ならこいつはベルンハイム城へ連れて行くぞ」


 こうしてアシュタリテは半死半生のまま、ベルンハイム城へ連行されることとなった。


 「……く、くそぉ、魔王さまぁ……」


 この後、アシュタリテはベルンハイム城にてルカンにて〈邪神の因子〉の依代にされることとなる。



 ◆◆◆◆


 

 そして、現在、インヴェルノの【狐今亭】にて……



 たった今、目の前に出現したのは紛れもなくアシュタリテだった。

 アランドラでのスタンピードを画策した三人の魔人の内の一人だ。

 確かラセツと一騎打ちの果てに倒されたはずだ。


 そのアシュタリテが何故ここにいる?


 「……どこだここは?」


 アシュタリテが周囲を見渡しそう呟く。


 「……わからん、何故俺はここにいる?……何だ?一体どうなってやがるんだ!?」


 現在の状況が自分でも全くわかっていないらしく、苛立ちを露わにするアシュタリテ。

 その体からは、先程のジョルジュのような赤い闘気のようなものが立ち昇っている。


 ……あれはまさか、〈憤怒〉の効果か?


 アシュタリテが生み出される前の肉塊の状態の時に、ヴァラクを丸ごと取り込んでしまった。

 その時にヴァラクが所有していたスキルも吸収してしまったのだろうか?


 俺はアシュタリテに〈鑑定〉を使用する。


 名称  : カオス・アシュタリテ

 クラス : 混沌の魔人

 ランク : A

 Lv  : 1

 HP  : 4260/4260

 MP  : 3961/3961

 攻撃力 : 4120

 防御力 : 3657

 魔法力 : 4210

 素早さ : 4680

 スキル : 闇魔法〈Lv9〉

       暗黒剣〈Lv9〉

       黒雷

       憤怒

       魔獣変化


 

 ……Aランクだと!?


 これはまずいぞ。

 ステータスも今の俺を軒並み上回っている。

 進化したばかりなのだろう、レベルは1のままだが、それでもとてつもなく恐ろしいステータス値を持ってやがる……


 これじゃあ俺やガオウはともかく、玉藻やローザだと一瞬でやられてしまうぞ!

 二人だけでも何とか逃がせないだろうか。


 「あん?何だお前らは……いや、お前は見覚えがあるな」


 アシュタリテが俺の顔を見ながらそう言った。

 やはり俺の顔は覚えているようだ。

 

 「確かお前は……ああ、思い出してきたぞ!お前は……俺の邪魔をしやがった糞野郎じゃねぇかぁぁぁ!!!!」


 その瞬間、アシュタリテに今までよりも色濃い赤いエフェクトが宿る。

 恐らく〈憤怒〉の効果が更に上乗せされたのだろう。


 まずいな、〈憤怒〉のスキルがアシュタリテの気性にドンピシャでハマってやがる。

 このままだと、この後更にステータスが上昇するだろう。


 「お前はぁぁ!!!絶対に殺してやるからなぁぁ!!!」


 そう言いながら右手を前に差し出すアシュタリテ、その右手の手の平から肉の塊が盛り上がってくる。

 そして、その肉塊はやがて剣のような形状を形作っていく。

 最終的には見覚えのある黒い剣の形状へ変化した。


 「……あれは、ヴァラクか」


 間違いなく、先程まで俺たちと戦っていた〈黒雷剣・ヴァラク〉だった。


 「死ねぇぇ!!!!」


 アシュタリテは翼を広げたかと思うと、勢いよくこちらに向かってくる。


 「ちくしょう!〈魔王の盾〉〈魔王剣〉!」


 俺もスキルを使用し、迎撃態勢を整える。


 「ガオウ、加勢しろ!ローザと玉藻は隙を見て逃げるんだ!」


 「おう!!!」

 「言われんでも逃げさせてもらうわぁ!!!」

 「わかりました!!!」


 各々の返事を聞きながらアシュタリテを迎え撃つ。


 アシュタリテは凄まじい速度で突っ込んでくる。

 ステータスは幾分向こうに分がある。


 油断すれば……即座に負けてしまうだろう。


 「おらあ!」

 「負けるかっ!」


 お互いの剣がぶつかり火花が散る。


 復活した魔人、アシュタリテとの最終決戦の火蓋が、今切って落とされた。


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