第7話 ゴブリン退治へゴー!
「ふあぁ……めちゃくちゃ寝たな」
俺は欠伸をしながら、ベッドから起き上がった。ずっと屋内にいるため、時間感覚は完全に死んでいるが体感で八時間は寝てた気がする。大きいお風呂に美味しいご飯、その後たっぷりと睡眠を取る……誰がどう見ても絶好調ですわ。
神様俺頑張るよ。災厄とかは知らんけど。
準備を整えて玉座の間に移動する。シオンはまだ来てない様だ、寝てるのかな?
とりあえず、現在のステータスを確認してみるか。
ランク : C
Lv : 15
HP : 902/902
MP : 882/882
攻撃力 : 643
防御力 : 582
魔法力 : 801
素早さ : 799
スキル : 魂の共有
鑑定
闇魔法〈Lv3〉
おお、一気にレベル15まで上がっている。一気に地下10階まで駆け抜けてフロアボスまで倒したんだから当然か。
新たな闇魔法も習得出来たし、このままどんどんレベルを上げて行くか。
「あっ、魔王様ー!おはようございます」
シオンがパタパタと飛びながらやって来た。
「おう、おはよう、シオンも寝てたのか?」
「いえいえ、私には睡眠も必要ありませんので」
……睡眠もいらないのか、食事も睡眠も必要無いとは、一体どういう存在なんだ?どうせ聞いてもはぐらかされるし、いつか教えてもらえるのかな。
「魔王様は物凄い勢いで寝てましたね、私ずっと待ってたので暇で暇で、何回叩き起こしてやろうかと思った事か」
「何それ怖いんだけど!でも、お陰様で絶好調だ、いつでも出発できるぞ」
「それは良かったです、今回はどちらのフロアを探索されますか?」
……そうだな、前回は地下10階のフロアボスを問題無く倒すことが出来た。今度はもう少し深い階層を探索しても良いかもしれない。
「シオン、地下11階より下のフロアボスの情報はわかるか?」
「はい、もちろんですとも!」
さすがシオン、このダンジョンの事なら本当に何でも知ってるな。
……シオンに聞いた限りでは地下11階より下のフロアボスはこんな感じらしい。
地下20階 キラートレント ランクC
地下30階 大鬼蜘蛛 ランクC
地下40階 アサルトベアー ランクC
地下50階 ゴブリンキング ランクB
「……あれ?地下60階からの情報は無いのか?」
「ああ、言い忘れてましたけど地下51階から下は今の魔王様ではまだ入れませんからね」
「そうなのか?」
「はい、今の魔王様では行った所で瞬殺確定です。解放条件はランクBへの昇格です」
ランクBか、後一段階上げれば良い訳だが、まだまだ先にはなりそうだ。
しかし、気になるのは地下50階のフロアボス「ゴブリンキング」の存在だな、他のフロアボスと違い、ランクもBとなっている。こいつを倒さなければそれより下には行けないということだろう。
さて、次はどの階へ出掛けるか、暫く考えた後に一つの答えを出した。
「とりあえず次は地下41階へ行こうと思うんだ」
「いきなり地下41階ですか?別に反対はしませんけど、どうしてですか?」
「地下50階のフロアボスがゴブリンキングということは、恐らくゴブリンの大群が発生しているはずだ、レベリングには持って来いだからな」
これは『NHО』では誰もが知る代表的なレベリング方法の一つだ。ゴブリンキングがいる所、ゴブリンの大軍団あり、ゴブリン一匹一匹は大した強さでは無いが、基本的に群れているため大量の経験値獲得が見込める。更に奴らの中には進化を遂げたゴブリン達も混ざっており、その進化ゴブリン達の経験値もまたかなり美味しいのである。
「経験上、地下41階まではゴブリンの群れに占拠されてるはずだ。さすがにまだゴブリンキングには出会いたくは無いから一番遠いフロアから攻めて行こうと考えている」
「ほー、魔王様もたまには頭を使うんですね」
「お前絶対に俺の事を馬鹿にしてるだろ」
何はともあれ、俺の作戦が採用され、今回の探索は地下41階から行うことになった。
「よし!それじゃあ早速地下41階に転送してくれ」
「了解です。それでは、転送用魔法陣起動!」
再び出現する青白い光を放つ魔法陣、その魔法陣の中央に立つと、瞬く間に景色が変わる、どうやら無事に目的地へ転送された様だ。
「おお、密林階層か」
「何かジメジメして嫌な感じですねー」
『NHО』の〈大迷宮〉でも存在した密林階層、そこは周囲に木々が生い茂っており、まるでジャングルの様な密林が広がっていた。
「よーし、それじゃあ探索を開始しよう、シオンも付いてきてくれ」
「はーい、了解です」
とりあえず、適当に生い茂る木々をかき分けて進んでみる……
しばらく歩いていると、早速モンスターが出現した。
緑色の人型のモンスター、ゴブリンである。
1体で木の陰に座って休憩している様だ、傍らに棍棒を置いて座り込んでいる。
「やっぱりこのフロアで出会うのはゴブリンだな。とりあえず〈鑑定〉」
名称:ゴブリン
ランク:E
HP : 46/46
MP : 4/4
攻撃力 : 25
防御力 : 23
魔法力 : 0
素早さ : 15
スキル : 棒術〈Lv1〉
眷属化成功率 : 80%
いわゆる、どノーマルなゴブリンだな、ステータスも低く進化もしていない、恐らく一撃で退治できるだろう。
他のゴブリンに気付かれない内にさっさと仕留めてしまうか。
「〈ダークアロー〉!」
「ギィ!!」
俺の掌から黒い閃光が飛び出しゴブリンを貫く。
一撃でゴブリンのHPを削り切り、粒子となって消滅した。
やはり、大したことないな、このフロアには問題のゴブリンキングもいない、ということは狩り放題じゃないか。
何てことを考えていると、向こうの方から新たな気配が……何者かがこちらに向かっているな。
息を潜めて注意していると、新たなゴブリンが3匹連れ立って歩いてくるのが見えた。
真ん中のゴブリンは両端のと違い、一回り体格が大きく、装備も少し豪華な感じがする。
試しに〈鑑定〉を使ってみると、
名称:ホブゴブリン
ランク:D
HP : 102/102
MP : 34/34
攻撃力 : 85
防御力 : 74
魔法力 : 0
素早さ : 45
スキル : 槍術〈Lv2〉
眷属化成功率 : 70%
……ホブゴブリンか、ゴブリンの進化系であり、ステータスもさっきのゴブリンよりも遥かに強力だ。
だが、まだまだ雑魚の域を出ていない、こんなランクの雑魚モンスターには手間取ってはいられないな。
「先手必勝!〈ダークアロー〉!」
〈ダークアロー〉を放つと同時に剣を抜きながら駆け出し、ゴブリン達に飛び掛かる。
向かって左のゴブリンに〈ダークアロー〉が着弾すると同時に、真ん中のホブゴブリンへ斬撃を加える。
ホブゴブリンは慌てて槍を構えて剣をいなそうとしてきたが、間に合わず肩口にまともに剣を受け、そのまま粒子となった。
そして、返す刀で残るゴブリンの喉元に剣を叩き込んだ。
一呼吸で進化系も含む、三匹のゴブリン達を撃破することが出来てしまった、自分に酔いしれながら呟いた。
「ふふん、完璧だな……」
「魔王様?ひょっとして自分に酔ってます?」
「いやいやーそんなことないって!!!」
「テンション高いですね、見てて何かしんどいです」
「頼むからそんな冷めた目で見ないでくれ」
とりあえず、このフロア一帯のゴブリンは全て狩ってしまうか。俺は、このフロアのゴブリン達全てを殲滅すべく歩き出した。
「こいつら全員皆殺しにしてやるか……」
「わー、魔王様悪い顔してますね、どっちがゴブリンだかわかりませんよ」
「……俺って一応魔王っていう設定なんだよね?」
……一時間後
あれから、ひたすらフロア内を徘徊し、ゴブリン達を狩り続けた。
「この辺りのゴブリンは粗方狩りつくしたかな?レベルも上がったみたいだし、一度ステータスを確認してみるか」
名称:ヤクモ スメラギ
クラス : 見習い魔王
ランク : C
Lv : 20
HP : 1113/1113
MP : 1079/1079
攻撃力 : 783
防御力 : 774
魔法力 : 960
素早さ : 910
スキル : 魂の共有
鑑定
闇魔法〈Lv3〉
一気にレベル20まで上がっている。
やはり、ゴブリン狩りは序盤のレベリングに最適だな。この辺りのゴブリンは、進化系も含めて百匹近く狩ったかな?こうなったら、もう少しレベリングを続けたいが……
「とりあえず、もう1階下へ降りてみるか」
俺はそのまま下へ下りる階段を発見しそのまま地下42階へ下って行った。
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