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第14話 金獅子

本日2話目の投稿です!

見逃した方は1話戻って見てください!


長い事休載していた分、たっぷり書きますよぉ!!!!

 謎の獅子男は、現在悪魔型の魔物と激闘を繰り広げている。

 シオンの熱烈な要望もあり、その背後から〈鑑定〉を使用することにした。


 (まさか、こんな所で王の資質スキル持ちに出会う訳ないよなぁ……) 



 名称:金獅子

 ランク:C

 HP  : 643/1220

 MP  : 178/460

 攻撃力 : 1254

 防御力 : 880

 魔法力 : 0

 素早さ : 1209

 スキル :体術〈Lv7〉

      獣王の資質

 眷属化成功率 : 100%


 

 「はい、出たぁ!!!!」

 『ほれ見たことかぁ!!!!』


 半ばお約束の様に声が出てしまう。


 毎度毎度そんな事があってたまるかと驚いてしまう程の運の良さだ。


 いやいや、俺がダンジョンを出て1つ目の街ですよ?


 そこでもう新しい仲間候補を見つけちゃうわけですかい?


 『魔王様、魔王様?』

 「ん?どうしたシオン」

 『私が見つけたんですよ?すごいでしょ?もっと褒めて下さい』

 「うん、凄すぎてちょっとびっくりしちゃったわ、見直したわー」

 『驚きすぎて褒められなくなるパターンってあるんですねー』


 驚嘆のあまりよくわからないやり取りを繰り返す俺達を尻目に、獅子男改め金獅子が悪魔型の魔物と戦いを続けていた。


 ちなみに敵の魔物の方にも〈鑑定〉を使用したが、アビスデーモンという名前のBランクモンスターだった。

 Bランクモンスターということは間違いなく〈サルヴァの古城〉のボスだろう。

 ザルガデウス達に強化された魔物の1体と思われる。


 2体の魔物は金獅子がCランク、アビスデーモンはBランク。

 普通に考えればアビスデーモンの方が格上のはずだ。


 しかし、どう見ても金獅子の方が優勢だ。

 

 恐らくステータスはアビスデーモンの方が高いのだが、金獅子の方が何というか戦い方が上手いのだ。


 大振りの攻撃を繰り返すアビスデーモンに対して、素早いフットワークを繰り出し、隙を突く様な攻撃を繰り返している。


 ……これはそのまま倒してしまうんじゃないだろうか?


 そんな考えも頭によぎる程の戦いぶりを見せてくれている。


 「ふん!そんな大振りの攻撃ばかりで当たるものかよ!俺様を舐めるなよぉ!」

 「グォォォォォオオオオオオオ!!!!!」


 巧みにヒット&アウェイを繰り出し続け、主導権を握りっぱなしの金獅子に業を煮やしたのか、アビスデーモンが大きな咆哮を上げて威嚇している。


 「そんな大声を出してないでさっさと掛かってこい」


 金獅子が挑発をしながら手招きをすると……


 「ガアアアアアアアアア!!!!!!」


 アビスデーモンが見るからにブチ切れながら口を大きく開けてブレスを吐き出した。


 「ぬうん!獅子旋風掌ォ!!!」


 金獅子はなんと両手の掌を激しく回転させてながら突き出した。

 すると、金獅子の正面に旋風が巻き起こりブレスを搔き消してしまった。


 「……ガアァ!?」

 

 驚きを隠せないアビスデーモンの懐に金獅子が飛び込むと……


 「男同士の勝負に飛び道具とは、笑止千万!そのまま死ねぃ!獅子吼拳破ァァァ!!!」


 金獅子の必殺の拳がアビスデーモンの顎にまともにぶち込まれると、頭部がそのまま吹き飛んでしまった。


 その様子を見ていた俺とシオンは……


 「あいつBランクに1人で勝っちゃったなぁ……」

 『……ていうかあの人って魔物ですよね?何か技名叫んでませんでした?』


 何というか恐ろしいものを見てしまった気がする。


 シオンの言う通り、あの金獅子って奴はまだ魔物のはずだ。


 それが人間さながらの体術を駆使して格上の魔物を倒してしまう。

 更には、決め技なんて使っていたぞ。


 リンネは別としても、ラセツやコダマ、オボロなんて進化前は満足に話すこともできなかったのに……


 (……まさか、王の資質スキルの効果が上昇しているのか?)


 一つの仮説が頭に浮かぶ。


 そういえば、この金獅子のランクはCだ。

 他の仲間たちに魂の共有(ソウル・シェアリング)を使う前のランクは確か軒並みDだったはずだ。


 この事からも、王の資質スキルを持った魔物が以前にも増して強化されてしまっているという事が想像できる。


 俺達は、未だに興奮冷めやらぬ様子で肩で息をし続けている金獅子に近付く。


 「よう、見てたぞ、凄まじい戦いぶりだったな」

 「ん?ああ、あの魔物と戦っている最中に他の魔物を倒していた奴か。横目で見ていたがお前もまあまあ強かったぜ」


 俺の呼びかけに爽やかな笑顔を浮かべながら親指をぐっ!サムズアップしてくる金獅子。


 ああ、多分こいつを仲間にしたらラセツやコダマとは揉めるんだろうなぁ……


 『魔王様、私もこいつはちょっと鼻につきますね……』


 既にシオンも危険を感じ取っているみたいだ。


 金獅子は周囲を見渡しながらぼどっと呟く。

 

 「なあ……周りで魔物達を片っ端から倒しまくってる奴らもお前の仲間なのか?」


 どうやらラセツ達の事を言っているらしい。

 仲間たちは今も現在進行形で周囲の魔物達を駆逐中だ。


 ボスの魔物を失った事もあり、最早ボロボロで全滅するのは時間の問題だろう。


 「ああ、そうだけど?」

 「すごいな……全員馬鹿みたいに強いじゃねえか」


 どうやらラセツ達の強さには気付いているらしく、素直に褒めている様だ。


 「すごいだろ」

 「ああ、とてつもなくな……それでお前はもっと強いのか?」


 突然、鋭い眼光を向けられてしまった。

 さながら獲物を品定めする獣の様な眼光だ。


 「まあな、一応あいつらのリーダーをやらしてもらってる」

 「へえ、すげえな……お前が一番強いってことか」

 「そうなるな」


 俺が答えた瞬間、金獅子がニヤリと笑う。

 いやいや、この後の展開がわかってしまうが。


 …………別に戦いたくねえよ!!!


 絶対に次は俺と戦えとか言ってくるやつじゃん!


 「お前、次は俺と戦わねえか?」


 ほらきたー!!!


 やっぱり言ってくるし、この野蛮獅子め。


 「いや、お前とは戦う理由が……」

 「頼む!この通りだ!理由なんていらねえ!俺は強い奴と戦うのが大好きなんだ!」


 両手を頭上に合わせて頼み込んでくる金獅子。

 いやあ参ったな、こんな展開になるなんてなぁ……


 そうこうしている内に周囲の魔物がかなり倒されてきた。

 後少しで全ての魔物が殲滅されるだろう。

 そうすると必然的に仲間達もここに戻ってくることになる。


 ……そうなるとまたややこしい事になりそうだ。

 ラセツ達、こいつの態度に怒るだろうなぁ。


 『迷ってますねぇ魔王様、一つ私に名案があるんですが聞いてみます?』

 「なんだ名案って?一応聞いとこうか」

 『い、一応……はああ、しっかりと聞いて下さいね…………』


 ……なるほど、シオンの案を聞いてみると存外悪くはなかった。

 あんまり気は進まないけどこの作戦で行ってみるかぁ……


 「よし、良いぜ。お前と戦ってやるよ」

 「ほ、本当か!有難ぇ!!!」

 「ただし、条件がある」

 「条件だと!?一体何だってんだ!?」

 「条件はだなぁ……俺が勝ったら『お前俺達の仲間に入れ』」


 ……よし最初からこうしておけば良かった。


 後はこいつをボコボコにして……


 仲間に引き入れるのみだ!

 


 

 

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