第13話 意外な援軍
久しぶり過ぎる更新です!
お待たせしましたぁ!!!
かなりプロットも固まって来たので少しずつ更新していければと思います!
「……ふう、これで粗方片付いたかな」
全力で放った〈魔王神滅煉獄剣〉で視界に群がっていた魔物の群れを消し飛ばした直後……
同時に戦っていたザルガデウスの姿も見えない。
どうやら跡形も無く消滅してしまった様だな。
『魔王様!さすがですね!』
「ああ、シオンのおかげでかなり楽ができたな」
『はい、全て私のおかげですね!』
「すぐに調子に乗っちゃうんだよなぁ」
シオンが上機嫌で話し掛けてくる。
どうやら、ラセツやオボロもそれぞれ戦っていた魔人を倒したみたいだし、残りの魔物も大した数は残っていない、ということはこれで一件落着となるのかな?
そんな事を考えていると……
「おーい!ヤクモー!!!!」
少し離れた場所から声が聞こえてきた。
エレールとグライフだ。
「おお、無事で何よりだ」
「……ああ、とりあえず礼を言う。君達がいなかったらアランドラは滅びていた」
深くお辞儀をしながら礼をする2人。
しかし表情がかなり焦っている様に見えるのが気になるが……
「……ひょっとしてまだ何かあるのか?」
「ああ!今報告が入ったんだが、私たちがいる反対側……アランドラの裏門の方に別の魔物の群れが出現したらしい!」
「何だって!?」
「数は約千体……主に悪魔系統の魔物で統一されているらしい、どうやら〈サルヴァの古城〉に巣くうモンスター達が襲撃してきているみたいだ」
〈サルヴァの古城〉、確かアランドラの近郊にあるダンジョンだ。
確かダンジョンのランクはC……
「やられたな!あいつらもう1つダンジョンに手を加えてやがった!本体とは別に別動隊を準備していやがったとは!」
グライフが悔しそうに掌に握り拳を打ち付ける。
「シオン!転送用魔法陣は使えるか!?」
『いいえ、魔王様……さすがに全く知らない場所へは向かえません……」
「……ちっ、仕方ない走って行こう!」
『……今舌打ちしませんでした?」
「こうはしてられん!俺は急いで救援に向かう!エレールは案内してくれるか!?」
「……?わかった!グライフはこの辺りの残存の魔物を駆逐してくれ!」
「おうよ!」
『……ちっ』
シオンとの声は他の人には聞こえない。
だから1人でぶつぶつと言ってたの俺の事を訝し気に感じているエレール達とさりげなく舌打ちを返してきたシオンを尻目に……
俺は上空目掛けて〈ダークボール〉を放つ。
これは広い戦場で仲間達とはぐれた時のために決めていた合図だ。
《すぐに集合せよ》の意味を持つ。
いち早く馳せ参じたのはやはりオボロだった。
さすが、忍者ともいうべき速度でしゅたっと目の前に出現する。
「オボロ、参りました」
次にラセツ、大剣を担ぎながら物凄いスピードで駆けつける。
「主よ!どうしたのだ!?」
さらにそう間を置かずにコダマとリンネが合流した。
騎士系統と僧侶系統の2人はオボロ、ラセツと比べたら素早さはどうしても落ちてしまうが、ステータスが高いだけあって他の人間たちと比較したら十分素早い。
結果として、俺が合図を送ってから3分程度で全員集合出来た。
「よし!理由は走りながら話す!エレール、案内してくれ!」
「ああ、わかった!着いて来てくれ」
エレールが全力で走り出す。
さすがにランクBの冒険者、俺達には劣るとは言え、人間にしては十分速い。
「頼むぞぉ!」
グライフが斧を振りかざし、残りの蟲の魔物達を倒しに向かう。
グライフもギルドマスターだ。
これ程の数ならば十分倒しきれるはずだ。
恐らくアランドラの戦力の大半はこちら側に集中していた。
つまり裏門にはほとんど戦力は残されていないはずだ。
俺の脳裏に蹂躙されている街の光景が浮かぶ。
(……頼む!間に合ってくれ!)
5人で全速力で駆け抜ける。
たまに、生き残った魔物が単体で襲い掛かってきたが、それぞれが一瞬で処理しながら走り続ける。
そうこうしているうちにスピードはグングンと加速して行き……
あっという間に裏門が見える場所まで近付いてきた。
「見えたぞ!裏門だ!」
エレールが叫ぶ。
俺達の目に飛び込んで来たのは、悪魔系統と思われる魔物の群れが裏門の付近に群がっているところだった。
「……よし!まだ突破されてないぞ!皆、頼むぞぉ!!!」
俺が叫ぶと同時に仲間の四人が弾ける様に散りながら攻撃を繰り出し始める。
「オオオオオオオオ!!!!」
ラセツが雄々しく叫びながら大剣を薙ぎ払う。
一振り毎に夥しい量の魔物達が吹き飛ばされていくのが見える。
「我々も行くぞぉ!〈樹霊神槍〉!」
コダマもスキルを使用しながら魔物群れに突っ込んでいく。
オボロ、リンネも同様にどんどん魔物を駆逐していく。
「エレールは俺と一緒に門へ向かうぞ!」
「ああ!」
2人で門に群がる魔物達を優先的に叩こうとしたが……
そこに悪魔達が群がってくる。
「邪魔だぁ!〈ダークスフィア〉!!!」
すかさず〈ダークスフィア〉を撃ち込み大爆発を起こす。
魔物達は派手に爆散し、目の前には一直線に道が開ける。
「……すごいな」
「へへ!さっさと行くぞ!」
驚嘆するエレールを尻目に門へ向かう。
持ち応えているとは言え、相手は千体の魔物、油断は禁物だ。
「もうすぐ!門に着くぞ!」
群がってくる魔物達を振り払いながら門に近付いた俺達の目に飛び込んできたのは……
激しく戦う2つの存在。
1つは悪魔の姿をした巨大な魔物と……
そしてもう1つの存在は……
猛々しく拳を振るい、金色の長い髪を激しく振り乱しながら戦う、獅子の様な戦士だった。
「……あれは!?一体何者だ!?」
どうみても見た目は魔物に見えるが……
裏門をモンスターから守っているのはあいつだ。
というか、裏門が今現在持っているのはあいつが戦ってくれているからか!?
相手は巨大な悪魔の姿をした魔物だ。
周囲の魔物の反応を見るに、あいつが〈サルヴァの古城〉のボスではなかろうか?
とにかく状況確認と、裏門を守るべく急接近する。
裏門の周囲には数は少ないが冒険者の姿も、ちらほらと確認できる。
これだけの数の冒険者で千体近い魔物から門を守り切れているのは奇跡に近い。
「とにかく間に合ったぁ!大丈夫か!?〈魔王剣〉!!!」
裏門の周辺の魔物へ向かって全力で〈魔王剣〉を放ち、辺り一帯を一気に吹き飛ばす。
「な、何だ!?とにかく助かった……」
何とか耐えていたとは言え、既に限界を迎えていた冒険者達がへなへなと崩れ落ちる。
もはや気力だけで持ち応えていた様だ。
「よく持ち応えたぁ!〈バーニングジャベリン〉!!!」
エレールも炎の槍をぶちかまし、魔物を次々と葬っていく。
遠くでは仲間達が次々と魔物の数を減らしていくのが確認できる。
……よし、これならもう大丈夫だ。
これでアランドラが墜ちることは無い。
一先ず安心しながら周囲の魔物を撃破していく。
少し離れた場所では獅子の様な男が大型の魔物と激戦を繰り広げていた。
「はっはぁ!やるな貴様ぁ!俺とここまで戦えること……褒めてやるぞぉ!!!」
獅子男は笑いながら剛拳を魔物に叩き込み続ける。
魔物方も負けてはいない。
両手に大きな大剣を持ち激しく振り回しながら獅子男を追い詰める。
見た感じは互角……
いや少しだけだが魔物が有利か?
「ぐははぁ!まさかこんな所で貴様の様な好敵手と出会えるとはなぁ!」
それでも獅子男は楽しそうだ。
相手は魔物なのに好敵手とか呼んでるし。
(まじであいつは何者なんだ?)
理解のできない存在に頭の中で整理が追い付かない状況だったが……
『魔王様!何やってるんですか!?早くあいつに〈鑑定〉を使用してください!』
「……〈鑑定〉だとぉ!?まさかあいつがかよ!?」
『見るからにその可能性は大じゃないですか!』
そんなまさか……いや、そう言われたらそうなのか。
シオンに言われるがまま、俺は謎の金髪獅子男に〈鑑定〉を使用した。
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