表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/85

第11話 オボロ VS ディクルーゼ

 ラセツとアシュタリテが戦い始めた頃――


 少し離れた場所で、もう一つの戦いが始まろうとしていた。


 オボロは、両手に太刀を持ちディクルーゼの隙を伺っている。


 相手のディクルーゼは、鞭を振るいながら同じくオボロの隙を狙っている。

 鞭を一度振るう度に蛇のように唸りながら、地面を薙ぎ払う。


 「うふふ、早くあなたの顔をこの鞭で引き裂いてやりたいわね」

 「…………」

 「あら?聞こえないのかしら?それとも私の鞭捌きに恐れをなしているのかしら?」

 「………………」

 「ふん、どうやら後者のようね、おとなしく降参するのであれば、苦しめずに楽に殺してあげるわよ?」

 「……………………」

 「き、聞こえないのかしら?それとも恐怖のあまり硬直しているのかしら?ん?いいから返事をしてごらんなさいな?」

 「…………………………」

 「こらぁ!無視してんじゃねえぞてめえ!!!」


 オボロの無反応具合についにディクルーゼが切れた。


 鞭を大きく振りかぶりオボロへ叩きつける。

 オボロは一瞬で後ろへ下がり回避し、姿勢を低く構えなおした。

 

 バチィィンと激しい音がし、先程までオボロがいた場所をディクルーゼの鞭が薙ぎ払う。


 まるで何かを爆発させたかのように地面が抉れている。

 このことからもディクルーゼの鞭がかなりの威力を持っていることがわかる。


 「避けてんじゃねえぞこらぁ!!!」


 すかさず、鞭を操り、様々な角度から叩きつけてくる。

 まさに変幻自在、凄まじい鞭捌きでオボロに攻撃する隙を与えなかった……


 

 ――ように見えた瞬間、オボロの姿が消える。


 「なに!?どこいったぁ!」


 ディクルーゼが声を張り上げながら周囲を見渡すと……


 「……ここだ……」


 足元からぼそりと発せられた声に、青ざめながら下を見るディクルーゼ。

 極限まで姿勢を低くし、足元に潜り込んだオボロと目が合う。


 「……〈忍法・爆炎陣〉……」


 超近距離から容赦なく放たれたスキルによって大爆発を引き起こし、ディクルーゼを吹き飛ばす。


 辺り一面が粉塵まみれになるが、確実にディクルーゼを爆発に巻き込んだ。


 オボロは粉塵の中にディクルーゼの姿を探すべく目を凝らす。


 ――その時、粉塵の中から鞭が蛇のようにしなりながら飛び出してきた!


 「!!」


 オボロは目を見開きながら回避を試みるが、間に合わず、太もも辺りに鞭を喰らい、鮮血が舞った。


 「やっと当たったわねぇ……よくもやってくれたなぁ、この糞やろうがぁぁ!!!」


 粉塵の中から、髪の毛が爆発のせいでえらいことになっている。


 「私の美しい髪をよくも……よくもぉぉぉ!!!」


 ディクルーゼがブチ切れながら鞭を更に激しく振り回す。


 「小間切れになるがいいわ! 〈暗黒乱舞鞭〉!」


 今度は鞭に闇の闘気を纏わせ攻撃してくる。

 どうやらディクルーゼの渾身の必殺技らしい。


 「……〈幻影操術・蛇の型〉……」


 オボロは幻影操術を使用し、影を肥大化させる。

 肥大化した影は、更に形状を変化させ、数十匹の蛇を形どる。


 「そんな小細工通用するかよぉ!」

 「…………!!!」


 ディクルーゼの闘気を纏った鞭と、オボロが放った影蛇たちがぶつかり合う。

 凄まじい衝突音や破裂音がそこら中で鳴り響き、その都度、衝撃波を発生させる。


 「ちぃぃ!まさか全て防がれるとは!」


 自信を持って放った渾身の必殺技を完全に防がれてしまい、さすがに焦りを隠せないディクルーゼ、戦闘の当初にあった余裕は完全になくなり、凄まじい表情でオボロをにらみつけている。


 「いい加減くたばれよぉ!」


 怒りに任せて鞭の攻撃を放つ。


 「……ぬるいな……」


 あまりにも不用意に放たれた一撃に合わせて、素早い動きでディクルーゼの下へ突進する。

 タイミング的に完璧に遂行されたオボロの突進は鋭く、ディクルーゼに鞭を引き戻す暇はなかった。


 「……〈分身の術〉……」


 その隙を逃すまいと、スキルを使用し、二体に分身するオボロ、そのまま両手に持った太刀を構えながら距離を詰め、凄まじい速度で斬りつける。


 「ぎゃぁぁあ!!!」


 二体に分身したオボロは、縦横無尽にディクルーゼに太刀を見舞い、HPを凄まじい速度で減少させていく。


 「……あががが、このまま……終わってたまるかぁ! 〈ダークフレイム〉!」


 ディクルーゼが捨て身で放った〈ダークフレイム〉は周囲一帯を自分ごと焼き尽くす。


 オボロは間一髪逃れたが、分身は今の〈ダークフレイム〉で消滅してしまった。


 「……はあ、はあ、私がここまで追いつめられるとは……」


 オボロの攻撃から逃れるためとはいえ、自らを〈ダークフレイム〉で焼いてしまったディクルーゼは、既に瀕死の重傷を負ってしまっている。


 「……かくなる上は!」


 ディクルーゼの最後の抵抗に備えてオボロが構えるが――


 

 ディクルーゼの取った行動は、羽を広げて逃げることだった。


 「あはははは!ダメージを回復させたら必ず殺しにきてやるからね!」


 さっきまでの状態が嘘のような素早い動きで飛び去っていくディクルーゼ。


 その姿を見つめていたオボロは、深いため息をついた後……


 「……〈幻影手裏剣〉……」


 スキルで再び影を集め、巨大な手裏剣を作り出す。

 そのまま、飛行しながらどんどん遠ざかるディクルーゼに向かって全力で投擲した。

 

 オボロが放った手裏剣は凄まじい速度でディクルーゼに迫っていき――


 

 「あははは!私を追い詰めながら逃げられてあいつも悔しいだろうに!……ん?」


 高笑いを続けるディクルーゼは不意に背後から聞こえる風切り音が気になり後ろを振り向き様に……


 首を飛ばされて絶命した――


 首と胴体に分かれたディクルーゼはそのまま墜落していく。


 オボロ VS ディクルーゼは、オボロの完膚なきまでの完勝に終わった。


 


 

 

いつも読んで頂きありがとうございます。

ストックが切れてしまったため、次回から少し更新が不定期になります。

頑張って執筆しますので、お楽しみに待って頂ければ有難いです。


評価やブクマ、いいね等、本当に励みになっております。

引き続き、お楽しみ下さい。


少しでも面白いと思って頂けましたら、評価をお願いします。下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります。

ブックマークも頂けると非常に喜びますので、是非宜しくお願い致します。


良ければ、感想もお待ちしております。


評価や、ブックマーク、いいね等、執筆する上で非常に大きなモチベーションとなっております。

いつもありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ