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第29話 アサルトベアー討伐戦

本日、第26話を上げ忘れるという致命的なミスを犯してしまったので、自戒の念を込めて、明日の朝公開予定だった第29話まで公開します!


ストックが減る……?

そんなの頑張りでどうにでもなる!


皆様、面白かったらブクマ&評価の方、よろしくお願いします!

 「――思ったより早く到達出来たな」


 あれから俺達は破竹の快進撃とも言える程に突き進み、あれよあれよという間に地下40階へ到達してしまった。


 このフロアには、フロアボスのアサルトベアーが待ち構えている。

 キラートレントや大鬼蜘蛛と違い、このフロアにはアサルトベアーしか出現しないらしい。

 高いステータスでひたすら攻撃を繰り出して来るアサルトベアー、この先に待ち構えているゴブリンキング戦へのリハーサルにはぴったりである。


 地下31階からここまでの戦闘でオボロはもちろん他のメンバーもレベルはそれなりに上昇している。

 各々がやるべき事をしっかりやれば負ける要素ははっきり言って一つも無い。


 高鳴る鼓動を抑えながら先に進んでいくと、フロアの中央に鎮座しているアサルトベアーが見えた。

 身長は五メートル程だろうか、想像していたよりもかなり大きく感じる。

 鋭い眼光でこちらを睨み付け、全身に銀髪に近い剛毛を生やし、その全てが凄まじい勢いで逆立っている。

 〈鑑定〉を使用してみると……


 名称:アサルトベアー

 ランク : C

 HP  : 1840/1840

 MP  : 0/0

 攻撃力 : 1140

 防御力 : 880

 魔法力 : 0

 素早さ : 1020

 スキル : 狂化


 ステータスは想像通りかなり高い、だが順調に成長してきた俺達と比較してしまうと、幾分物足りなく思えてしまう。

 気になるのはスキルの〈狂化〉だ、何やら不穏な気配がするので警戒しておいた方が良いだろう。

 ……とは言え苦戦する要素は少ない、さっさと倒してしまいゴブリンキング戦への踏み台となってもらおう。


 「各自、準備は良いか? 油断はせずに確実に倒してしまうぞ!」

 「おお!」


 ラセツを始め、皆がそれぞれ返事をする。

 どうやら準備は万全の様だ。


 「よし……行くぞ!」


 それぞれが武器を構えアサルトベアーへ向かって行く。


 「グルルルルルゥアアアアアア!!!」


 それを見たアサルトベアーが激しく牙を剥き、迎え撃つ姿勢を見せた。


 オボロが素早い動きでアサルトベアーの背後に回り、ラセツも大剣を構え隙を伺っている。

 まずはコダマが盾を構えながら正面を陣取る、その瞬間アサルトベアーが丸太の様な太さの剛腕で薙ぎ払ってくる。


 「ぬうん!」


 黒光りし鋭く湾曲した爪がコダマの盾を捉え、激しく表面を削り取った様な音が鳴る。

 しかしコダマは強力な踏ん張りを見せ一歩も引かない、あの巨大なアサルトベアーの渾身の薙ぎ払いに真正面から耐えて見せた。

 

 「よし、良く耐えたぞ。今度はこっちの番だ、行くぞラセツ、オボロ」


 全力の一撃をコダマに撃ち込んだため、アサルトベアーには大きな隙が出来た。

 もちろん、その隙を逃すなんて選択肢は無く、全力で反撃にかかる。


 「おおお! 〈鬼王剣〉!」

 「……〈火遁の術〉……」

 「〈ダークフレイム〉!」


 俺とオボロが前後から火炎攻撃で挟み撃ちにし、その隙にラセツ最大の必殺スキル〈鬼王剣〉を撃ち込む。

 今回のレベル上げの最中に編み出した必殺の連携である。


 「ガァァァァ!」


 前後から強力な炎で焼かれたアサルトベアーは両腕を激しくぶん回し抵抗している。

 そのため、強力な闘気を剣に纏わせ突っ込んでくるラセツに気付いていない。


 「もらったぁぁぁ!」


 アサルトベアーの左脇に潜り込んだラセツが鬼王剣を脇腹に叩き込んだ。

 凄まじい斬撃だったが、アサルトベアーが咄嗟に左腕を脇腹と斬撃の間にねじ込み脇腹を庇った。

 その結果、致命傷は免れたが、肩口から先が文字通り吹き飛んでしまった。


 「グォォォォォ!!!」


 直撃は避けたとはいえ、片腕を吹き飛ばされ相当なダメージを受けたらしく、よろめきながら動きを止めている。

 

 「チャンスだ、俺とオボロで追撃するぞ!」


 一時的に動けなくなっているアサルトベアー目掛けて俺とオボロが再び炎を放つ。

 〈ダークフレイム〉と〈火遁の術〉の2重の火炎攻撃は片腕を失って大ダメージを受けているアサルトベアーを容赦なく燃え上がらせた。


 「ギャァァァァァ!!!」


 漆黒と赤色の2色の炎に瞬く間に包まれて激しく燃え上がり、悲壮な叫び声を響かせながら崩れ落ちて行った。


 (さすがにこれで終わりか?少し呆気なさすぎやしないか?)


 いつしか絶叫も静まり、炎に包まれ動かなくなったアサルトベアーを見てそう思った瞬間、突然変化は訪れた……


 「グロロロォォォォオオオオ!!!!!」


 今までの叫び声とは明らかに毛色が違う咆哮を上げながら、一度は息絶えたと思われたアサルトベアーが再び動き出す。

 激しく全身を痙攣させているかと思うと、炎で焼かれた全身が見る見るうちに再生されていく、遂には、吹き飛ばされたはずの左腕まで新しく生え始めたではないか。


 (これは……〈狂化〉か!)


 アサルトベアーが唯一所持していたスキル〈狂化〉は、瀕死に追い詰められた瞬間に発動する最後の切り札である。

 このスキルを使用した時点で今まで負ったダメージは全て回復され、ステータスも大幅に上昇する。

 これだけだと、非常に優れたチートスキルの様に思えるが、看過する事が出来ないデメリットも、もちろん存在する。

 一つ目は、使用者は全ての理性を失い、死ぬまで狂った様に戦い続ける狂戦士と化してしまう事、こちらのデメリットは、元々理性が不足しているアサルトベアーに関しては特に問題が無い様に思える。

 ただし二つ目のデメリットはスキルの使用者にとって文字通り致命的な影響をもたらす。

 〈狂化〉を使用した時点で一度最大まで回復したHPは、その後急速に減少し始め、やがてゼロになる。

 使用した時点で確実な死が決定してしまう、これが二つ目のデメリットである。


 「グルゥアアアアアアアアア!!!!!」


 いつしか完全に再生を終え、狂戦士と化したアサルトベアーが即座に突進してくる。


 「コダマ、障壁だぁ!」

 「まかせろぉ! 〈樹霊障壁〉!」


 コダマが素早く障壁を張り、突進を食い止めようと試みる。

 俺達を包み込む様に形成された障壁へ凄まじい勢いでアサルトベアーがぶつかり、物凄い轟音が鳴り響いた。

 

 「ぐぬぅ!さすがに凄まじい馬鹿力だな!だがその程度では我輩の障壁は突破できぬぞ!」


 何とか突進を食い止めたコダマが力強く宣言するが、狂戦士と化したアサルトベアーの勢いは止まらない。

 突進を止められたとみるや否や、両腕を振りかぶり鋭い爪を剥き出しにしながら何度も障壁を攻撃し始めた。


 「ぬぬぬ!魔王殿、このままでは障壁を維持できぬ!さっさとあいつを倒してくれぬか!」


 凄まじい速度で障壁を削り続ける剛腕に障壁を維持しているコダマの体力が底を尽きそうになっている様だ。


 「ラセツ、オボロ、とにかくあいつを攻撃して出来る限りあいつのHPを削るんだ、リンネはコダマの体力を回復させるんだ!」

 「承知した! 〈鬼王剣〉!」

 「……任せろ……」


 二度目の鬼王剣を発動したラセツと、両手に漆黒の刃を構えたコダマがそれぞれ攻撃を仕掛けようと動き出す。

 リンネも即座にコダマへ向かってヒールを放ち体力の回復を図る。


 「これで終わりにするぞ、 〈魔王剣〉、〈魔王の盾〉、〈聖魔合一〉」


 万全の状態で挑むためにスキルを立て続けに三つ発動し、戦力を徹底的に底上げする。

 ラセツ、オボロに続き、障壁へ向かって狂った様に両腕を障壁へ叩き付けているアサルトベアーへ向けて一斉攻撃を繰り出した。

 ラセツが〈鬼王剣〉で胴体に斬りかかり横一文字に叩き斬ったかと思うと、即座にアサルトベアーの背後から忍び寄ったオボロが首元に斬撃を加える。


 「グギャァァァァァ!!!!」


 さっきまでと違い全く防御する素振りを見せなかったため、ノーガードで一連の攻撃を受けてしまったアサルトベアーは、さすがに大ダメージを喰らいよろめいてしまう。

 そこへ、俺が魔王剣を使用した状態で止めをさすべく突っ込んで行くが……


 いきなり大口を開けたアサルトベアーが鋭く尖った牙を剥き出しにして嚙みついてきた。


 「くそ!ここに来て最後っ屁かよ!」


 魔王の盾で牙を防ぐが勢いに押され吹き飛ばされてしまう。


 「でもなぁ……こんな所で手こずってられないんだよなぁ!」


 着地すると同時に魔王の盾を収納し、空いた左手で新たなスキルを発動する。


 「〈魔影鎖縛〉!」


 オボロを仲間にした時に得たばかりのスキルを早速使用する。

 その瞬間、左手から漆黒の鎖が飛び出し、アサルトベアーを完全に拘束してしまった。


 「グルォォォ!?」


 突然、頑強な鎖で完全に動きを止められてしまったアサルトベアーには、一体何が起こったのか全くわからない様だ。


 「さすがにフロアボスだけあって、かなり手強かったよ……今度こそ本当に止めだ! 〈魔王剣〉!」


 再び〈魔王剣〉を発動し、漆黒の鎖に捕縛され動きが取れないアサルトベアーに向かって飛び込んで行く。

 アサルトベアーの頭上にジャンプした俺はそのまま脳天目掛けて〈魔王剣〉を叩き込んだ。


 「ブルゥアアアアア…………!!」


 脳天に魔王剣を受けた瞬間、断末魔を上げ崩れ落ちて行くアサルトベアー。

 そのまま仰向けに倒れ込んだ後、光の粒子となり消えて行く。


 「……ふう、次はいよいよゴブリンキングだな」


 その様子を見届けた後、俺はぽつりと呟いた。

 地下40階のフロアボス、アサルトベアー討伐成功の瞬間だった。

作品をご覧頂きありがとうございます。


現在、第一部終了まで書き溜めてあるので、しばらくは毎日更新を続けさせて頂きます。

評価を付けて頂けると本当に嬉しいです。

ブックマークも心の底から喜びますので、どうぞよろしくお願いします!

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