第27話 四天王結成
「さて、次はどうするか……」
俺達は地下30階から帰還し一休みした後、食堂に再集結している。
食事を取りながらではあるが、次の行動を話し合うための作戦会議を行っている最中だ。
「最優先なのは、仲間になったばかりのオボロのレベル上げだな」
俺はカレーを食べながら話し始めた。
当然ではあるが、進化直後のオボロのレベルは1である。
さすがにこのまま直ぐに戦力として考えるのは難しい。
「その通りですね、パーティーも全部で五人になった事ですし、連携なんかも練習しないと……」
食事を食べる必要が無いリンネは机に頬杖をつきながら話している。
「魔王様、とりあえず現時点の魂の共有で仲間にする事が可能な4枠は全て使い切りました。後はとにかくレベルを上げて地下50階のゴブリン・キングを倒す事を最優先で考えるべきです」
同じく食事を食べられないシオンがリンネの肩に乗りながら考えを述べている。
「とにかく地下30階より先の階層へ進むべきであるな、我輩もまだまだレベルを上げる必要があるのでな」
コダマも意見の述べる。コダマは木で出来ているため、食事は取らずに水を指から接種している。
鎧を来た騎士が水の入ったコップに人差し指を突っ込んでいる様子は少し……いやかなりシュールだ。
「……ガツガツ……次はとりあえず……地下40階を目指しては……ムグムグ……どうだろうか?……次のフロアボスを……練習台にすれば……モグモグ……良かろう……ガツガツ」
ラセツが骨付き肉を貪りながら話している。
相変わらずの行儀の悪さだ、言ってる意見はまともなのに……
「オボロはどうしたいんだ?」
「…………任せる…………」
オボロは一言だけぼそっと答えた。
念話ではなく、直接話した場合は本当に一言しか話さない様だ。
ちなみに、オボロは食事は普通に取れるらしく、ラセツと同じ骨付き肉を少しずつ食べている。
食事姿を見せたくないらしく、小さく切った肉を口元に運び、手で隠しながら食べている。
(そんなに恥ずかしいのか……?)
少し疑問に思ったが敢えて口に出す事もないだろうと思い、食事風景を見守った。
まあ、意見を要約すると、今まで仲間が増えた時と同じくレベル上げと連携の練習、これに尽きるという事だ。
確か地下40階のフロアボスはアサルトベアーだったな。
特に嫌らしい特殊能力は持たず、高いステータスで正攻法でぶつかって来る正統派のボスである。
(確かに、連携を深めるには持って来いの相手と言えるな……)
という訳で、次は地下40階を目指す事にした。
仲間も揃ったのでこれからはレベル上げも集中して行いたい。
何なら今上げられる最大レベルまで全員上げてしまう事を目標にしても良いくらいだ。
そして、総力を挙げて地下50階のゴブリン・キングに挑まなければならない。
連携に関しても、個々の役割を明確に意識して立ち回れる様に徹底する必要がある。
〈アタッカー〉のラセツ、〈ヒーラー〉のリンネ、〈タンク〉のコダマ、〈デバッファー〉のオボロ、
そして〈バランサー〉の俺、という『NHО』でも見本とも言える様なバランスの良さのパーティーを組む事が出来た。
後は、連携の練習を繰り返し、5人パーティーでの戦闘の熟練度を上げるという事も優先的に行おう。
(これで、方針は決まったな……)
「よし、まずは地下31階へ移動し、そしてレベル上げを行いながら地下40階を目指す事になる、この方針で行くが大丈夫か?」
「おう!」
「はい!」
「承知!」
「……ああ……」
パーティーメンバーの四人から四者四様の返事が来た。
「魔王様、魔王様」
シオンがリンネの方から飛び立ち耳元でパタパタとしながら囁いてきた。
「ん?どうした?」
「いやー、最初は魔王様と私の二人だけだったのに、賑やかになったなぁと思いまして……」
「そうだな、頼もしい味方が増えて心強い限りだな」
「本当ですね、四人の王が揃って、正に〈四天王〉って感じですね」
「おお、それ良いな。魔王と四天王なんて本当にゲームの敵役っぽくと燃えるじゃないか!」
「魔王様も燃えてきましたか!この調子で世界を火の海に――」
「火の海にはしないけどな!」
……シオンの言う通り、正に四王と呼べる面子が集まっている。
〈剣王〉ラセツ
〈聖王〉リンネ
〈盾王〉コダマ
〈影王〉オボロ
この四天王を軸として、これからもっと仲間を増やして戦力を集める事になるんだろうな。
まあ、それはまだまだ先、ゴブリン・キングを倒してこの〈大迷宮〉から出る事が出来る様になってからの話だ。
「よし、今日はゆっくり休んでから明日から地下31階へレベル上げに行くぞ、一旦解散しようか!」
こうして、次の日に向けてそれぞれ休息を取るのであった……
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