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第21話 作戦会議

 俺達は食堂に集合し、食事を取りながら今後の作戦会議を開く事にした。


 俺の前には出来立てのラーメンが置かれている。

 こんなリクエストにも応えてくれる辺り、本当に何でも料理出来るんだな。

 ラセツの前にはやはりステーキが置かれており、ラセツが目を輝かせている。

 前回の食事がよっぽど衝撃的だったのか、我を忘れている感じだ。

 リンネはアンデットなので食事が取れないらしい、生前は美味しい物に目が無かったらしいが、今は体が死んでいる状態なのでお預け状態となっている。

 コダマは、基本的に樹木なのでやはり食事が取れない、代わりに今は水を指先から摂取している。

 これで暫くは全力で動き回れるらしい、何ていうかめちゃくちゃコスパ良くね?

 シオンも何故か食事が出来ない体らしいので、普通の食事が出来るのは俺とラセツの二人のみだ、せっかくのパーティーでの食事なのにこれは少し寂しい。

 いつか、皆で美味しい食事を分かち合える日が来れば良い、本当に心の底からそう思う。


 「よし、ラセツは食べながらで良いので聞いてくれ、今後の方針に関してだが、俺のスキル〈魂の共有(ソウル・シェアリング)〉の最後の一枠、これを使う相手をまず探そうと思う、皆はどう思う?」

 

 俺の問いかけに答えたのはリンネだった。


 「私もそれが良いと思います。コダマさんの加入でかなり戦力は底上げされましたが、ゴブリンキングに挑むにはまだ少し戦力不足だと思います。後一人仲間を増やせるならば、仲間を探す事を優先すべきです」


 リンネの意見にラセツとコダマも同意する。


 「我も同意見だ、仲間が増えたとは言え、ゴブリンキングに勝てるとは思えん。仲間を更に増やす事と、我らのレベルを更に上げる事、この二点を優先的に行うのが良いと思う」

 「我輩も異論は無い、戦力の底上げは大事だからな、我輩は進化したばかりでまだレベル1だから大した戦力にはなれぬ、早くレベルを上げて魔王殿達の力になりたいのだが」


 パーティーメンバーは皆同意見の様だ、新たな仲間探しと更なるレベル上げ、この二点を重点的に行う事で方針が一致した。

 後は、どの様な仲間を探すかだが、これに関しては先程の考えをシオンに告げて候補を探す事にした。


 「シオン、次の仲間候補は〈デバッファー〉を探そうと思う、毒等の状態異常やステータス低下を相手に与えて敵の弱体化を狙える仲間と言えばわかるか?」

 「なるほど……となれば候補の筆頭になる魔物はもう頭に浮かんでるんですが……」

 「どうした?何か心配事か?」

 「ええ……まあ……」


 何か歯切れが悪いな、よっぽど恐ろしい魔物か何かなのか?


 「一体何なんだ?不安な事があるならはっきり言ってくれ」

 「はい……その魔物は地下30階にたくさんいまして……」


 ……地下30階?

 確か以前にそんな話をした様な……

 えーと、記憶を辿ると地下30階にたくさん生息してるのは……


 「蜘蛛か……」

 「正解ですー……私、蜘蛛が大嫌いでして、そんなのがウジャウジャいる場所に行くのも、増してや仲間にしようなんて、考えただけで吐き気が……うっぷ」


 なるほど、蜘蛛の魔物か……

 確かに素早いし、毒や麻痺は扱えるし、隠密行動もお手の物だろう、人間のクラスで言ったら〈忍者〉という所か、〈デバッファー〉候補としては正に適格だな。


 「……あの、魔王様?私の気持ちを無視して仲間にしようとしてません?」

 「ん?ああ、何か言ってたっけ?」

 「ひどい!蜘蛛なんて仲間にしたら、家出してやるんだから!」

 「……お前どうせここから出られないだろ」

 

 シオンの癇癪はさておき、実際に蜘蛛の魔物を仲間にするとしたら、まず地下30階に行かなければならない。

 そこで運よく王の資質スキル持ちの魔物を見つけられれば良いが……

 あいつらはゴブリンなんか目じゃ無い程の数で群れを作るからな、下手したら100匹以上いる中で、探索しなければならない。

 しかも、地下30階にはフロアボスがいるはずだ、確か地下30階のフロアボスは……


 「大鬼蜘蛛か……」


 ランクCの大蜘蛛と無数の蜘蛛の魔物が相手だ、その中で資質スキル持ちの蜘蛛を探すとなると至難の業だろう。

 ここは地下20階のキラートレント戦と同じ作戦で行くしかないか……


 「俺達がフロアボスを倒している間にシオンが資質スキル持ちの魔物を探すしかないか」

 「嫌ですー!蜘蛛がわんさかいる中で一人でフロアを探索するなんて絶対無理ですー!気が狂っちゃいます!ってか死にます、死んでしまいますー!」


 いやいや本当に蜘蛛が嫌いなんだな、これでもかって言うくらいに全力で否定している。

 参ったな……作戦的にはシオンに探索してもらうのが一番良いんだがな。


 「なあシオン、頼むから一肌脱いでくれないか?協力してくれたら一つだけ何でも言う事聞いてやるから」

 「……本当ですか?」


 シオンがじっとこちらを見つめながら怪しんでいる。


 「……ああ!本当だとも!ただし、全力で協力してもらえたら、の話だからな!」

 「……わかりました!そこまで魔王様が言うならば、私も腹を括りましょう!ええ、覚悟を決めますとも!」


 よし……とりあえず何とかなりそうだ。

 どんな願い事を言われるのか、少し怖いが背に腹は代えられない、協力してくれるだけ良しとしようか。


 「魔王様、言いんですか?シオンさんにそんな約束してしまって」


 リンネが少しニヤニヤしながら話しかけてくる。


 「え?やっぱり……まずかったかな?」

 「シオン殿の事だから、有り得ないレベルの無理難題を言われるのでは?まあ、男に二言は無いから、主も腹を括るしかないな!」


 ラセツもガハハと笑いながら肩を叩いてきた。


 「骨は我輩が拾うから心配はいらぬぞ」


 コダマに至ってはかなり不吉な事を言い出している。

 三人と話していると、何かとんでもない事を約束してしまったんじゃないのかと心配になってきた。


 「まあ……」

 「我らも……」

 「楽しみにさせてもらうぞ」


 ……こいつら、完全に楽しんでやがる!

作品をご覧頂きありがとうございます。


現在、第一部終了まで書き溜めてあるので、しばらくは毎日更新を続けさせて頂きます。

評価を付けて頂けると本当に嬉しいです。

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