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第17話 地下20階突入

 俺たちは地下20階にやってきた。

 シオンによると、このフロアはボスであるキラートレントと、その取り巻きのトレントしか出現しないらしい。

 樹木タイプの魔物が待ち構えているフロアというだけあって、やはりというべきか、辺り一面鬱蒼とした樹木だらけの風景となっている。


 「まさに森林という感じだな、この中のどこかに魔物達が紛れているのか?」

 「私が来た時は、森林の中央にキラートレントがいました。その周囲を取り囲む様にトレント達が配置されていて、ひたすらキラートレントを守り続ける様な戦い方をして来るのでかなり厄介でした。」


 リンネの説明を聞く限りでは、この森林の中央にフロアボスのキラートレントがいるらしい。

 話を聞く限りでは、その取り巻きのトレント達の存在がかなり厄介の様だ。


 「リンネ達の時は、どうやって倒したんだ?大変じゃなかったか?」

 「はい、途中で正攻法ではとても倒せないと気付いて、魔導士のポーラの広域火炎魔法で周囲一帯を焼き尽くす戦法でなんとか倒せました」

 「すごいことするな……」


 確かに樹木の魔物であるトレント達に対しては、火による攻撃は極めて効果的といえる。

 今回は、残念ながら火炎魔法の使い手がいないため、その戦法は使用できないが……

 

 「よし、今回は3人パーティーでの初のボス戦だから、改めてそれぞれの立ち回り方を確認しておこうと思う」


 俺はそれぞれに指示を出す。


 「基本的にはさっきまでと同じだと思ってもらって良いが、一応確認だ、ラセツは基本的にひたすら攻撃だ、狙う相手や攻撃方法は任せるが、俺が指示を出した時には従ってもらえると助かる」

 「……承知した」

 「そして、リンネはもちろん回復役だ、ラセツや俺が危なくなったら直ぐに回復魔法を使って欲しい」

 「はい、わかりました」

 「俺は攻撃役と回復役を兼ねて臨機応変に動くつもりだ、2人も俺の動きに思う事があれば遠慮なく言って欲しい……そしてシオン!」

 「は、はい!?私もですか!?」

 「お前、今回も一目散に隠れるつもりだったろ」


 図星だったらしく、シオンの挙動が一気におかしくなる。


 「シオンは、トレント達を観察して、おかしな動きをする奴がいたら教えてくれ、資質スキル持ちの魔物は他の奴と比べて違う動きをする傾向があると思うんだ」

 「なるほど、それだったら別に危なくな……任せて下さいな!」

 「本音が漏れとるぞー」


 さて、気を取り直してフロアボス戦に挑むか。


 「よし、ラセツと俺が前衛、リンネは後衛でできる限り安全な場所取りを意識してくれ、それでは行くぞ!」

 「任せておけ!」

 「わかりました!」


 俺達は臨戦態勢を取りながら森林の奥深くへ進んで行った。

 これだけの木々が生い茂っている中で、どの樹木がトレントなのかまるでわからない。

 1本1本鑑定して行くという、ごり押しの手があるが、さすがに面倒くさすぎてやる気が起きない。


 まあトレントはランクDだ、しかも俺の記憶が確かならば攻撃力は高くない、万が一不意打ちを喰らったとしても、それほど深刻な被害は受けないだろう。


 後は、問題の資質スキル持ちのトレントがいるかどうかだ。こればかりは戦ってみないとわからないので、運を天に任せるのみで突っ込むしかない。


 俺達は、ひたすら森林の中央を目指して進んでいたが、ある程度進んだ段階で周囲の木々の騒めきが明らかに大きくなって行くのを感じていた。

 俺達は、当然の様に警戒心を露わにしつつ、先へ進み続けた。


 「そろそろか?……っとぉ!」


 突然、樹木の1本の枝が不自然にうねり始め、まるで鞭の様にしなりながらこちらへ向かってきた。

 間一髪、木の枝による攻撃を回避した俺は、すかさずその樹木に向かって〈ダークアロー〉を撃つ。

 

 「ギュアアアアアアッ!?」


 直撃を受けた樹木は、奇妙な雄叫びを上げながら、左右に激しく揺れている。

 間違いなく、トレントだろう。よく見ると木の幹の中央に人間の顔を模った様な穴が開いている。

 今の攻撃で大ダメージを受けた様で、顔の様な穴が大きく歪み、苦悶に満ちた表情を浮かべている様に見える。

 

 「……早速現れたな、皆気を付けろ!」


 恐らく、周囲はトレントだらけだろう、他のメンバーに注意を促しながら剣を抜き、臨戦態勢を取る。


 「……ぬうん!」


 すかさずラセツがトレントへ横薙ぎに斬撃を加え、中央から両断してしまった。

 両断されたトレントが粒子となり消えて行ったその時、周囲の木々達の騒めきが一層強くなった。

 明らかに怒気を放っている様に感じる。


 「主よ、気を付けろ!囲まれているぞ!」


 ラセツの言う通り、かなりの数のトレント達に囲まれてしてまった様だ。

 一体一体倒して行けば問題無いだろうが、時間が掛かりすぎるのは問題だな。


 「よし、強行突破するぞ、ラセツと俺で進路を切り開くから、リンネとシオンは逸れずに付いてきてくれ」


 そう言いながら、剣を構えラセツと並び立つ。


 「合図で同時に突っ込むから息を合わせろよ」

 「ああ、任せておけ」


 息を整え、突入の機会を伺っていると、目の前のトレント達が一斉に動き始めた。

 どうやら一斉攻撃を試みる様だ。


 「よし……行くぞ!」

 「おう!」


 俺の合図でラセツと同時に走り出す。後ろにはリンネとシオンも付いてきている。


 「ギュラララララララァッ!!!」


 辺り一面から雄叫びが聞こえたかと思うと、トレント達の攻撃が一気に向かってきた。

 さっき見た鞭の様な枝での攻撃に加え、葉っぱを手裏剣の様に飛ばしてきたり、種子を弾丸の様に撃ってきている奴もいる。

 様々な攻撃が先頭を走る、俺とラセツに迫って来た。


 「〈ダークウェーブ〉!」


 トレント達の攻撃が着弾する刹那のタイミングで〈ダークウェーブ〉を発動する。

 俺の体から漆黒の波動が一気に噴出し、枝や葉等の攻撃を全て弾き飛ばした。

 ……と同時にラセツが正面にいたトレント二体を一瞬で斬り倒し粒子に変える。


 「よし……正面に道が出来た、今の内に走り抜けるぞ!」


 トレント達は動けはするが、動作は極めて鈍い。俺達が全力で走れば余裕で振り切れる程度のスピードしか出せない様だ。

 そのまま走り抜け、キラートレントが待ち受ける、森林の中央部へ向かう。



 途中、トレント達の妨害はあったが、特に問題無く突破できた。

 後ろから付いてきていたリンネ達も無傷である。

 

 「この先が森林の中央部だな」


 俺達はが今いる場所は、森林の中央部と思われる場所の目の前だ。

 木を何本か隔てた向こう側に少し開けた場所があり、そこにキラートレントが控えていると思われる。

 今はトレント達も襲って来ないので、ボス戦に備えて一息ついている所だ。


 「ここまでは問題無く来れた、いよいよボス戦だ、気を引き締めて行こう」


 ここまで一気に走り抜けて来たため乱れた息を整える。



 「……さあ、行こうか」


 俺達はキラートレントへ挑むべく、森林中央部へ向け移動を開始した。

作品をご覧頂きありがとうございます。


現在、第一部終了まで書き溜めてあるので、しばらくは毎日更新を続けさせて頂きます。

評価を付けて頂けると本当に嬉しいです。

ブックマークも心の底から喜びますので、どうぞよろしくお願いします!

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