表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/85

第13話 ソフィア

 命からがら玉座の間へ帰還した俺たちはやっと一息をつくことが出来た。


 「だああ!くそ!何だあの化け物は!まじで無理ゲ―じゃねえか!」


 俺は悔しさを隠しもせず吐き出した。


 「主よ、気持ちはわかるが無事に帰ってこれただけ、良しとしようではないか」

 「そうですよー、それに元々は魔王様がゴブリンキングを見てみたい!なんて言い出しだんですからねー!」


 うぐ……それを言われるとぐうの音も出ないんですけど。


 確かにラセツ達の言う通り、あれだけの化け物に遭遇して無事に帰還出来ただけでも万々歳なのだろう。それに今の段階でゴブリンキングの実力が知れただけでも大収穫だ。いずれは必ず倒さなければならない相手だ、手の内を少しでも知れたのは大きなアドバンテージである。


 「さて、そうなったら次はどうやってあいつを倒すか作戦を考えないとな」

 「魔王様、やはり仲間を増やすしか無いのでは?」

 「うむ、我もそう思うぞ」



 確かにその通りだ、単純に戦力を増強するならばソウル・シェアリングで眷属化を行うのが一番早い、まだ枠数も三つ残っている。


 「そうだな、問題はどんな仲間を増やすかだな……やはり」


 俺は以前から頭に浮かべていた構想を口に出した。


 「パーティーを作るしかないか」


 『NHО』は基本的に5人パーティーで戦闘に挑む事が出来る。ゲーム内のパーティーは各プレイヤーが集まって作られるが、それぞれの役割を意識して組まれることが一般的だった。


 例えば、今の俺たちで言うとラセツは間違いなく〈アタッカー〉だ、主にDPSを稼ぐことが目的の前衛である。俺は前衛から後衛まで幅広くこなす〈バランサー〉となる。


 その考え方でパーティーを集めるとなると、今俺たちにまず足りないのは……


 〈ヒーラー〉と〈タンク〉だな。回復役と盾役、間違いなく戦闘には欠かせない役割であり、この二つをパーティーに組み込む事が出来れば、戦い方も飛躍的に発展するに違いない。


 「まずは……〈ヒーラー〉から探してみるか」


 俺達には今の所、回復手段が無い、優秀な回復役の確保は急務である。


 「シオン、このダンジョン内で回復手段を持つモンスターはどれだけいる?すぐに遭遇可能な範囲でだ」

 「はい、少し待って下さいね!……わかりました!」



 シオンから教えてもらった結果はこんな感じだった。


 ・ゴブリンプリースト ランクD  生息階 地下45~50階

 ・リカバリーフィッシュ ランクE 生息階 地下15~16階

 ・ヒールワーム ランクE 生息階 地下11~13階



 うわー微妙だなー。

 一番戦力になりそうなのが、ゴブリンプリーストか、もうゴブリン枠はラセツで埋まってるんだよな……それに、何となくもう地下50階付近には戻りたくないし。


 他の二匹に関しては、完全に小動物じゃねーか、恐らく眷属化しても戦力には程遠いな。

 資質スキルを持っている事に期待しても良いが、魚とミミズの魔物に付与されているとは思えない


 地下51階から先にはまだ行けないし……あれ?これ積んでね?


 「うわぁ、これは困ったなぁ……」


 「主よ、我と一緒に来たゴブリン達の中で回復の素質がありそうな者がいるか調べてみる、というのはどうだ?」

 「うーん、出来るだけあの子達は危険な目に合わせたくないんだよね」



 ……結局ゴブリン被りになるし。



 「そうか……良い考えだと思ったんだがな」

 「何か他に良い考えは無いかな」

 「あーどこかに回復が得意な資質持ちの新米モンスターがひょっこり現れませんかねー」


 シオンが自暴自棄気味に呟くと……


 『あの……すいません……』


 「うわおぅ!びっくりしたぁ!」



 背後から突然聞こえた声にシオンが思いっ切り飛び上がって驚いている。

 この声はソフィアだ、無事だったのか。



 「ソフィア!一緒に転送されてきてたのか!無事で何よりだ!」



 『はい、お陰様で……シオンさんの発動した魔法陣が偶然私の亡骸がある場所に出現したので私も一緒に移動することが出来ました……』



 そう言われてよく見ると彼女の傍らに亡骸が転がっている。そうか、ゴーストは亡骸と一緒だと魔法陣で転送が出来るんだな。


 「それで、何か話したいみたいだけどどうしたんだ?」


 『皆さんが今回復役を探していると話されているのが聞こえたので……もし、他に適任がいないのであれば、私を仲間に入れてもらえませんか…?』




 ……それは盲点だった。

 確かに今のソフィアはゴースト、アンデット系のモンスターには違いない。

 しかも生前のクラスは僧侶だったはず、だとすれば回復なんでお手の物のはずだ。


 早速〈鑑定〉を使用してみた。




 名称:ゴースト・プリースト

 ランク:D

 HP  : 101/101

 MP  : 288/288

 攻撃力 : 32

 防御力 : 64

 魔法力 : 211

 素早さ : 76


 スキル :回復魔法〈Lv5〉

      聖王の資質

 眷属化成功率 : 100%



 「こ、これは……」

 

 ……回復が得意な資質持ちの新米モンスターがひょっこり現れた。


作品をご覧頂きありがとうございます。


現在、第一部終了まで書き溜めてあるので、しばらくは毎日更新を続けさせて頂きます。

評価を付けて頂けると本当に嬉しいです。

ブックマークも心の底から喜びますので、どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ