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【完結】追放された聖女の明るい復讐譚「声が甲高くなる呪いをかけてやる」  作者: みねバイヤーン(石投げ令嬢ピッコマでタテヨミコミック配信中)


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12/23

12.呪ってやる


 ミーナは途方に暮れていた。


「えー、今日の十三時だったよねー」


 もう何度も見た手紙を見る。間違いない。


「仕方ない、あと一時間待ってから帰ろう」



 待ちくたびれてミーナはとぼとぼと立ち去った。


「テルマさーん、聞いてくださいよー」


「なんだい、ミーナ。疲れた顔して」


「今日ね、仕事の面接のはずだったの。わたしの作る服が気に入ったから、ぜひうちの店に来てほしいって、手紙もらったのよ」


「うん、それで?」


「店の前で一時間待ったけど、誰も来なかった……。店は閉まってたし。なんなんだろう、休みの日なのにわざわざ来たのに、ひどい……」


「それは気の毒なことしたね。何か事情があったのかもしれないけど……。これ使ってみるかい?」



 テルマは『鼻毛が一時間に一本は出る呪い』の魔法陣を見せる。


「うん、でもわたし髪の毛切りたくないもん……」


「あんたの服でいいよ。いつもキレイなの着てるじゃないか」


「本当? 今ちょうど持ってるよ。面接で店長に見せようと思ってさ」



 テルマはウキウキと一着選び、魔法陣に手紙を置く。



◆◆◆


「店長、新しい子雇うって言ってませんでしたっけ?」

「ああ、あれなー。気が変わったからやめた」

「あれ、面接って昨日でしたよね?」

「ああ、ダルかったからやめた」

「ひどい、そういうのよくないと思います」

「いいんだよ、うちの店は人気店だから、働きたいやつなんていくらでもいるんだから」

「…………」




「店長、商会長夫人がお見えです」


「これはこれはミランダ様。今日のドレスも実にお似合いでいらっしゃいますね」


「来週、男爵様の夜会に招かれたのよ。なにか急ぎでできるドレスがあればと思ったんだけど……。気が変わったからやめるわ」


「え、急にいかがなさいました?」


「あなた、鏡見たら? 鼻毛がひどいことになってるわよ。みっともない」



◆◆◆



「ちょいとあんた、鼻毛抜くのやめてって何度も言ってるだろう」


「いいじゃねえか、鼻がかゆいんだよ」


「まったく……。ああっ、抜いた鼻毛を売り物の本に植えつけるのやめとくれよ。汚いじゃないか」


「大丈夫だよ。あとでフーって吹くのが楽しいんじゃねえか」


「……あんた、いつかバチが当たるよ」




「て訳でさー、うちの亭主がアホなんだわ。何回言っても聞きゃしない。そのうちお客さんから苦情がくるんじゃないかって、ビクビクしてんのよ。なんかいい魔法陣ないかい?」


「あるよ、あるある」


 テルマは『人前で鼻毛抜くとお腹が痛くなる呪い』を広げた。

 

「お代、この魔導書でもいいかい? ついさっき、亭主が鼻毛植えたヤツなんだけど……」


「あんた……相変わらずいい根性してるよ。……まあこれでいいよ。どこのページかは教えないでくれよ」

 



◆◆◆



「ふんっ ふんっ フー」

「…………」

「あ、イテテテ。急に腹が痛くなってきた。あたたた」

「ふっ 効くじゃないか」




呪い案、使わせてもらってありがとうございました!


booom さま「鼻毛が1時間に1本は出る呪い」

黒にゃ〜んさま「長年の夫婦にありそうな、鼻毛を奥さんの前で抜きそうだから、人前で抜くとお腹が痛くなる呪い」

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