第24話 カジノ必勝法
ひとしきり泳いだ後、『昼はさんざん羽を伸ばせただろ? 夜は我が遊ぶ番だ。小娘、カジノに付き合ってもらうぞッ』そう言われて、まぁ一理あるかなと思ったので付き合うことにしたのだ。
『安心しろ。我の演算力と記憶力を使えば、確率を制することなどあまりに容易。一晩で、小娘を大金持ちにしてやるゼッ』そう息巻いていたので、まあワンチャンリューならやってくれるかもなと思って、ウキウキ気分でカジノに向かったのだった。
(……現実、甘くないね。……全財産失うことになるとは。……ガクッ……)
私もリューの口車に乗せられた身なので、責めることはできない。確かにリューの説明を聞く限りは、時間をかけさえすれば必ず勝てるはずだったのだ。……だが、そうはならなかった。……ならなかったんだよ、りゅー。
『ブラックジャックには、カードの偏りがあってな……10、Q、J、Kが場に出た回数を完全に記憶していれば、すくなくとも負けるはずはネェんだ。カウンティングって言って、人間には無理でも、完全に記憶することができる我なら勝てるはずだったんだッ!!』
「でも、負けたじゃん」
『……はい。すみません』
まあ、リューがこれだけ早口で弁明するくらいだから、確率的におかしなことがあのカジノで起こっていたのは事実なのだろう。
おそらくはイカサマだ。だが私もリューもそのイカサマのトリックを見破ることができなかった以上は、単なる言いがかりにしかならない。
『正直、まじですまねぇ……。何で負けたのか、全然わからないけど、ぶっちゃけカジノ舐めてた。今回ばかりは、完全に我のやらかしだぁ……』
「いいわ。負けたのは仕方ない。一儲けを企んでいたのは私も同じ。別の方法考えましょ」
『でもよぉこれ、定期便乗れなくない? ちょっと……まずいよナァ』
「うーん。そうね。なんとか、船賃だけでも稼がないと、ちょっとまずいかもね」
エルフの里の一件で貰えると思っていた報酬が貰えなかったので、元金を増やすためにカジノに行ったのだが、結果はスッカンピン。
付け焼き刃でプロのディーラーを出し抜こうというのは我ながらちょっと甘い考えだった。どんな業界であれ、その道のプロには素人は敵わないということだ。
カジノでスッカンになってお金もなかったので私は海辺で砂上の楼閣を作っていた。砂遊びはお金がかからなくて良い。……爪に砂とか砂利とかめっちゃ入るけど。
私が砂の城を完成させた光景を見て、拍手を送る男が一人。誰だろうか。まあ、おそらく、酔っ払いか変質者だろう。
「立ち聞きしてすみません。お嬢様、何かお金にお困りのようで?」
「はい。とっても困ってます。日払いでガッポリ稼げる仕事を探してます」
「よかった。でしたら、もしよければうちで働いてみませんか? 過去の経歴問わず、未経験も大歓迎、福利厚生充実のアットホームな職場です。いかがですか?」
よくわからないけど、お金をくれるというのだから断る理由はない。素性が問われないというのも、黒竜騎士の私としてはかなり魅力的な条件に感じられた。
……とはいえ、さすがに夜の砂浜で砂遊びをしている女性に対して求人募集をするような相手が本当に大丈夫か。というような疑念もよぎったので、とりあえずまずは話だけを聞くこととした。
「はぁ。とりあえず、お話だけでも聞かせてもらえますか?」
「承知しました。貴女様でしたら、きっとすぐに稼げますよっ!」
背に腹は代えられないのでおじさんの後についてお店へと向かうのであった。





