第三十六話 猫貴族、姉と王都を散策する
ご覧頂きありがとうございます。
お金の価値について今話より下記へ訂正させて頂きます。
銭貨=10円
銅貨=100円
銀貨=1,000円
金貨=10,000円
白金貨=100,000円
連日の訂正で恐縮ですがよろしくお願いします。
実技の授業では講師として同級生たちを教えるようになったことで、より他の同級生たちとも距離が縮まってきてよかったと思う。
そしてあっという間に一週間が過ぎ、入学後初めての週末を迎えた。
今日は以前約束していた姉さんに王都を案内してもらう予定となっている。
昨日の夜から目に見えてご機嫌な姉さんに、どうか洋服店だけは連れまわさないでくれと願いながら馬車に乗り込んだ。
「学園の方は順調?」
「そうだね。お蔭様でいいクラスメイトたちに恵まれて楽しく過ごしてるよ」
「それはよかったわね。ティアちゃんとも仲良くやってるみたいだし安心ね。今日もティアちゃん来れたらよかったんだけど…」
今日のお出かけに未来の義妹も呼ぶのだと姉さんが意気込んでいたのでティアに声をかけたのだが、生憎家族で予定があるとのことで断られてしまったのだ。
代わりに今は姉さんの膝の上でクロエがおとなしく撫でられてくれている。
なにやら言いたそうに半目でこちらを見ているが、僕は何も見ていない。
姉さんは僕やティアのことをよく可愛がってくれるし、母さんに似て穏やかで優しいのだが、負けん気の強い父さんに似てる部分もあって怒らせると本当に恐ろしいのだ。
そう、僕は何も見ていないのだ。
「ところでどこへ連れてってくれるの?」
「ルークが冒険者始めたでしょ?だからその時に役立つ道具が置いてある店に行ってみない?」
「めちゃくちゃ行きたい!姉さん最高」
そして到着しました。
看板には【グリフォン商会】と書いてある。
「ここってまさか…」
「流石にルークでもこの店は知ってるみたいね」
「う、うん。なんか最近聞いた店と同じ名前のような」
「いらっしゃいませ~。本日はどないな御用でっしゃろ?」
店に入ると、銀髪の可愛い女の子がコテコテの関西弁で手もみしながら接客にやってきた。
おい、その肩から掛けてる【看板娘】ってタスキおかしいだろ。
「やぁケイト。相変わらず元気そうだね」
「なんや、ルークやないか。来てくれたやな!嬉しいわぁ。店の案内はウチに任せてや」
「あら?ルークのお友達?」
「あぁ、姉さん紹介するね。クラスメイトのケイト。明るくてクラスでもムードメーカーなんだよ。ケイト、今日は姉さんがおススメの店があるって連れてきてくれたんだ」
「これはルークのお姉様でしたか。はじめまして。私はグリフォン商会の会長の娘のケイトと申します。ルーク君には学園ではお世話になっております」
急に丁寧な口調で話し始めたケイトを見て、呆気にとられ口を開けたまま固まってしまった。
「何を変なもん見たみたいに見てるん!ウチかて普通にしゃべることぐらい出来るんやからね」
「ごめんごめん!ケイトはずっとそんな調子なのかと勝手に思い込んじゃってたよ」
「ふふ。じゃあケイトさんに案内してもらおうかしら」
まず最初に案内されたのは目当ての冒険者用の商品のエリアだった。
魔物除けの魔法陣が組み込まれた野営用のテントや【命の水】という名のタンク型で魔力を込めると水が出るアイテムなど、冒険者なら喉から手が出る程欲しがりそうなアイテムが並んでいた。
「この【命の水】ってタンク欲しいね。僕の周りは水魔法が使える人がいないしあると便利だね」
「これはウチでもかなり人気の商品やで。他の店のと比べると貯水量も1ℓ多いからおススメやねんけど、いかんせん容量大の魔法の鞄がないと持ち歩かれへんのが難点やね」
「魔法の鞄ならポーチ型を持ってるから問題ないし、ちょうどオーガの報酬が入ったとこだし買うよ」
先日討伐したオーガが思った以上に高い値が付き、金貨4枚もの収入となった。
この【命の水】は金貨2枚と銀貨5枚なので今なら余裕で買えるのだ。
「流石貴族様やな~。よっしゃ、同級生のよしみと今後ともご贔屓にしてもらうためにも今回は金貨2枚でええで!」
「強かね。ここで恩を売っておけばルークは贔屓にするし、ロッソ家という貴族と太いパイプが持てるものね」
「そんなに褒められると照れますね~」
「あなた良い性格してるわね」
姉さんは口ではそうは言うが顔は笑顔なのでおそらく気に入ったということだろう。
他の商品も見て回ったが今日欲しいというものはなく、グリフォン商会をあとにした。
以前のお金の単位だと、銀貨100枚を常に持ち運ばないといけないという間抜けな設定になっていたので変更しました。
今後もおかしい所は随時修正していこうと思います。




